ケイト編―シャカイベンキョウ―(IF)


ケイト ――シャカイベンキョウ――

 ――ドウシテ、朝の準備はこんなにメンドクサイのデショウ?

 出社2時間前に目を覚まして、ケイト・ダミアーノは眠い頭のまま、まずは朝食の準備にとりかかる。手早くサニーサイドの目玉焼きと、焼き立てのパン。そしてミルクとサラダ。
 用意するのにそんなに時間はかからないので楽♪
 食事を済ませ、念入りの洗顔と歯磨きを終えると、自慢の金糸のような髪をのんびりとブローする。長く伸ばした髪なので大変だが、ここは手間を惜しまず、丁寧にブラシを泳がせる。

 ケイトは高校生の時に日本に来た留学生だ。1年の留学のつもりが、気がつけば高校の3年間、そして大学へと日本での進学を希望した。
 今は就職活動及び、社会勉強として一般企業に業務研修している。
 ケイトの成績ならば、それこそ一流企業への研修も望めたのだが、彼女が選んだのは以外にもありふれた、街の小さな商社だった。
「現場の……社会の空気を実際、感じてみたかったのですネ」
 友人にその会社を選んだ理由を尋ねられた時、ケイトはそう答えた。
 
 髪のブローを終えて、鏡に映る自分の顔に、薄くメイクをしていく。
 学生らしく、社会人らしく軽めのナチョラルメイク。
 少々、子供っぽさを残した顔が、メイクによって大人の貌へと変えていく。
 鏡に映るのは、社会人として恥ずかしくない大人びた女性。
「うん、綺麗♪ ……元がいいからですネ♪」

 化粧は嫌いじゃない――メンドクサイのが難点ですけどネ♪

「うん、今日もカワイイですネ♪」
 大きなぱっちりとした青色の瞳に覗き返され、鏡に向かってウィンクを返す。
「今日はドレにしましょうか……ネ……うん、これにしますネ♪」
 クローゼットに並ぶリクルートスーツに視線を泳がせ、その中から、自分のブルーの瞳よりも濃い藍色のモノを選ぶ。
「ヘンな所はありませんネ」
 最後に姿見に全身を映してチェック。
 くるりと、身をひるがえすと馬の尾のような、後ろ頭頂部で束ねた髪がふわり。
 外国人らしい、頭身の高い肢体を包むぴっちりした藍のスーツは、自慢の胸を――大きさも形も……感度も♪――はっきり強調し、肉付きのいい腰回りからのヒップラインが肉感的に浮き立たせてくれる。

「さて……と」
 きちんとクリーニングされた白いワイシャツと、スーツに身を包み、今日も一日を始めよう♪

「イってきまス〜♪」

 ―*―

「おはようございマス♪」
 駅のホーム。
 毎日の通勤ですっかり顔馴染みになった――名前は知らないケド――男性にご挨拶。
 ケイトは生来、人懐っこい。人見知りもないので駅から駅までの短い時間でも、『知り合い』が結構出来た。
「おはよう」
 ケイトとは一回り以上は離れているであろう、神経質そうな痩せた男が挨拶を返す。
 相手も最初こそ戸惑っていたが、今はすっかり慣れた朝の風景。
 他愛のない話で時間を潰しながら、ホームに入ってきた電車に乗り込む。

「むぎゅ〜うぅ」

 日本に留学して、カルチャーショックを感じた内の一つがこれ――満員電車。
 隙間なく詰め込まれた乗客達から受ける、左右からの圧力に身体を動かす事も出来ず、最初は気分が悪くなり大変だった。

