第24話
由美子は長い足を抱え込むようにして、絵美たちが絶望的に辱められようとしているのを眺めていた。
(・・・・・・)
さきほどまで西田たちをにらみつけていたその顔も、今はうつむきがちで、上目遣いに中の様子を見ているだけだ。
視線の先では乳房を念入りに弄ばれた瞳が、呆然とした表情を浮かべている。
(あ・・・)
瞳の若い裸体をむさぼり尽くそうとする、オジサンは今度は彼女のもっとも秘められた部分へと標的を絞る。
「おおっ!」
隣で男たちが歓声を上げた。
オジサンは、瞳の両脚を、これでもかといわんばかりに広げさせ、その中心の女の入り口を愛撫する。
「くっそ!俺にも見せろー!」
「んだよ!」
特等席に座っている島本をうらやむ声が上がった。
等の島本は、分厚いめがねの奥の細い眼で、瞳の全てを焼き付けようとするように、彼女の股の間をのぞき込むのに夢中だ。
「ハァ・・・・・・」
かすかに声を上げる瞳もそれに気が付いてはいるのだろうが、一瞬「あっ」という表情を浮かべただけで、もはや観念したように顔を背けた。
「ァァァッ・・・!」
彼女に表情が戻ったのは、男の指先がクレパスをスーッとなぞったときだった。
「おおお・・・」
西田たちは、はやし立てるのも忘れて瞳の痴態へと集中した。
(・・・!)
由美子はさらに身体を丸くして、おそるおそるその光景を見続けた。
毛深い指先たちが瞳のヴァギナをゆっくりと開くように動き、ふたたび陰毛の丘へ登ってくる。
「・・・・・・」
太い指先が丁寧に股間の皮膚を引っ張るようにしている様子がかろうじて見え、浅野をのぞく4人が息をのんだ。
(うわ・・・)
遠すぎてよく見えないが、手つきを見れば何をしているか想像が付く。
オジサンは瞳の秘部を開き、一番敏感な肉の芽を包んでいた皮を剥こうとしていた。
(え・・・?そこは・・・まずいでしょ・・・)
濃いヘアーの隙間から、刺激を求めて硬くなっている赤い突起が見えるような気がした。
「あっ・・・!」
気配を察知した瞳が顔を上げたが、それ以上の抵抗は出来そうもない。
(瞳ちゃん・・・!)
その怯えと期待の入り交じった真っ赤な顔を見て、由美子の下腹がキューンと疼いた。
(はぁ・・・ん)
水着の下に、同じ肉芽の存在をはっきりと意識して由美子は息を止めた。
瞳の表情を横目で見ながら、オジサンの指は期待に違わずその淫らな突起物を撫でに行った。
「ヒャアッ!!!」
まさに電流が流れたようだった。瞳の口から鋭い声が漏れ、裸体がビクリと大きくと跳ねた。
「イッ!アアッ!アアアアァンッ!」
オジサンは暴れる瞳にかまわずに、クリトリスを指の腹で撫で回し続けた。
「アアッ・・・アッ!アアアアッ!」
絶え間ない喘ぎ声をあげ、全身で快楽を表現するかのように、瞳の身体はベッドの上でのたうち回った。
「おいおい・・・」
「おおお・・・」
(・・・・・)
あどけない普段の瞳の姿はもはやどこにもない。見ている方が思わず心配になるほどの乱れ方だった。
(んん・・・・・・)
由美子は身体の火照りを隠せなかった。
黒いビキニの下で、彼女自身の欲望が、解放されるのを待ち続けているのがわかった。
(私も・・・)
股間が何かに触れるだけで悲鳴を上げそうなほど刺激に飢えている。指を伸ばしてすこし愛撫するだけで、一瞬にして快楽の沼に堕ちていけるのがわかる。
(まったく・・・)
視線を落とし、自分の下半身をしかりつけてみたが、いったん火のついた欲望を消すことは容易には出来ない。
これ以上ないほど身体を小さく曲げると、水着と身体が擦れる僅かな刺激でさえ、彼女の中の淫らな何かにズシリとのしかかってくるようだった。
「おい・・・」
「お・・・」
男たちの声に顔をあげると、今度はいよいよ絵美の番がやってきていた。
(絵美・・・)
由美子は親友を気遣う視線を向けたが、刑場の台に寝かされた真っ白な身体が視野にはいると、何か違う感覚が下半身のあたりで熱く疼くのを禁じ得ない。
