XCmas2010 たくやより愛(AV)をこめて-3「24日・午前」


24日・早朝 撮影開始


「それじゃタクヤちゃん、今日と明日の二日間、結構ハードな撮影になると思うけどよろしくね〜」
「よ、よろしく、おねがい、し、します!」
「そんなに固くならなくていいって。まあまだ三本目じゃこのお仕事にも慣れてないと思うけどさ、ボクたちの方でもキチンとフォローしていくのでね、タクヤちゃんにはこのビデオを見てくれるおっきなお友達に股間をギンギンに硬くしてあげられるエロエロをプレゼントしてあげてくださいね〜」
「は、ははは……あんまりエッチなのは得意じゃないけど精一杯……」
「みなさーん、嘘ですよ〜。このタクヤちゃんはね、可愛い顔してベッドの上ではものすっごく淫乱ですからね。期待してくださいね〜」
「いきなりなに言ってんですかァ!? あ、あたし、淫乱なんかじゃありませんからね!!!」
「それはこの後のないよう次第で明らかになると思いますので、請うご期待と言うことにしましょう。ボクといたしましては、今すぐ車の中で濡れ場を始めてしまいたいんですよ。なにしろ「あのタクヤちゃんとやれる!」って聞いてこの仕事OKしたんですから」
「………お、お手柔らかにお願いします」
 とほほ……あたしは撮影ワゴンの後部座席に座り、自分に向けられるカメラのレンズに向けて必死に愛想笑いを浮かべながら、せっかくのクリスマスにアダルトビデオの撮影をしなければならない自分の境遇を思い浮かべ、心の中でため息を突いてしまっていた―――


 あたしの出演するAVの撮影は、これで早くも三本目。
 最初に出演した――と言えるかは分からないけど――「ナンパ輪姦強制中出しカーSEX」シリーズはアダルト掲示板で話題を呼び、シリーズ内でも最速のDL数の伸びを記録し、今朝の時点で歴代三位。二本目のDVD発売も間近に迫っているので、年内にさらにもうひと伸び加わって一位に躍り出るのは確実と言われていた。
 ………正直言うと、本当なら男のあたしが、男優としてならともかく女優として人気が出てもまったく嬉しいわけがない。けれどあたしをメインにしようと考えたAV作成会社により、本来なら企画女優(AV一本の中に大勢登場する女性の中の一人)扱いのところ、キカタン女優(企画単体女優・単体女優と企画女優の中間)と扱いが良くなり、おかげで出演料も増額されたのだから文句を言い辛い。
 二本目の出演作は、インディーズで活動しているAV製作会社の事務所を訪れて契約した、その直後に有無を言わさず事務所内でヤラれてしまった物だ。
 ―――話を聞いて契約するかどうかの場のはずなのに、カメラマンまでいるからおかしいと思ったんだ……
 最初はまあ、AV女優になるんだからと、出演の動機とか、スリーサイズとか、初体験とかお決まりのことに質問形式で答えていたのだけれど、この質問してきた人が曲者だった。ただでさえ、女性化してから普通のエッチよりトラブルに巻き込まれてなし崩し的にされてしまうあたしの体験談は、ただでさえ破天荒すぎるのに、その人は巧みに抱かれた時の気持ちに至るまで聞き出してくるのだ。
 気付いた時には、あたしはカメラの前で服を脱ぎ、下着姿を晒してオナニーまでしてしまっていた。「女優になるならこのぐらい出来ないと」と言われたのまでは覚えているけれど、嫌な思い出でしかないSEXの体験を思い出して異様な昂ぶりを覚えていた身体は、男性二人を前に恥じらいを忘れて昇りつめてしまい、そしてそのまま……
 ソファーの上だけじゃなく、事務所の入っていたビルの別フロアの拾いベッドルームでも抱かれたし、男優さんも次々と入れ替わってあたしの身体を弄び……最後には暗い地下室で拘束具に身を包み、牢屋越しにバックでヴァギナを貫かれたりしたのだけれど、それらの全てがカメラの中に納められ、またもなし崩し的にAVを撮影されてしまったのだった。
 ただまあ……問題が無かったわけではない。
 相手は百戦錬磨の男優さんだったので、あたしがいつもよりも早くイかされてしまうのと同様に、男優さんの方も予定より早く射精してしまう。あたしのアソコの締め付けも中のうねりも凄いらしいし、お口や手でするにしてもツボを心尽くしている。理性が残っている段階でならともかく、頭の中が官能一色に染め上げられて何も考えられなくなると、男優さんに求められるがままに気を失うまで次々と射精に導いてしまったらしい。