 ――おかげで今では、立ったまま眠れるようになりましたけどネ……

 互いに互いを支えている状態だ。しかも、ケイトの周りはいつも人口の密集率が高い。
 今日もまるで壁のように、ケイトは男性客に囲まれていた。
 周りの人達は、毎朝の通勤で殆どが顔馴染みだ。後ろにいるがっしりした男性も、毎朝挨拶を交わす関係だ。ケイトは遠慮なく後ろの男性に、電車に揺れる身体を預ける。
 年末も近く、随分寒くなってきたが、こうしていると人同士の体温で暖かい。
「ひゃうんっ……」
 電車が大きく傾く度に、嫌でも目を惹く2つの膨らみが、目の前の男性の胸板にぐにゅり、と潰され、つい敏感な反応を返してしまう。
(イケませんネ、公共の場では静かに……っひんっ)
 予測できない動きに、豊乳を歪がまされ、押し潰されて形を変えると、
(んんっ……くすぐった……イですネ)
 こそばゆいような感覚がじんわりと、まるで水面に発生した波紋のよう、全身に広がっていく。
(おっぱい大きくて良かったデス……天然のクッションになりますネ)
 揺れに翻弄される身体を、周りに受け止めてもらいながら、窓の外に流れる風景を眺める。
 朝の電車内は、人の熱気で蒸し暑い、ケイトの背中にもじっとりとした汗が滲みだす。
 周りもそうなのだろう、わずかだが、汗の匂いと男性の体臭を鼻腔に感じる。
 抱きしめられているよう身体にかかる力と、電車の揺れ。そして男女の汗の匂いに思わず――
(エッチしているみたい……ですネ)
 つい、連想してしまう。規則正しく――時折、予想もつかない振動に身体を揺すられて。
「……ん…ふっ……」
 何かがスーツの上からお尻を撫でている。
 柔らかさ確かめるように、強すぎず、それでも確かな圧力を持った感触。
「んんっ♪」
 今度は胸に。わずかに開いた隙間から差し入れられた手に、量感のある乳房を掴まれる。
 厚手の布地の上からでも、指の感触がわかった。
「ああんっ! 強いですネ……ダメです、スーツ皺になっちゃいますネ……」
 非難の視線を正面の男性に送るが、それはあくまで『スーツが皺になる事に対して』であり、無遠慮に動く手の感触にではない。
(んふぅ……んんっ…あふっ……んっ……ふぅ……)
 グロスが光る唇をしっかりと閉じて、声が漏れないよう押さえこむ。
 後ろから回された手に、豊満な2つの膨らみが形を変える。
 自分の身体のふにゅん♪ とした感触を、下からすくい上げるように掴まれ、その柔らかな膨らみがブラで押さえているにも関わらずに、たゆん、と弾む。
(んんっ……気持ちいいです…ネ)

 出社前でなければ、このまま――

 『じゅん……』と、身体の奥底から溢れだす感触。
(あ……ダメですネ。下着汚れちゃいマス)
 服が汚れては困るのだが、男達にそれを伝えようにも、開けば声を出してしまいそうで口を開けない。

 ――朝はあくまで『挨拶』のみなのに……本気になっちゃいそうデス…んんっ!

 いつの間にか――最初は痴漢を注意したのがきっかけで――恒例となった、顔見知りとの朝の『ご挨拶』。服がしわになったり、汚れたりするとこまるので、あくまで服の上からのタッチのみが暗黙のルール。

 ぴっちりしたスーツに包んだ肢体が、電車の揺れとは別にゆらゆらと――揺れる。
(ひゃうウンッ!! おっぱい!! 潰れちゃいますネ!!)
 満員電車特有の熱気と、身体から湧き上がる熱に、白い肌を紅潮させる。

 あと――何駅で……会社に着くんでしたっケ?

 決してイってはいけない、本気になってもいけない、もどかしさの中に漂いながら、ケイトはぼんやりと、この心地よくも、つらい時間を楽しむ――


「今日は何時に終わるの?」
 ようやく、駅に着いたケイトに一人の男性が声をかける。
「ふぅ……ん…今日はいつもドウリだと思いますけど……」
 熱の引かぬ身体――それでも、駅に着けば終わり。
 震える膝に力を込めて開いた扉から降りるケイト。
「帰りに時間が合えば……またヨロシクお願いしますネ♪」
 名残惜しそうな……残念そうな男達に向けて、とびっきりの笑顔を浮かべて――ウィンク♪
 ぴりりりり……と、発車を告げる音がなり、再び動き出す電車を見送り、ケイトは改札口へと向かった。

 ――やっぱり……ちょっと濡れちゃいましたネ……

 足を動かす度に濡れた布地の感触に触る。
 当然、替えの下着は持って来ている。
(会社に着いたら着替えよう……)
 ケイトは始業、30分前には着くようにしている。
 途中のコンビニに寄ってお手洗いを借りる手もあるが、ケイトが着く時間には会社には誰も来ていない。
 濡れた下着の感触はあまり気持ちいいモノではない。ケイトはいつもより、少し足早に会社へと向う。
 身体を刺激されたおかげで、残っていた眠気もすっきり――だが、