女としての誇りもなにも奪われつつある瞳の横で、その清楚な裸体は精一杯の抵抗を示そうとしていた。
乱れ狂う瞳とは対照的に、絵美は伸ばした両脚をピタリと閉じて、両手で乳房を抱え込むようにして固まったままだった。だが、所々ピンク色に染まった肌は、ローションと汗で濡れていて艶めかしく、ささやかに茂る陰毛と、それが隠しきれない股間の割れ目の上の方もよく見える。
「くぅ〜!たまんねえなぁ、あの娘がこれからグチャグチャにされるんだぜ?」
「ああ、生きててよかったと思うぜ、マジで」
「こりゃ・・・一生オナニーのネタには困らないかもしれないな?なあ?」
西田に背中をたたかれ、気の弱い浅野も苦笑いしながら「うん」とうなずいた。
「あの・・・」
「んん?」
珍しく浅野から口を開いたのでほかの三人がそろって怪訝そうな顔を向けた。
「絵美ちゃんも、やっぱり耐えられないのかな・・・?」
・・・西田たちは一瞬顔を見合わせると、ハハハハハハハと大声で笑った
「みてりゃーわかるよ、女の本性ってやつがね・・・・ねえ由美子ちゃん?」
西田の嫌らしい視線を向けられても、由美子はひたすら無視を決め込んだ。
(ホントにこいつは・・・)
女を見下したような言葉の裏側にある、ナンパ男西田の余裕に腹立たしく思いながらも、由美子は一方でこう思った・・・
(絵美は耐えられるの・・・?)
親友を試すような考えを打ち消そうとしたが、隣の部屋から聞こえる絶え間ない喘ぎ声はその考えをむしろ加速させた。
皮肉なことに三人の中で一番マッサージの効果を理解していたのは由美子だった。
気だるさの中で研ぎ澄まされていく肌の感度が、彼女たちをどれほど脆くしているか、由美子はよくわかっていた。
そして一方で、その脆さに溺れたときに与えられるであろう快楽の魅力もわかっていた。
(もしも・・・アタシなら)
背筋を撫で上げられるとろけてしまいそうな快感・・・胸を揉まれるときの身悶えするような快感・・・乳首を転がされ、クリトリスを舐められ、体中のありとあらゆる淫らな部分を征服されるその快感・・・そしてあの身体が飛んでいってしまうようなイク時の快感・・・今の自分の身体なら、全てが今までの何倍もの感度でやってくるのがわかっていた。
(ゼッタイ耐えられないな・・・)
その気が狂うほどの快楽を想像するだけで、由美子の身体はますます火照っていった。
(むしろそうしてもらった方が楽・・・かも・・・)
体中のあらゆる性感帯を弄んで欲しかった。何でもいいからヴァギナにつっこんで、気が狂うほどかき回して欲しかった。
由美子の理性は、快楽の波に飲み込まれる寸前だった。
(ねえ、絵美は違うの・・・?)
再びその疑問が頭に浮かんだ。目の前で、実際に裸体を侵略されようとしている絵美は、同じ欲望を感じないのだろうか?
その答えはすぐに出された。
オジサンが絵美の肩口に置いた手を滑らせたとき、絵美の表情に浮かんだ驚きと、一瞬の艶めかしさを由美子は見逃さなかった。
「・・・!」
毛深い指先が白磁のような肌を弄ぶように移動するのにあわせ、絵美の身体が小さく震えた。
「くぅ・・・」
快感に耐えるために、硬く無表情を装っているのが痛々しかった。
「絵美ちゃん必死に我慢してるよ〜」
西田たちがはやし立てるのも無理はない、本人は必死に隠しているつもりでもピクリピクリと動く裸体の姿はここから見れば一目瞭然だった。
(・・・だよね・・・)
由美子は絵美の身体を這い回る触手を自分の肌の上に想像して、それだけで身体を火照らせていた。
(焦らされてる・・・みたい)
見ている由美子まで焦れてくる、そんなイヤらしい責め方のようだった。
アリ地獄に堕ちた上等な獲物のように、絵美はゆっくりと辱められようとしていた。
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