 そして今日が三本目。
 前の二本とは異なり、自分の意思で撮影場所に赴くのは初めてだけれど、この撮影を乗り切れば最低限必要なお金はだいたい貯まる。両親に負担を掛けないために一人暮らしを始めるための費用に来年分の学費。ただし、AV女優として出演した以上は北ノ都学園に戻れるかは分からないので、その時は学費分は麻美先輩や千里に渡す研究費や自分の生活費になるだろう。
 ―――これからあたし、どうなっちゃうのかな……
 AVに出たからといって普通の生活が送れないわけではないけれど、ビデオカメラの前で痴態を演じ、それでお金を稼ぐと言うのは、あたしの価値観を変えるのには十分過ぎた。
 バイト先のメイド喫茶でもカラオケボックスでも、人から視線を向けられるたびにAVに出演していたことを見咎められているんじゃないかとドキッとする。街中を歩いている時でもそうだ。声を掛けられてナンパされることは今まで何度もあったのに、声を掛けられた瞬間にはどうしても以前より驚きを覚えるようになってしまっている。
 ―――慣れれば……どうでもないことになっちゃうのかな……
 例え男に戻れたとしても、女として一生を過ごすにしても、この事は一生あたしの心に残り続けるだろう。
 それだけの事をして、あたしは今、お金を稼ごうとしているのだから。
 ―――でも、今は少しでもたくさんお金が必要だったんだし……ううう……ああもう! 今はそういうことは忘れるの。撮影に集中集中!……って、エッチに集中ってどうすればいいのよぉぉぉ!!!
 そんな葛藤で頭の中をしっちゃかめっちゃかに悩ませながらも、平面状は何事もない風を装いながら撮影は進んでいく。
 今回はクリスマス一色に彩られた街を背景に、24日から25日に掛けてクリスマスデートと言う形での撮影だ。企画物らしく、街中での撮影などバラエティーに富んだものになるそうだけれど、そもそも演技力でAV女優になったわけではないあたしには、むしろ驚きの顔が取れるからと台本や進行表など渡されていないので、何をするかもさっぱりの状態だったりする。
 ―――てゆーか、こういうのってクリスマス前に売りに出さなきゃ意味ないんじゃ……
 結構大手らしいけどインディーズだし、企画した人にも考えがあるのだろう。あたしは、不純ではあるもののお金のために、カメラの前で精一杯の自分を表現するだけだ。……やることはSEXでも。
 ―――けど、今回の男優さんって……よりにもよって、この人だしなァ……
 隣の座席に座っているのは富都杉(ふとすぎ)ユーヤ……彼の顔と名前は、あたしでも知っている、まちがいなく若手ナンバー1のAV男優だ。
 ジョ二ーズ所属のアイドルといっても通じてしまいそうなイケメンだけれど、整った顔立ちの印象とは裏腹に、先ほどのようなお馬鹿なトークもするのでやや三枚目よりになってしまってるけど、その分親しみやすいキャラで定着している。調べてみたら元々は若い頃から舞台俳優として活躍していたらしい。モデルとして雑誌のモデルを飾ったこともあり、演技力にも定評があったのに、いつの間にやらAV男優に転身。その理由が「芸能人じゃ好きなだけSEXできないじゃん」ときっぱり言い切ったのは有名な話。一説には、アイドルに片っ端から手を出したのが転身の理由とも言われているけれど、定かではない。
 そんな曰くを持つ人だけあって、出演する作品では女優さんを大抵骨抜きにしてしまっている。
 挿れっぱなしで二時間でも三時間でもやれる体力を持ち合わせており、性欲の方も絶倫。テクニックに関しても卓越していて、彼の手指で初めて潮を噴いた女優も数多い。さらに股間のモノにいたっては20センチオーバーと外人とためを張れる超巨根。
 そんな彼には、称えるように“SEXサイボーグ”“AV界の種付け馬”“ピストンマシン富都杉”など数々の異名が付けられている。あたしも富都杉さんの出演しているビデオを見たことがあるけれど……この二日間、あの時に見た女優さんのように乱れ狂わされるのかと思うと、真冬だと言うのに背筋に冷たい汗が流れ落ちてしまう。
 ―――しかもあたしとやれるからこの仕事をOKしたって言うし……これはもしかしたら初日の出は拝めないかも……
 ああ、恋人の明日香との甘いクリスマスをふいにしてまで、あたしは何でこんなところにいるんでしょう……そんな後悔が頭をよぎるけれど、もう遅いことがスルリと背中に回された手に教えられることとなった。
「ひゃうゥん! ちょ、ユーヤさん、何いきなり!?」
「隣にこんな可愛い子がいるのに、いつまでも話してるだけじゃ我慢出来ないよ。だからオッパイをちょっと味見♪」