 ――気持ちイイし、おめめもばっちりなんですが……身体が火照ったママがツライんですよネェ。

 ―*―

「おはよう、ケイト君」
「おはようございます〜♪ カチョウ。今日は早いですネ?」
 会社へと到着すると、既に課長が出社している。いつもならば、5分前でもめずらしい人だ。
「はっはっは。今日はちょっと早起きにしてね」
 先ほど、電車内でケイトの身体を愛撫していた人達と同じくらいの年齢である。
 今のところは、仕事ができるのか、出来ないのか謎の人だが、要所で「この人、実は仕事ができるんジャ?」と思わせる。
(嫌いじゃないンデスが……ネ)
 ちょっと、セクハラが多い人だ。研修に来た初日から、お尻を何回も触られたし……今でも遠慮なくケイトの胸に視線を送ってくる。
「しかし、ケイト君は真面目だねぇ…社会人になっても学生気分の抜けない連中も多いのに」
「ソデスカ?」
 あまりにも露骨な、隠そうともしないねっとりとした視線の中、おしゃべりに適当に応えながら、ひんやりとした感触に、腰が落ちつきなく動いていまう。
「あれ? もしかして……」
 その様子に気付いたのだろう。
「トイレ我慢してるのかい?」
「……カチョさん……」

 ――それ、セクハラですヨ?

 相も変わらない――毎日似たような事を言う――発言。
「アメリカなら、訴えられてますヨ?」
 目の前の男性に、非難を込めた目を向ける……しかし、顔を笑っていた。
(コノすとれーとな表現は、本国の男の人みたいでスネ)

 自分より、遥かに年上だが――なんとなく可愛く感じてしまう。

「……難しいなぁ、心配してるだけなのに」
 心配……と、言いながらも――顔、いやらしいデスよ?
「セクハラの基準は、『言われた本人次第』ですからネ♪ カチョさん、気をつけた方がイイですヨ?」
「本人次第……ってことは、ケイト君はどう? オレの行為はセクハラかな?」
 舐め回すような視線の熱に、ケイトは全身を包み込まれる。
「う〜ん……どうでショウ?」
 あいまいに――日本で憶えた『お茶を濁す』――答える。それよりも……
(……あぅ……また……)
 下着に感じる冷たい感触――とは別に、暖かなじんわりとした感触を股間に感じて、ケイトの身体が小さく震える。
 そして、それとは別に――
(はうぅうう……ホントにおしっこもしたくなってきマシタ……)
 ずっと、濡れた下着を履いていたせいだろうか? ちらちらと、課長の後ろのドアへと視線を送る。
 小さな街の商社だ。あまり大きな事務所ではないし、社員の数も多くない。女性の数もケイトを入れても殆どおらず、一般家庭用のトイレを男女兼用で使用している。
 そのトイレの前に狙ってか、偶然かはわからないが、課長は阻むように立つ。
「カチョさん……」
 にやにやと、いやらしい笑みを浮かべて、何かを期待する表情。

 ――ワザと……ですネ、しょうがない人デス……

 ため息を一つ。何を望んでいるかは分かっている。が、これ以上はこちらの我慢が持ちそうにない。
「おトイレに行きたいので、通して貰えまス?」
 さすがに、男性におトイレの報告をするのは――ちょっと恥ずかしい。
「ああ! ごめん、気がつかないで」
 ウソだ。言わせたかったクセに……わずかに身体をずらした課長の横を抜けてトイレへ入る。
 後ろ手に扉を閉め、しっかりと鍵をかける――まさかとは思うが、覗かれない様――もどかし気にズボンに手をかける。
「こういう…時は、この手の服はタイトで脱ぎにくい……ですネ」
 ふりふりと、大きく白いお尻を揺らしながら、ズボンと下着を膝まで降ろし、そのままペタンと便座にお尻を乗せた。
「ふぅ……間に合い……マシタネ……」
 安堵の吐息と共に、全身の力が抜けた。
 ちょろちょろと、流れる落ちる音が耳を打ち、開放感が寒くもないのに背筋が震わす。

 ――はうぅ……気持ち……イイですネ♪

 我慢していただけ合って、なかなか終われない。
 扉の向こうで、何やらごぞごそと動く音がするが、きっと課長が聞き耳を立てているのだろう。
(見タリ、見ラレタリは恥ずかしくて……それが気持ちイイのデスが、音だけ聞いてて楽しいのデショウカ?)
 恥ずかしい事には変わりないが、向こう側で興奮している課長を想像すると、おしっことは別に下腹が震える。
(……しょうがナイ…ですネ、覗かれるよりはイイですネ……)
 羞恥と、興奮に頬を染めながら、止まらない放流に身を任せた――その刻、

