美由紀編 ―ストレイシープー その3


 情報を整理しよう、と渡辺美由紀は考える。

 全てはあの1本の電話から始まった。
 美由紀に『牝犬』になれ……と脅迫してきた電話。
 それから、美由紀にとって想像を絶する日々が始まった。
 最初はノーパン、ノーブラで登校するように指示を受けた。
 それから、どんな人間が着るのよ!? とツッコミたくなるような格好で、外を歩かされた。
 宮乃森学園の男子の性の相手もさせられた。
 最初は手やら口やらでの処理が、だんだんと性行為中心となり、複数を同時に相手させられる事もあった。


 その全てがいつ見つかるかもわからない――まるで美由紀の羞恥心を煽るような――場所ばかり。
 街中、昼夜問わない学校の校舎内。
 今考えれば、いつ見つかってもおかしくなかったが――まるで、初めからその場所での行為は安全を保障されていたように――見つかる事は無かった。
 ――今思えば、美由紀が相手をした男達は、見つからないと知ってあのような大胆な行動にでたのではないか?
 ――『脅迫者』を中心にまるで、情報を共有している?
 組織的……そう考えればつじつまは合う――が、目的は?
 どうやら、男達はお金を払っている訳ではないらしい。


 度重なる陵辱と、たくやとの色事で開発された性感を差し引いても、美由紀を抱く男達は必ず美由紀をイかせる男達ばかり。
 寺田に関しても、テクニックはないが、その太すぎる肉棒と漲る力強さに結局イかされた。
 女性を抱くのが初めての子達の相手もさせられた――結局、イってしまったが――『脅迫者』の目的は、まるで美由紀を男達に抱かせる事が目的の様にも思える。

 ――自分は考え方を間違っていたのか?

 考え方を変えよう――美由紀は疲れた身体をベッドに横たえる。
 
 確証は無いが、確信はある。この演目の脚本家は誰か――
 しかし理由がわからない――ならば、
 

 ――さあ、今日はもう寝ましょう? 『美由紀』。そろそろ、この演目もクライマックス。


 そっと瞼を閉じる。
 ――後はもう演じるだけ、答えは近いうちに必ず出る、グランドフィナーレは近い。


―*―


 ――わん♪。


 渡辺美由紀は――身も心も犬になりきったよう――嬉しそうに鳴いた。


 普段は大人びた美貌に無邪気な笑みを浮かべて、フローリングの床を四足で進む。
 向かう先は男達の座るソファー。
 これからたっぷり可愛がってくれる、優しいご主人様たちが待っているのだ。
 着せてもらった可愛い衣装――濃い赤のカップレスのブラが、大きく柔らかい双乳を根元から押し上げ、ショーツは秘所を覆うわずかな布地以外は、腰周りからお尻まで紐のような布地が走っているだけだ。


 白く柔らかな肢体を男達に見せ付けるようにゆっくりと近づいていく。
「……いやらしい下着だな…」
 年の頃は30代くらいだろうか? 男が呟くと、美由紀は足を止めて恥ずかしそうに、くぅ〜ん…と、身体を丸めた。

 隠す、保護する類の下着では無い、自分の為の下着ですら無い。
 ただ、男を興奮させる為だけの下着。
 演技のために磨いた見事なプロポーションは、同年代と比べても遥かに女らしく成熟し、 且、男に貪られ、絶頂を繰り返し、より淫猥に磨かれた肢体は女であることを強調し、自分が『女』である事を主張している。
 なだらかな曲線を描く身体を申し訳なさそうに、しかしどこか誇らしそうに男達の視線に晒し、美由紀は男達の言葉を待つ。