「ダメですって、あ、やめ、ダメッたら、こらァ!!!」
 エッチなビデオの撮影に来たのにエッチな行為を拒んだ挙句に怒鳴りつけるってのは……まあいいとしても、思わず怒鳴り声を上げなかったら甘く鼻を鳴らしてしまいそうだった。
 ―――期待なんか…して…なかったんだから……
 それなりに気合を入れてきた服の上から隠しようもないほど豊満な乳房を、ユーヤさんは巧みな手つきで捏ね上げてくる。まるであたしの巨乳をカメラの前で強調するように、上から下へと大きく手を動かされると、溜め込んでいたものが一気に噴き出すように乳房全体の内側が熱く燃え上がり、押し込まれる指を押し返そうと一気に膨張し始める。
「んっ………!」
 下唇を噛み、懸命に声を押し殺す。抵抗はしない……いや、出来ない。何か言おうとして口を開いた途端に、レンズの前であられもない喘ぎ声を漏らしてしまいそうだからだ。
 ―――そんなエッチな揉み方……やめて…お、おねがい……ん、んゥ……!
 実を言うと……撮影日の今日まで、頭の中はずっとどんなことをさせられるのかと言う嫌悪感と、それとは真逆の期待感でいっぱいだった。
 前二回の撮影では、何もわからなくなるぐらいに快楽漬けにされ、そして三回目の撮影相手が富都杉ユーヤ。競演が決まってからと言うもの、彼のテクニックと巨根にどんな抱かれ方をするのかと考えない日はなかった。
 ユーヤさんの出演作を再生しながらのオナニーだって………冷静になって思い出せばほぼ毎日のように。それこそ恋する女の子のように、甘いマスクに凶悪なペ○スを併せ持ったAV男優さんに、ときめきと怖さを同時に覚え、だからこそ歯止めの効かない期待と興奮があたしの心の奥にたっぷりと溜め込まれてしまっていた。
 ―――あたし…イきたがってる……子のまま胸で…胸だけで……ユーヤさんの手で…イッ、いいィ……!
 プリプリと弾むような美巨乳がこね回されるたびに、静電気のようなビリビリとした疼きが乳房全体に広がっていく。声は押し殺しているのに、ユーヤさんは息を飲み、肩を震わせる程度のあたしのささやかな反応を確かめながら指先を乳房に沈め、こちらの意識を快感で蕩かせようとしてくる。
 それはむしろ、あたしの想像していた以上……もっと荒々しく抱かれると思っていたのに、精緻なまでの指使いにあたしの意識は翻弄され、いつしか乳首も固く張り詰めさせてしまっていた。ミニスカートから伸びる太股をキツく閉じ合わせているものの、ブラと服越しに先端をゆっくりなぞられるだけで、痙攣と共に力が抜け落ちてゆき、膝を開いて熱い湿り気が広がりつつある股間を曝け出してしまいそうになる。
 ―――このまま……抱かれちゃうの? また車の中で……せ、せっかく服だって頑張って……だ、だから期待なんか…してないのに………あたし、ああ、もう、やァあああぁ……!!!
 これ以上はダメ……助手席に座るカメラマンが息を荒く乱しながら撮影し続けているのに、もう服の上からでも勃っているのが分かるくらいに乳首は突き出ていて、今にも何もかも忘れて甘い声を上げそうになっている。
「我慢しなくていいんだよ。ほら、こんなに乳首をコリコリさせて……カメラの前だって言うのにこんなに固くするなんて、可愛い顔に似合わず……」
「ゆ…ユーヤ…さん……やめ…てぇ……」
 懇願するようなあたしの涙声にもかかわらず、甘いマスクのAV男優ははち切れんばかりの膨らみを思う存分圧搾し、全体のボリュームに反比例するかのような小さな乳輪を摘み上げては乳首ごと指で扱きたててくる。
「お…んおァ……!」
「声が色っぽくなってきたね……」
「やっ!? そ、そこはァ……!」
 乳房を離れた片方の手が、内股をなぞり上げるようにスカートの中へ忍び込んでくる。慌ててスカートの上から両手で押さえつけて奥への侵入を阻もうとするけれど、
 ―――んんんゥ! し、痺れて……やあ、ダメ、ああ、んはァああああああッ!!!
 耳の穴を舌先でくすぐられただけで、侵入を阻む手の力は瞬く間に抜け落ちていく。そうしてあたしの股間にまで辿り着いたユーヤさんの指先に淫唇を擦り上げられ、膣口につぷりと指先を押し込まれると、あたしはお尻を締め上げながらヴァギナを激しく戦慄かせ始めてしまう。
 ―――ダメ、イく、このままじゃ、中を、中をそんなにグチャグチャされたら、あ…ああ、ああッ、あんムゥううううう!!!
 まるで洪水のように押し寄せる絶頂の大波に抗うように顔をしかめるものの、カメラの前であたしは身体を弓なりに反り返らせ、後部座席の上で熱いと息を漏らしながら全身を何度も弾ませる。
 そして、