『がちゃり……』

 と、はっきりした金属音の響きと共に――

「ほわいっ??」

 ゆっくり――スローモーションの様に――開いたドアの向こうに立つ課長。
「知ってた? この手のトイレって……簡単に鍵開けられるんだよ?」
 にやにやと――イヤラシイ――笑みを浮かべて、自慢げに手にもったドライバーを揺らす。
「知ってマスけど……?」
 事故防止のための簡単に外から開けられる鍵……それくらいは知っている。
「まだ……終わってナイのでドア……閉めてもらえマス?」
「おっと……ごめんよ」
 言葉どおり……扉を閉めてくれた――って、
「……カチョさん?」
 狭い、人2人でいっぱいいっぱい。ケイトはきょとんとした表情で課長を見つめる。
「アノ……恥ずかしいのデスが……?」
 至近距離、音どころか目の前で異性に排泄を見られている――
 ちらりと、恥ずかしさのあまり伏せた顔を上げると、満面の――けっして爽やかとは言えない――笑みを浮かべた課長の、ねっとりとした視線を下半身に感じて、慌てて太ももを閉じた。
 お腹に力を込めたせいか、心なしかおしっこの勢いが弱まったような……
「あうぅうう……」
 羞恥に耳たぶまで朱に染め――肌が白いので、紅潮するとピンクに輝き――出来る限り視線から隠そうと、両手で足の間を隠すが、それでも音と匂いは隠しようが無い。
「カチョ……さん?」
「あっ! ……ああ……」
 じぃーっと、凝視している課長に呼び掛ける。
(あ……ちょっと…大きくなってマス)
 見降ろされる格好。目の前に課長のズボン。まだ本調子ではないのだろう、わずかにしか盛り上がっていないが、目の前なので大きくなっているのが分かってしまう。
「恥ずかしいので……出てって欲シイのですネ」
「ごめんごめん……でも……オレもしたくなってね」
 にやりと――下腹部から視線を『外せない』事に気付いて――課長が笑う。
「だったら、私が終わるマデ待って下さいネ」
「うん、だからこうして待ってるけど?」

 ――出来れば……外で待ってて欲しいのですガ……

 出ていく気はない課長の態度に、ケイトは諦めを込めてため息を一つ。
「さすがに…恥ずかしい……ですネ」
 ほんの、わずか30センチくらいの距離から、ねっとりとした視線が絡む。
(あ……また少し大きく……)
 じゅん…と、身体の奥から潤いを感じた。
 朝一のスキンシップで燻ぶり続けてきた官能が、ここに来て一気に噴出しようと奥底でマグマのように沸き立つ。
「んっ……」
 意識せずに漏れる甘い吐息。
 狭いトイレの中で2人きりと言う空間に、現実感を奪われていく。
 じっとりとした汗に混じった『女の匂い』が、『男の匂い』と混じっていくのがわかる。
「はふう……んんっ」
 止まらない水流が無ければ、今すぐ自分を慰めていたかもしれない。

 ――切ない……ですネ…

 淫熱に瞳が潤む。
(気持ちイイこと……シたいです……)
 目の前の、気持ち良くしてくれるモノに――望むものは、すぐそこに在る――ケイトの白い喉がごくりと上下する。
「ごめんなさい……ネ…ケイト……まだおしっこ止まりソウもナイでス」
「……ごくりっ………ああ…いっ…いいよ…、ゆっくり待つから……」
「それじゃ……ワルイですネ、トイレはココしかないのですカラ………」
 ズボンの上から課長のモノに触れる。
(硬い……デスネ)
 柔らかくて硬い不思議な感触を、形を、確かめるように手の平でズボンの上から撫で回す。
「!! ケイト…くんっ!?」
 驚いたような声が頭の上から響くが、拒む気はないらしい。
 ズボンの下でむくむく硬くなっていくモノが、窮屈そうに布地を押し上げるのを感じて、安堵の笑みが浮かぶ。
「窮屈そうに震えてマス…こんな……我慢してます…ネ」
 ベルトは外さず、チャックだけを降ろして隙間から手を差し込むと、じんわりと蒸れた熱気の中から、狭い場所で震えるモノを解放する。
「うふふ……元気ですネ♪ こんなに暴れてマス」
 逃げようとする暴れん坊にきゅっ、と指先を絡めた。
(硬くて……大きいデス……ぴくんぴくん震えてマス♪)
 鼻腔をくすぐる『雄の匂い』と、手に感じる熱さ――やや黒ずんだ男性器に思わずうっとりと見惚れてしまう。
(これガ……私のナカで暴れタラ……)

 ――どれほど、キモチイイでショウ?