「どうした? こっち来いよ?」
「わん♪」
 美由紀と同年か、それより少し上であろう若い男の言葉に嬉しそうに一鳴き、胸の膨らみを重そうに揺らしながら、再び四つん這いのまま進みだす。
「すごい……ほんとの犬みたい……」
 こちらは明らかに美由紀より若い少年。
 焼きつくような欲望の視線ではなく、まるで憧れのモノを見るような熱い眼差しに美由紀は尻尾を振って喜びを表す。
 ――より犬らしく、お尻の穴へと入れてもらった尻尾をふりふり。
「わふっ♪」
 ごりごりと、尻尾を揺らす度に、中に入り込んだ硬い感触に腸内を刺激される。
 絡み付く視線と、お尻を穿つ刺激に悶える身体は、乳房の先端を硬く尖らせ、薄い布地の奥に隠された秘部を熱い粘液で濡らす。
 興奮に――大きく開いた口から舌を覗かせ――本物の犬のように短く荒い息を吐く。
 口元から唾液が筋となり零れるが、お構いなしに濡れた舌を大きく伸ばし、一人のご主人様の足元へたどり着く。
「くう〜んっ…」
 上目遣いで初老の男の膝に頬を摺り寄る。
「ほっほっほ、かわいい犬じゃのう……」
 品のよさそうな、年季の入った手が美由紀の頭を撫でてくれる。
「くんっ♪」
 まるで本物の犬にするように、頭から耳へと手で撫でられながら、少しかさかさした指の感触に顎下を擽られ、心地よさそうに目を細めて美由紀は喜ぶ。
 いつの間にか集まってきた男達に、うなじと背中も撫でられて、くすぐったさに身をよじるが抵抗はしない。
「ひゃううんっ!!」
 舌は大きく突き出したまま、口から漏れる嬌声を堪えることも無く、撫でてくれる手の温もりに身を任せる。
「ほら、ミユキちゃん? お手!」
 目の前に向けられえた手の平に美由紀は反応する。
 美由紀は賢い『牝犬』だ、ご主人様が何を望んでいるかはわかるし、芸の後にご褒美が待っているのを知っている。
「わおん♪」
 元気よく返事をして右の手の平をちょこんと乗せると、「おお〜」と周りから歓声が上がる。
「じゃあ……お座り!」
 膝立ちだった足を立て、よろけないよう両手を前について身体を支え、「わん」と鳴く。
「じゃあ、これは? ちんちん!」
 身体を伸ばし、ボリュームのある乳房を両腕で寄せて、手首はちょこんと曲げて太ももを肩幅以上に広げる。
「わん♪」
 大きく開いた足の間に在る、少ない面積の布地は、ぴったりと濡れた秘唇に張り付き、その形を浮かび上がらせた。
 普通の女性であれば冗談でも着ない淫猥な下着と、それに際立たせる隠微な仕草。
 屈辱的な姿勢にも素直に、嬉しそうに従う美由紀に劣情を煽られ、男達のざわめきが大きくなる。
「よく……できたね〜、ミユキちゃん」
 少々上擦ってしまった声を出し、男は美由紀を撫でる。
「んん〜♪」
 優しい主人の愛撫に、美由紀は『ちんちん』の姿勢のまま、腰を揺らして尻尾を動かす。
「ひゃわんっ!」
 不安定な姿勢で、腸壁がごりごりと擦られ、内部を掻き回され足から力が抜ける。
 膝がぶるぶると震えるが、『待て!』の命令が無いので『ちんちん』をやめられず、褒められて喜ぶ尻尾を止めることも出来ない。
 ――命令を聞くのが嬉しくて仕方ない……はしたない『ちんちん』の姿勢のまま、尻尾を振るたびに、きつく咥え込んだ入口が甘く疼く。
「はふ! はっ! はっ! はっ! はっ! …きゅぅう〜んっ……」
 牝犬――美由紀は舌をだらしなく垂らしたまま、お尻を振ってご主人様の命令を待つ。
「ああ、ミユキはご褒美が欲しいのかな?」
 とっくに気付いているのにわざとらしく尋ねる男。
「わんっ!!」