 ―――ブツンッ


「ひゃんんんゥ!!?」
 いきなり胸が弾けた……と言うよりも、服の中で弾け飛んだ。いきなりブラの締め付けから開放された膨らみは窮屈な服の内側で勢い良く揺れ回ると、あたしは恐る恐る背中に手を回し……
「ぶ、ブラのホックが……」
 ものの見事に壊れたようで、たわわな乳房が暴れないように押さえつけておくための下着は、まったく用を成さない代物と化してしまっていた。
「なになに、ブラがはじけちゃったの? おっきいとは思ってたけどタクヤちゃんのオッパイってスゴいよね〜……で、何カップぐらいあるの?」
「え、Fカップのつけてたんですけど……まあ、最近はちょっとキツいかな〜って感じで……」
「ダメだよ、カメラの前で見せるんだから、このオッパイにフィットしたのをつけてこなくちゃ」
「だって……下着に回せるほどの余裕がなかったから……」
 そんな余裕があったらAVになんて出てないし。―――それを言っちゃうと、この車の中にいる人全員を非難することになりそうなので口には出さないけれど、このハプニングにすっかりムードを壊されたのに、ユーヤさんはニコニコと笑みを浮かべながら、
「じゃまず最初は、タクヤちゃんに下着を選んできてもらいましょうか」
 そう言うのと同時に車は、まだ開店したばかりの高級そうなブティックの前で停まっていた―――