 自分のナカに、この硬い感触が荒々しく突き入れられたコトを想像すると、下腹がきゅうっ、とその感触を求めて蠢く。
「ちょ……ケイッ!? ……ト??」
 手の平を包み込むよう被せて、そのままこすこすと、先端を撫でる。
「とっても……熱いデスネ」
 もう片方の手で先っぽから、根元までゆるゆると上下に動かす。
 まだ、湿り気が無いので優しいタッチで、手の平に伝わる力強さを確認しつつ、くすぐるよう軽めの刺激を与えていく。
(ごくり……すごい……ですね)
 いやらしく自分の指が絡むモノは、さすがに年季の入った様相で、びきびきと血管を浮き立たせ、ケイトの指に合わせて気持ちいいと主張するようびくりと震える。
「えうぅうううう……」
 身体を安定させるために、スタンスを広げ、口内に溜めた唾液を片方の手に落とす。
(んんっ……すごい……視線に触られてる見たいデス)
 勢いは少なくなってきたが、いまだ止まらぬ小水と、本来は隠すべき秘部を課長に晒し――見やすいよう、足を大きく開いて――唾液を絡めた手で、今度は力を込めて肉棒を扱く。
(ぬるぬるを……カラめて……これなら痛くありマセンネ)
「っくぅ……すごぃ……上手いなぁ……っぅ」
 気持ちよさそうな声が耳に響く。手に感じる脈動でも、課長が気持ち良くなっているのはわかる。
 わずかな血管の盛り上がりを確認するよう、手の平を強く押しつけながら粘液を塗り広げるよう動かすと、ぐちゅぐちゅと、濡れた音が狭いトイレの個室内に響き、それに重ねるよう2人の荒い息づかいが室内に木霊す。
(あうぅう……終わっちゃいました……)
「あっ……ふぅう……」
 随分長く止める事の出来なかった奔流がようやく終わり、余韻に身体を小刻みに震わせる。
「ゴメンナサイ……ネ…もう少しで……終わります…ネ」
 腰をわずかに突き出し、おしっこと、それ以外のヌルヌルで濡れた秘唇を見せつけながら、濡れた瞳で課長にお願いする。
「ここ……綺麗にしたいんです……ネ」
「いや……うっ…はぁ……のんびりと…で……」
 右手で課長への奉仕を続けたまま、左手を自分の秘所へと運ぶ。
 熱し潤ったソコを、自らの指で割り開くと、残ったおしっこと共に愛液が滴となって落ちた。
「うんっんん……」
 柔らかなお肉の盛り上がりに指で触れているだけで、じんわりと刺激が生まれてくる。
「んっ……ふぅ……っうう……」
 入り口に当てた指は、吸い込まれるように膣内に引きこまれていく、
「ひゅうっ!! ううんっ!」
 指に感じる、うねうねとした肉の蠕動が、貪欲に奥へと導き、膣全体が収縮し、ぬめり、漏れだした愛液が、手の平から手首まで滴り落ちる。
「ぬるぬる……どんどん…んぅ!! 出てきまスぅ……あはぁんっ!!!」
 指にくすぐられて膣内の襞は、甘い快感を生まれて、その度に肉棒を包む手に力を込めてしまう。
「うわぁつ! すごい!! ケイト……君!!」

 ――ヤラシイ音、してマス。

 両手を動かす度にぐちょぐちょと粘液が音を立て、いやらしい匂いが鼻腔をくすぐる。
「カチョさん……スミマセン……綺麗にして……貰えマス」
 両手が塞がってマス……と、課長にオネダリ。
「あっ……ああ……」
 課長は慌てながら、備え付けのティッシュに手を伸ばすが、
「駄目ですヨ? 課長……手が汚れちゃいますヨウ……ソレ、お願いしマス」
 備え付けられたウォシュレットへ視線を向ける。
「あぅ……こっちか……」
 少し、残念そうな響き。

 ――触りタカッタ……ですカ?