 −*−



24日・午前 ランジェリーショップ


 ―――うわ……な、なにこのお店。下着ばっかり!?
 AV撮影班の人からお金と紙袋を手渡されたあたしは、店内に足を一歩踏み入れた途端に絶句してしまっていた。
 そこは見渡す限り、下着下着下着下着下着。
 右を見ても下着。
 左を見ても下着。
 上を向いても二階に下着。
 諦めて正面を向けばスゴくスタイルが良くて色っぽいマネキンにやっぱり下着。
 ―――ここ……ブティックじゃなくて下着屋さんだったんだ……
 まるで色とりどりの下着が埋め尽くす大草原のごとく……って、自分で何を言っているのか判ってないんだけれど、とにもかくにも、男にとっては禁断の聖地のような光景を前にして、あたしは入り口に突っ立ったまま唖然呆然としてしまっていた。
 ―――ひえ〜……こんなお店でAVの撮影をしなきゃいけないなんて〜……
 白を貴重にして清潔感と高級感に満ち溢れた店内は、さすがにあたしには不釣合いだ。そもそも純粋(?)な女の子じゃないあたしにとって、まさにここは来てはいけない場所。いくらブラが壊れたからと言う理由があるにせよ、
 ―――カバンに隠しカメラ仕込んでまで来るところじゃな〜〜〜い!!!
 はっきり言って、盗撮は犯罪です……が、自分で自分を盗撮するのは、かなりグレーだけれどギリギリOKと言うのが撮影班の人の言い分だった。
 そんなわけで、クリスマスAV撮影デートと言う混ぜちゃ行けないものを混ぜ合わせたタイトル(仮題)の今回の撮影の第一の命令は「試着室で着替える自分の姿を盗撮しよう」と言うものだった。
 紙袋に入っているものは後で使うけれど、それとは別に、カメラに仕込まれたカメラもう一つのバッグからは、今もほぼ真下からのアングルであたしを撮影され続けている。車の中での“軽いスキンシップ”を受け、しとどに濡れた股間を撮られてしまっているのかと思うと、恥ずかしさが込み上げてくるけれど……これもお金のため。今のあたしには我慢するしかない。
 ―――それにAV女優なら、このぐらいで恥ずかしいだなんて……
 自分自身に恥ずかしくない……そう何度も言い聞かせても、羞恥心が火照りと共に込み上がってくるのを抑えきれない。入り口を入ってすぐの下着の前で、震える脚は動かなくなり、緊張による収縮を繰り返す秘所から溢れる愛液が閉じあわされた太股の密着面に沿って垂れ落ちて……そうなるとますます動けなくなり、あたしは手の中にあるバッグと紙袋の取っ手をただただ強く握り締めることしか出来なくなってしまっていた。
「お姉様、本日はどのような下着をお求めですかぁ〜?」
 ずっと突っ立っていれば、誰だって怪しむもの。誰か近づいてくるのにも気付かないぐらいに緊張の極みに会ったあたしは、真横から女性の店員さんに声を掛けられると、その場で飛び上がりそうなぐらいに驚きながら物凄い勢いで飛びすさっていた。
「ひあっ!? え? ちが、あ、あたしはなにも、い、いかがわしいことなんてしてませんからァ!!!」
 って、まるで「これからいかがわしい事をします」と告白しているようなものだけれど、そこまで考えていられる余裕もない。もうこの場から一目散に逃げる方向に考えをシフトさせると、回れ右してお店から飛び出そう……としていたのだけれど、
「わあっ、やっぱりお姉様だぁ♪ お久しぶりですぅ〜〜〜♪」
「へ? は? え?………ま、舞子…ちゃん?」
「そうです、舞子です、まさかお姉様がお店に着てくださるなんてぇ〜〜〜♪」
 目の前に立つ店員の女性は、あたしの頭が自体を飲み込むよりも先に、あたしの胸に飛び込んでくる。
 ―――ど…どういうことなの、これ!?
 まさか偶然入店したお店に、宮野森時代の後輩の舞子ちゃんがいるなんて……しかも、AVの撮影中だと言うのに……偶然にしてはあまりにもタイミングの悪すぎる再会に、あたしは目眩を起こして倒れてしまいそうになっていた―――


 −*−


「へえ、舞子ちゃんは進学しないで、このお店で働いてたんだ」
「はい☆ ここだったら男の人もあんまり来ないって、松永先生に勧められたんですぅ〜♪」
 お店の奥に設(しつら)えられたテーブル席で、再会したばかりの舞子ちゃんと数年ぶりにお互いのことを話しながら、舞子ちゃんが手ずから入れてくれたコーヒーを頂戴する。
 ―――まあ……こんなハプニング、どうしようもないしね。、AVの撮影中だからって無碍にするわけにもいかないし。
 あくまでも怪しまれないようにするのが一番。こういうゲリラ的な撮影で警察のご厄介になるわけにもいかないし、右隣の席に置いた隠しカメラが未だ回りっぱなしなのを意識しながらも、自然を装いながら舞子ちゃんとの会話を続けるしかない。
 いざとなれば、撮影班の人から携帯に連絡が入るはずだし……そう言う意味では、まだ時間に余裕はあるのだろう。
「けどまあ、このお店は男嫌いの舞子ちゃんには天職そのものよね。さすがにこれだけ下着があると、男の人は気恥ずかしくて入って来れないでしょうし」
「たまに来ますけど、そういう人は他の方にお任せしてます。それに舞子はフィッティングもするから男の人に近寄らなくて済むんですもん♪」
「フィッティング?」
 まさか釣り? って、それはフィッシングだ!―――などと自分に突っ込みをいれながらも、聞き慣れない言葉を思わず聞き返していた。
 すると舞子ちゃんは「それはですねぇ……」と説明してくれそうになったのだけれど、
「そう言えばお姉様、今日はやっぱり下着を買いにいらしたんですかぁ?」
「うっ……え、えっと、それは……」
「舞子に会いに来てくれたんだったらすっごく嬉しかったんだけどぉ……イブの日に再会する二人って言うのもロマンチックで素敵ですよねぇ……♪」
 言いつつ、空いている左隣の席に座り直してくると、あたしの腕に自分の腕を絡めながら、指先で服の上からあたしの胸をツツッ…となぞってくる。
「ひウン……ッ!」
「お姉様ァ……こ〜んなに素敵なオッパイだからって、ノーブラだと形が崩れちゃいますよぉ?」
「こ、これは、ブラがいきなり壊れたから仕方なく……!」
 椅子を慌ててガリゴリ移動させて退避するも、舞子ちゃんに触れられただけで乳房に駆け巡ったゾクッとする間隔は今も鮮明に残っている。
「怖がらなくても大丈夫ですよぉ? 舞子、おっぱいはいっぱい触り慣れてますからぁ♪」
「ま、まさかフィッティングってそういうことなの!?」
「ん〜、多分お姉様が思ってるようなこととは違うかもぉ……論より証拠、今日は舞子がお姉さまの下着を選んで差し上げますぅ♪」
 そう言って、あたしの手を握って椅子から立ち上がった舞子ちゃんは、そのままお店の壁際にある試着室へと歩を進めていく。さすがにカメラやお金が入っているバッグやどんないかがわしいものが入っているか分からない袋を置いていくわけにもいかず、それらを急いで手にして舞子ちゃんについていくと、
「それじゃお姉様、舞子がお姉さまにぴったりの下着を持ってくるから、この中で先に服を脱いで待っててくださいねぇ〜♪」
「ちょ、ちょっとぉ!?」
 有無を言わさず試着室へと押し込んだ舞子ちゃんは、シャッとカーテンを引き、鼻歌を歌いながら試着室の前から立ち去っていってしまった。
 ―――まったくもう。相変わらず人の話を効かないんだから。……て言うか、舞子ちゃんが下着を選ばれたら、何かとマズくない? マズいよね。撮影に巻き込んじゃマズすぎるよね!?
 あたしの場合は身内の不幸から二度三度とAVに出演することを決めたものの、舞子ちゃんとそれとはまったくの無関係。なのに今も試着室にいるところを隠しカメラで撮影中。このままだと舞子ちゃんは何も知らないままにAVに出ることになってしまう。
 あたしの時のように編集で顔にモザイクを掛けてくれるとしても、できれば………だって、舞子ちゃんは仮にもあたしに想いを寄せてくれた娘なんだし、こんな形で巻き添えにしたくない。彼女の想いに答えて上げられなかったあたしのことを今でも「お姉様」と呼んでくれる舞子ちゃんを、少しでも穢したくないのだ。
 ―――と言う事で逃げよう。大丈夫。ええ、大丈夫ですとも。別のお店で下着を買えば済む話だし、ダメならダメで街中ストリップでも何でもやって穴埋めだってしてやろうじゃないの……!
 そもそもエッチをする前には下着を脱ぐんだし、ノーブラが何だと言うんだ。―――そんな結論に至ったので早急に逃げ出すべくカーテンを開けると、既に舞子ちゃんは色とりどりの下着を手に戻ってきていた。
「お姉様に似合いそうな下着、た〜くさん持ってきましたぁ♪ あれぇ、まだお洋服脱いでないんですか? じゃあ、舞子が脱ぎ脱ぎして差し上げちゃいますぅ〜〜〜♪」
「早すぎ、舞子ちゃんいくらなんでも早すぎるって! それにあたし、そんなに下着買うお金なんて……!」
 舞子ちゃんの両腕いっぱいに抱えられてきた下着の数は十や二十どころではない。しかもこの店の値札は、どうせすぐに男に戻るんだからと一枚380円三枚で千円の安物下着を愛用して済ませているあたしの価値観より桁が一つ二つ異なっている。
「無理無理無理、絶対に無理! それ全部買ったら、あたし破産しちゃうって。体売っても払えないから!」
 もっとも、あたしの身体は既に売約済みなのだけれど。
「大丈夫ですよぉ。この中からお姉さまのオッパイに一番ピッタリなのを選ぶだけですからぁ」
「でもほら、あたし、ホントは男でしょ? もうすぐ元に戻れるから、やっぱり今さらブラジャーなんて!」
「ぷぅ! それは絶対ダメですよォ! お姉様のそのものすっごく綺麗なオッパイがちょっとでも形が崩れるのなんて、舞子許せません!……でも、お姉様が、どーしても下着を着けるのがイヤって言うんならぁ……」
 ううう、イ、イヤな予感がますます強くなってきた……こういうときだけあたしの予感は良く当たるのだけれど、少々広めの試着室の中で舞子ちゃんに気圧(けお)されるように後退さると、正面、舞子ちゃんに立ちふさがれている出口が遠のく代わりに冷たく固い鏡の感触が背中に触れる。
 ―――に、逃げ場なしですか!?
 あたしが下がって出来た試着室内のスペースに、不自然なまでにニコニコと笑みを浮かべた舞子ちゃんが靴を脱いで上がってくる。そして抱えていた下着を全部床に落とすと、後ろ手でカーテンを閉め、
「今日は、何か予感がしてました。だから……ちょっとだけ頑張ったんですぅ……♪」
 店内の一角に声が外に折れてしまう密室を作り上げた舞子ちゃんのその手は、そのまま制服のボタンをハズしてしまう。