 ちょっと、可愛く見えてしまう……と、身体の力を抜いたその時。
「ひゃうぅうんんっ!!!」
 確かに、綺麗にしてくれるようお願いしたが――
「あひっ! ひぃんんっ!! んんんっ!! んひゃぁ!!! それ!! お尻ですぅう!!」
 心の準備が無い場所に刺激が走る。
 暖かな水流が当たっているのは後ろの穴だ。
 勢いよく噴出される水は、窄まりの少し先まで入ってくる。

 ――気持ちイイ……ですケド……
「ちがっ……そこじゃナイですぅう!! はぁあんっ!!」
「えっ?? ああっ!! ごめん!!」
 どうやら狙っての行動ではないようだが、
「あぅんんっ! んんっ! はぁ……はっ!」
 驚きが消え、水の感触に慣れてくると、じんわりとした刺激を身体が受け入れ始める。
(これ……考えた人……天才かもしれませんネ……)
「あっ……こっちか、男は使わないからわからないんだよねぇ……」
「ふあい? ………あっひゃああんんっ!」
 背筋をぴんっ、と伸びた。
 今度はちゃんとビデを押してくれたらしいが、
(イっ! イキナリすぎっ…デスネェぇ!!!)
 お尻に感じる心地よさに弛緩していたところに、温いとはいえ、敏感な粘膜に水流が当たる。しかも、ちょうど最も敏感なピンク色の小粒に直撃だ。
「っはぁ! ああっ! あんっ!! ああぁあ!!」
 水の勢いに包皮が押しのけられ、直接、クリトリスへ当たっている。
「ひゃぁ!! あっ! あひゃあ!! 大事なトコ!! 綺麗にされてっ!! ますケド!! 刺激っ!! 強いデスぅううう!!!」 
 びりびり、電気が流れているような感覚に、身体を仰け反らせて快楽を享受する。
 あまりの快感に、課長への奉仕も、忘れて甘い刺激にはしたない声を上げて悶える事しかできない。
(スゴ…いぃ……柔らかいドリルで……削られてるみたいデス……)
 ウォシュレットでのオナニー? がこんな気持ちいいとは思わなかった。
(タシカニ……普通に使っても気持ちイイです……けどネ)
 これは……使う度に思い出して変な気持になりそうデス――
「はふぅ……ぅう…はぁ……」
 気持ちいい、が――悲しいかな――単調な刺激でしかない。

 ――んんっ……ソコじゃアリマセン……もすこし……奥…あんっ…物足りマセンネ……

 もぞもぞと腰を揺らして、当たる角度を調整するが、欲しいところへの刺激はない。
(やっぱ……コレじゃないト……ナカまで……掻き回して欲シイデス)
 手の中の熱い感触は、どんどん存在感を増していく。手をゆるゆると動かすと、再会した刺激に喜ぶよう手の中で跳ねた。

 ――硬いノ、欲しいです…ネ

 クリトリスからの痛気持ちいい感覚でも、もうその場しのぎにもならない。
「カチョさん……お待たせしまシタネ……」
 浅く息を吐きながら、名残惜しいが課長のたくましいモノから指を離す。
 目の前で元気よく弾む男性器に、喉がひり付くよう乾いた。
「ええっ!? おわ…り?」
「ハイ。ケイトは終わりデス」
 何とか、ごくりと唾を飲み込むんで呼吸を整る、紅潮したままの肌に浮かぶ汗に妖しく身体を光らせ、密室の中、下半身を丸出しにした男女。それに似つかわしくない――いつもの、人懐っこい――笑顔を浮かべるケイト。
「次はカチョさんの番……ですネ」
 ちょん…と、年齢の割は逞しく反り返った逞しいモノを指でつつくと、狭い空間の中、何とか身体を起こす。
「やっぱ……2人だとぎゅうぎゅうですネ」
 扉は先ほどと一緒、課長の後ろ。呆気に取られている今なら抜けだせるかもしれない――が、
「よい……ショっと」
 足首に引っ掛っていたズボンとショーツから片足を抜き、便座を跨ぐと課長に背中を向ける。
「これなら……出来ます……ネ?」
 身体を前屈させ、狭い室内の左右の壁に手をつき支える。後ろの課長からはケイトの恥ずかしい場所が――濡れそぼり、何かを求めるようひくつく穴が――丸見えになっているハズ――
(こうしないと……カチョさんができません……カラ)
 ほうっ、と熱のこもった吐息。無意識に揺れる身体に合わせて、少し大き目のお尻をふりふり――
「ド・ウ・ゾ♪」
 ごくり……と、課長の喉が動く音が聞こえて――
「……!! んんぅあああァああアアああ!!!」
 一気に押し入ってくる熱い塊。
 ちかちかと、目の奥で光が瞬く。開いた空間を一気に埋め尽くされる感触は、甘い疼きを湧きあがらせ、ケイトの肺の奥から空気を絞り出す。
「ああっ……はぅ……ああ……カチョ……さ…ん……ひぎぃいい!!」
 深い部分まで埋め尽くされ、引いたと思ったらまた、ずんっと突きこまれる。
 課長の動きに余裕はない。暴力的な突き込みに身体を大きく揺さぶられるが、喉から漏れる吐息に混じるのは快感の音。
「ちがっ……!! ちがい……マスッ!! 『どうぞ』はワタシじゃなくて……ひゃあんっつ!!」
 肉と肉がぶつかり合う音と、抽送の度に濡れた音が響く。
「んんっ! あふっ! ああっ! あぁはぁああ!! トイ……トイレをどうぞ……ですネ!!」
 ――嘘、こうなる事を期待……イイえ、わかってましたネ……