 下から現れたのは、あどけなさの抜けない可愛らしい顔とは裏腹に、白い肌を際立たせる黒の下着。十分に女性であることを主張する黒い膨らみをその胸元から覗かせた舞子ちゃんは、逃げ場のないあたしのほうに身を寄せてくる。
 ―――こうやって間近で見ると、舞子ちゃんの可愛さを改めて……って、それどころじゃないってばァ!!!
 床に落としたカバンの中のカメラは回り続けている。このままではあたしの着替えのシーンだけでなく、舞子ちゃんとの百合百合なところまで全部撮影されてしまうことになる。
 それだけは避けなくちゃ……と思いはするものの、「AVの撮影中だから♪」なんて説明をするわけにもいかない。舞子ちゃんを何とか上手く言いくるめる事は出来ないものかと、ゆっくりと近づいてくる唇から目を離せないままに思案していると、あたしの手首から不意に小さな金属音が鳴り響いてきた。
「ふふふ……これで逃がしませんよ、お姉様ぁ♪」
「て、ててて手錠ォおおおおおおおおお!?」
 なんと準備がいいのか、意識が逸れている隙にあたしの両手首にて上をかけた舞子ちゃんは、こちらが驚いて目を白黒させている間に鎖をそのまま壁のやけに高い位置に取り付けられた上着掛けに引っ掛けてしまう。
 気がつけば、あたしはバンザイをさせられ、舞子ちゃんと対面したまま身動きを封じられていた。そんなに高い位置にあるわけではない上着掛けのフックは、大きく歪曲していて手錠の鎖をしっかりと捉えており、手首を上下に動かした程度ではガチャガチャと音を鳴らすだけで一向に外れそうにない。
 幸い、奥の壁から側面に移動させられたものの、
「それじゃお姉様の玉のお肌を御開帳ですぅ〜♪」
「ひあああっ!?」
「もう、そんなに大きな声を出したら他の人にも聞かれちゃいますぅ! お姉様……もしかして舞子以外の人にもみられたいんですかぁ?」
 そんなわけない。いくら元々男で女の姿は仮初のものだとしてもこんなところを他の誰にも見られたくない……見られたくはないけれど、カバンの中にはカメラがあり、もし誰かがきて警察でも呼ばれて、荷物を調べられたりしたら―――?
「ッ………!」
 舞子ちゃんの手があたしの腰に触れると、ストンとスカートが床に落ちる。さきほど車の中で触れられて湿り気を帯びた股間が露わになると、外気の寒さのせいか震えがブルッとこみ上げるけれど、ホックをはずした指先がショーツ越しに秘唇をなぞり上げてくると、頭上の鎖を強く引っ張るようにあたしはさらに強く身体を強張らせ、震わせる。
「さっき……お姉様の胸へ飛び込んだとき、舞子、それだけでイっちゃいそうだったんですよ?………でも――――――」
「あ…やァ……指を挿れちゃ……だめ、だめ、声が…出ちゃ……あぁァァ……!」
 細くしなやかな指にヴァギナをかき回され、あたしの腰がクイックイッと跳ね踊る。
 カメラに撮影されているとは知る由もない舞子ちゃんは既に湿り気を帯びていたあたしの膣からさらに愛液を湧き出させようと恥骨を押し上げ、尿道を裏から揉み混んでくると、噴出口が尖っていくかのように収縮していくのがビリビリするほど伝わってきた。
 頭を壁に押し付けるようにアゴを突き出し、床に置いたカバンの真上で膣口からビュクビュクと愛液が掻き出されるものの、舞子ちゃんに行き着かされようとしているのはそんなところじゃない。
「なんで……他の人の臭いなんかつけてるんですかぁ? せっかくのお姉様の香りが台無しですよぉ?」
 狭い試着室の中に静かに響く舞子ちゃんの声には、宮野森にいた頃には聞いた事のない暗い嫉妬の感情が見え隠れしている。
 撮影班の乗るワゴンの中……その中でユーヤさんと身体をすり合わせただけじゃない。何人もの女性が犯された車に乗り込み、知らない内にその臭いを身体へまとわり付かせていたのだろう。店内であたしに抱きついた時、男性を嫌悪する舞子ちゃんがその臭いに気付かないわけがない。
 そんなあたしへの制裁だと言わんばかりの愛撫にさらされたあたしの股間からは、もう止めようのないほどに愛液があふれ出している。内股にはビリビリとした喜悦の緊張が終始駆け巡り、舞子ちゃんの指を絞り上げるように肉壁をわななかせる……逸れは宮野森学園に居た頃に何度か舞子ちゃんと身体を重ねた時の記憶を呼び起こす。興奮して膨らみきった肉芽をこね回されれば、収縮して細くなっていたはずの尿道を押し広げるアクメの大波は、あたしの必死の制止すら振り切って一気に出口へと殺到し始める。
「あうッ! はあああッ、んああああああああああッ!!!」
 もう店内の隅々にまであたしの声は響き渡っているだろう……けど、もう押さえてなんていられない。
 舞子ちゃんの両手でドロドロに濡れそぼった膣内と皮が剥けきってしまったクリトリスを同時に責められたあたしは、フックに引っ掛けられた手錠の鎖を引きちぎらんばかりに全身に力を込め、肩幅に開いた脚の間からブシャッと勢いよくスケベ汁を噴出してしまっていた。床いっぱいに撒き散らされた下着……その上に、断続的に潮を噴き放つ。ブラもなく服の裏地に擦れてジンジンしっぱなしの乳房の先端に押し付けられる舞子ちゃんの膨らみの温もりと柔らかさを感じながら、唇を重ねてくる舞子ちゃんを、放心したまま受け入れていた。
「ふふふ……やっぱりお姉さまの香りは素敵ですぅ……♪」
「も、らめぇ! イく、イく、イくから、許して、謝るから、あたしが悪かったからァァァ!!!」
「ダメですよぉ〜♪ お姉さまからのクリスマスプレゼントは、まだまだこれからなんですからぁ♪」
 悶絶するほどに昇りつめながらも、舞子ちゃんの指はあたしの膣内をかき回すのをやめようとはしない。濡れそぼった粘膜を擦り上げられ、子宮口を攻め抜かれるたびに、宙吊りにされたあたしの身体はのたうつ様に半裸の身体を大きくくねらせる。
「あああああああああああ――――――――――――――――――――――――――――――ッッッ!!!」
 喉を仰け反らせて大きく喘いだ表紙に、服のボタンが飛び、汗が浮いてムッチリとした乳房の谷間が覗け見えてしまう。舞子ちゃんの指の容赦のないストライドに膣肉を掻き分けられ、そのたびにブラの支えなんて要らないほどに張り詰めた乳房を弾ませながら、股間からはブシャブシャと音を立てて放尿同然に絶頂潮を噴か続けてされてしまう。
 この映像もAVに使われちゃうのかな……そんな考えを頭によぎらせながらも、指先になぞり上げられる子宮の疼きに耐え切れずに、あたしはガクガクと頭を揺さぶり、まだ買う下着すら選んでいない乳房をパンパンに張り詰めさせていた……