 身体は正直。膣内は乱暴な突き入れを安々と受け止め、ケイトに望む快感を与えるよう柔肉を剛直に絡みつかせ、締め上げて、舐めしゃぶり、余すことなく味わおうと動いている。
「そんなこと…言ってもねぇ…男はこの状態じゃ、ションベンでないんだよ?」
 腰を止めぬまま、当然…とでも言うように膣内のモノを大きく動かす。
「あひゃああああ!! あんっ! ああぅ!! それは…ひゃふぅ!! 仕方……しかたないっいぃいい! ですネェエ!!!」
 狭く、快楽を求めて緊縮していた咥内を、無理やりこじ開けて押し進んでくる。引き抜かれる度に、再び閉じようとする膣道を間髪おかずに、何度も広げられる。
 ずんっ! と衝撃がお腹まで抜け、よろよろと体勢崩しそうになる身体を突っ張って必死に耐える。
「おっ!! おおぅ!! ぐぅうう!!! あっはあぁあ!!」

 ――気持ちイイ、すごく!! 

 大きさも、硬さも、もっと逞しいモノをケイトは知っている。しかし、待ち望んでいた堪え性のないだらしない蜜穴には、何よりの御馳走――
 力強い抽送に応えるよう、腰をもじもじと揺らして膣内を削る角度を変えていく。
「けい……ケイトがぁ……! ひゃんぅ! お待たせ……シタせいっ!! デスぅう!!カラぁあああ!!」
「イイ子だねぇ、ケイト君は……最近の若いコにしてはホントイイ子だ」
 2人の声に、籠った陶酔の音。
 駆け引きもなく、ただ気持ち良く――貪る。
「ああっ! あんっ!! はっ! はぁ! ああんっうぅ!!」
 お腹の奥へと届く衝撃に、跳ね上がる身体を包むワイシャツは、大玉な胸の乳圧に耐えきれず、2,3個のボタンが弾け飛んだ。
「あうぅ!! ムネっ! 壊れちゃいましタ!! 胸……重いデスぅう!!」
 押さえの緩くなった乳房の揺れは、更に激しくなり、それに引っ張られてバランスを崩しそうになる。
「待って……もう少しっ!!!……」
 逃げようとしたと勘違いしたのか、後ろから伸びた手が 腰の辺りに回され、がっちりと固定された。
「あひゃぁ!! おっ! おうぅ!! おおっ!!!」
 課長に支えられる形で身体は安定したが、押さえられているので衝撃を逃がせず、後ろからの衝撃に身体を翻弄される。
「うわ……大きいと思ってけどすごいねぇ……後ろから見てもぶるんぶるん揺れてるのがわかるよ!?」
「っふぅ! はぁ……ケイトの…! んッ! 自慢ですネ!! あっ! んっふぅうう! はぁ! あっ! あっ! あはぁあんっ!! ぃぃいいい!!」
 感覚が甘い快楽を産む部分のみに集中され、自分の中で動いている熱い感触を強く噛みしめる。
「すごっい!! デスぅうう!! カタくて!! 大キクて!! とっても強イですぅネェえ!!」
 室内に反響するケイトの甘い――快楽のこもった、いやらしい声。
(ここ……会社なのに……いつ…誰が来ても……おかしく…んっんん! あ……?)
 今、2人の嬌声と結合部がたてる濡れた音の他に、何か――
「きゃうぅっ!! はっ! はあぁぁああ!! ああっ! 気持ちぃい…すごぃィイイですネ!!」
 一気に身体が昂り、溢れだしそうになる快楽に、絶頂へのカウントダウンが始まる。相手もそうだろう、小さな痙攣を繰り返し、先ほどより膨張した肉棒はケイトの膣内を更に圧迫している。
「はぁっ! はぁつ! ああぅ!! そこ! そこデスネ!! ぐりぐり!! 気持ちいイですネ!!」
 もう余裕は無い、切羽詰まり、口から出る言葉は簡単な単語でしかない。
「あっ! ああっ!! もう!! 出そう!! 出る!!」
 限界を告げる声に、膣内を圧迫していた感触が消えていく。
「ダメ!! です!! イキますぅう!! ケイトもっ! モウぅううう!!」
 後ろに倒れ込むよう、お尻を押しつけて、抜けさろうとする課長のモノを自ら最奥へと導いた。
「ケイっ?? 駄目だって!! もう出る!! 膣内は!! さすがにっ! マズぃいいって!!」

 ――ダメ……欲シイのです。熱いのが……

「大丈夫っ!! デスから!!! 下サイ!! ケイトのおナカにぃ!!」
 正直、大丈夫な日だったか――オボエテイナイ。
 が、今は気持ちいい事だけを考えたい――考えられない。
 課長を背後の扉に押し付け、絶頂を求めて腰を動かす。
 しなやかな肢体を大きく伸ばし、溜めを作っては気持ちいい場所を探して腰を進める。
「あぅ! はぁ!! はぁつ!! ああっ! あっ! ハァあアアん!!!」
「うわぁ! あっ!! 締まっ……あっ! ああ!!」

 ごりっ! と、お腹側の気持ちいい場所を擦られて――

「ぃっ! きぃい!! マスぅうう!! ぃいい!!!」
 鬱積した快感が、奔流となって開放された。
「あぁあああァああ!!! あぁ! あっ! ぁああ!!!」
 『震え』が――ケイトにとっての主観で――ゆっくりと、足先から少しずつ昇ってくる。
「あっ……はぁ……はっ……」
 『おこり』のような痙攣の度に、吐息が押し出される。
 お腹に流れ込む、こぷこぷとした感触。自分の身体の奥が少しずつ満たされていく。

 ――お腹……イッパイに…ナってマス……気持ちイイです……ネ…

「あつ……いぃい……ですネ……はふぅん…」
 ぐったりと、脱力し、2人そろって身体を壁に預ける。
 情後の、何とも言えない達成感が心地よく、気だるげな空気に心を浸す。

 ――好き……ですネ、この瞬間……

「すご……かった……けど…ナカに出してだいじょう……んぷっ」
 言いかけた課長の唇に、人差し指を当てて塞ぐ。
 ムードが無いデスぅ……と、心の中でため息をつき、
「気持ち……良かったデスよ? ………今は、ヤボは聞きたくナイ……あふっ……」

 ――とろり。

 太ももを伝わる精液の感触に、身体が震えた。
「です……ネ♪」


 ―*―


「ちょっと……セクシーになっちゃいましたネ」
 身支度を整えると、鏡に姿を映しておかしいところが無いがチェック。
「いや……喜ぶんじゃない? うちの連中も」
「カチョさん……気楽ですネ、スーツも皺になっちゃいました…ぐすんっ……」
 ボタンの取れたシャツの間から覗く、大ボリュームの胸が造り出す谷間には、情事の汗が浮かんだままだ。

 顔も、身体もまだ火照っているが、それは心地よい余韻の残り火――

(会社の人とは……シナイつもりだったのです…ガ)
「気持ち良かったよ」
 後ろ髪を撫でられながら、首筋に軽くキスしてくれる。
「この事……内緒…にしてくれる……よね? オレの奥さん怖いし……」
(う〜ん、もう少し余韻に浸っておきたかったデスけど……ネェ?)

 ――社会に出て、思う。オトナは大変だと。

「ハイ……ナイショ……ですネ♪」
 デキちゃってたら困るが、その時はその時デス♪ と、ケイトは微笑む。
 時計を見れば、もういい時間だ。他のみんなもそろそろ出社してくる。
 少々慣れてきたこの職場も、今日から少し刺激が増えそうだ。
「ドコ見てるんデス?」
「いやぁ……やっぱよく見ればおっぱいの大きさが想像以上だなぁ……と」
 口止めしておいて、視線はしっかりと、ケイトの窮屈から開放された胸元を覗いている課長。
(いつも、『よく見ていた』と思うのデスが?)
 それ、セクハラですよ? と課長に釘をさす。

 ――課長は気付いていないのだろうか? さっきまでドアの向こうで人の気配がしたのを?

「さて……そろそろミンナ来ちゃいますヨ、出ましょうカ?」
 ワザと、扉の向こうにも聞こえるように伝える。

 ――さすがに、今鉢合わせはバツが悪いですし……ネ♪

 楽しくなりそうな予感に、満たされた余韻とは別の――これは期待? に身体が震える。

 ――いい『社会勉強』、できそうですネ♪