 −*−


「んあっ、あああっ、乳首ィ…! 乳首で、また、イく、舞…子…んウウウウウウッ!!!」
 舞子ちゃんは床の上にへたり込んだあたしの胸に、床に撒き散らされた下着の中から合うものを選んでは身に付けさせていく。
 そしてフィッティング……店員として何人もの女性の胸にそうしてきたように……いや、それ以上の愛所を込めて、舞子ちゃんの手は脇から前へとほとんどない無駄な肉をかき寄せ、さらに一段とボリュームを増したバストの位置をブラの中で整えていく。
 その最中、明らかに下着合わせの作業には関係のない動きで、疼きのとまらない乳首をキュッと摘まれ、正面にある鏡の向こうで、真新しくもあたしの愛液の匂いを立ち上らせる下着を付けた身体が羞恥心と女同士での快感とで絶頂へと撃ち抜かれてしまう。
「あ……あぁ………」
「可愛いですよ、お姉様……さ、舞子からのクリスマスプレゼント、まだまだ受け取ってくださいねぇ……♪」
 白く煙るほどに熱く湿った吐息を漏らしながら、まるで肌と一体になったかのような下着を身につけただけの身体が震え、続けざまに激しく痙攣する。キュウゥ…と絞り上げられる膣内からは、これも真新しいショーツの内側にはとめどなく溢れ出てしまう愛液をお漏らししてしまうのだけれど、
「ひゃ…うゥん……!」
 舞子ちゃんが軽くショーツを引くと、布地が細くよじれて割れ目に食い込み、むき出しにされたクリトリスをジュリッと擦り上げてくる。
「うう、うゥ、やッ、やあああっ!!!」
 ―――カメラに撮られてる前で……舞子ちゃんに…また……もうどうすれば…あ、ああァァァ……!!!
 どんなに振りほどこうとしても、力の入らなくなった手足では舞子ちゃんにすら押さえ込まれてしまう。
 ―――もう…このまま……舞子ちゃんの為すがままにィ……!!!
 時間はどれほど経過しただろうか……カバンの中のカメラは未だ回り、“女性店員”に生かされ続けた一部始終は撮影されてしまっているものの、下着選びに時間を掛けすぎていて撮影スケジュールはきっとメチャクチャだ。今さら舞子ちゃんに事情を説明して離してもらっても……もうどうにもならないかもしれない。
「お姉様……舞子を…舞子だけを受け入れてくださいぃ……」
「んっ……」
 次第に絶望に支配されていくあたしの身体に舞子ちゃんの柔らかい身体が押し付けられ、鼻腔の奥に甘く魅惑的な香りが流れ込んでくる。
 ―――まだ……あたしは舞子ちゃんに……
 このまま、撮影の事も忘れて舞子ちゃんとの同性愛の快楽を受け入れ続けなきゃいけないのか……諦めが心に沸き起こり、抵抗する意思すら薄れ掛けていたその時、
『永田さん、中のお客様に迎えの方がいらしてるんだけど』
 今までどんなに喘ぎ声を上げても止めにもきてくれなかった別の女性店員が、試着室の外から冷たいぐらいに事務的に声を掛けてきた。
 ―――ユーヤさんたち…なのかな……
 でも、例え迎えが来たとしても舞子ちゃんの偏狂的なまでのあたしへの愛情が治まるだろうか……と不安に駆られたのもつかの間、
「んもう……もっとお姉様を気持ちよくしてあげたかったのに、タイムアップですぅ……」
 そう言ってあたしと口付けを交わすと、拍子抜けするぐらいに身体を離し、放り出しっぱなしの下着の山を両腕に抱えて試着室から出て行ってしまう。
「お姉様の香りが染み込んだこの下着、最高のクリスマスプレゼントですぅ☆」
「で、でも……あの……」
「お姉様の事情は伺ってますぅ……大変だと思うけど、応援してますから負けないでぇ♪」
「は……? な、何で知ってるの……てか、知ってて、え…あ、あれェ……?」
 不意に愛撫の手を止められ、行き場をなくした熱い衝動を押さえ込みながら、あたしは事情を飲み込めずに目を白黒させる。そうしていると、下着を抱きかかえた舞子ちゃんは物凄く嫌そうな表情を浮かべて立ち去り、入れ替わりに長い髪の女性に寄りかかられたユーヤさんが姿を現した……のだ…けれど―――
「え……? な、なんで………?」
「どうだった、ちょっとしたドッキリ企画。彼女がタクヤちゃんの後輩だって聞いてさ、んじゃこの店を使わせてもらおうって話になって―――」
「そうじゃなくて、あの、その…なんで、ここに……!?」
 まるで心臓を鷲掴みにされたようなショックな光景が目の前にあった。
 ユーヤさんに肩を抱かれているのは、明日香だった……しかも陵辱の跡も生々しく、服は引き裂かれ、むき出しにされた乳房にも股間にもクリームさながらにドロッとした精液がまとわり付いている。
 見るからに力ずくで犯された……そのはずだ。そのはずなのに、あたしに向けられた明日香の視線は情欲で蕩けきっていて、ユーヤさんの手が肩から乳房へと移ると、興奮でますます頬を高潮させていく。
「やあぁん♪ そんなに強く揉んじゃ……んんっ! お、おなかの中の精子に…響いちゃうよぉ……♪」
 あたしの見ている目の前で、ボロボロの姿をしていながらも今まで一度も見せてくれたことのない表情で、明日香はユーヤさんの首にしがみつき、唇と舌とを絡め合わせる。
「この子もスゴく可愛いだろう? ――て言うか、当然知ってるよね。何しろタクヤちゃんの“恋人”なんだから」
 ぴちゃ…ぴちゃ…と粘膜が擦れ、唾液の爆ぜる音を床に座り込んだまま、恋人を寝取られたのだと言うショックに言葉すら発せなくなってしまう。ただ目の前の信じられないと、信じたくないと考えることを拒否していると、オシッコを我慢するようにガクガクと内股を震わせた明日香は、あたしが失った“男性”を求めるようにユーヤさんの股間をいとおしげに撫で回す。
「たくや、ごめんね……たくやがAVに出るって聞いて、今日、つけてきたの。やめさせたくて、ダメなら私が変わろうって思って……でもね、スゴかったの、路地裏でね、見られるの、撮られたの、私が何度もイくのを、ユーヤさんのおチ○ポにイかされたのを撮影されて……そしたらァ……♪」
 これは……説明したくてしているわけじゃない。何も出来ずに舞子ちゃんに弄ばれていたあたしに事情を聞かせて、悔しがらせて、そして悦びを感じるために話しているのだ。
「ゴメンね、ゴメンねたくや、私のおマ○コ、ユーヤさんのザーメンで受精しちゃった……これから、ユーヤさんとのエッチは全部撮影されて、ユーヤさん専用にされたおマ○コでAVに出るのぉ……だからゴメンね。たくやのおチ○チン、もう要らないんだぁ……♪」
「そーゆーこと。でも良い話でしょ? これでタクヤちゃんは男に戻らずに、ずっとAV女優を続けられるわけだからさ」
「だからね、私と一緒にAVに出よ……私と一緒に―――」


 ―――ずっと一緒に……一緒にいてあげるから……



 これからは、明日香が一緒だ……
 ユーヤさんに連れられてランジェリーショップを出たあたしと明日香は、そのまま本番を行うスタジオへと車で連れて行かれる。
 その車中で、本当は痛くて辛い心を癒すように眠りに着いた明日香の手を、あたしはずっと握り締めて離せずにいた……


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