 口内から溢れる涎に構うことなく美由紀は必死に返事をする。
「じゃあ、姿勢はそのままで、皆でかわいいミユキをグルーミングしてあげよう」
 男達の手が美由紀の全身をくすぐる。
「ミユキは肌が綺麗……いや、いい毛並みをしているなぁ」
 大人の手でも余る巨乳がぐにゃぐにゃとパン生地のように無遠慮に揉まれ、緩急をつけて刺激される。
「真っ白で、すべすべしてる……それに柔らかい……」
 背後から恐る恐るお尻に触れてくる感触、壊れ物を扱うようなタッチは、焦らされているようでもどかしい。お尻も強く!と催促して身をくねらせたが、気弱なご主人なのだろうか?「ひっ!」と可愛らしい声を上げて手が離れていく。
「くふぅ〜んっ……」
 まあるい膨らみから消えた感触に、悲しそうな鳴き声を上げる。
「ほら、あんちゃん。ミユキが寂しそうにしているぜ?」
 男の苦笑。
「こうして……可愛がってやらないと…な!」
 力任せに双球がつかまれ、左右に広げられた。
「きゃんっ!!」
 突然の事に体勢が崩れそうになったが、周りが許さない。
 ご主人様達の手に体重を預けたまま、『ちんちん』の姿勢を続ける。
 開かれた尻たぶを、元に戻そうときゅううっとお尻の穴を窄めるが、男の手がそれを許さない。
 収縮する腸壁が尻尾を益々強く締め付け、ごりごりと逆流してくる異物の大小のくびれを粘膜に感じてしまう。
「はふっ! はぁっ! はっ……わ……んっ」
 快感に仰け反ると、その重量感たっぷりの乳房を揉む手に支えられ、柔乳は自分の体重に引っ張られて形を変える。
 胸先に走る甘痒い痛みに腰が砕けそうになるが、お尻を広げる手が座ることを許さない。
 胸を嬲られ、お尻の尻尾を締め付けたまま、腰を前へと突き出し悶える美由紀、湧き出る愛液がショーツを濡らし淫猥な秘唇を浮かび上がらせる。
「あれ? ミユキはトイレの躾はまだだっけ?」
 濡れて張り付いた布地の上から、秘裂の形を確かめるよう指でなぞられ、上にある敏感な突起を摘ままれると、美由紀は快感に咽び身体を震わせる。
 クリトリスは痛いくらいに張りつめ、被さった包皮は既にめくれ上がっている、その上から摘ままれると滑らかな下着の感触と、圧迫される痛みに似た刺激は、震える腰から揺れる双乳まで一気に駆け抜けた。
「きゃわんっつ!!! かっ! はゅあ! はぁっ!!」
 じんじんと熱くなる胸の奥、心臓は早鐘を打ち、更なる快感を求めてご主人様に濡れた瞳を向ける。
「ははっ、気持ちいいんだ? こんなにも溢れさせて」
 ぐじゅぐじゅと熟れた音を立てて、下着越しに開き始めた陰唇を弄られると、男の言葉どおりに湿った音が布地の奥から聞こえる。
「駄目だよ? ちゃんとおトイレは決められたところでしなきゃ?」
「ひやわっ! ……わんっう!」
 「わかりました」と、大きく鳴くが、しこり切った胸の先端を摘ままれ、お尻を掴む指先が力強く食い込み、敏感な突起と涎を垂らす秘唇を責める指は止まらない。
 身体から興奮の為に汗が吹き出し、ぬらぬらと光沢をまとう。
「わひっ! ……はぁっ……ああぁああ……」
 弛緩しきった膀胱は堪え切れなくなり、熱い液体がちょろちょろと溢れ出す。
 大きく伸ばした舌を震わせたまま――今、トイレの事を躾けられたのに――心地よさそうに、排尿の感触に身を任せ、うっとりと甘い息を吐く。
「うわっ! ホントに漏らしやがった!?」
 中腰の安定しない姿勢で、身体を弄ぶ腕に身体をあずけたまま、幾つもの視線の中で熱い迸りの解放を続ける。
 下着に広がる感触と熱さに、腰を震わせながら、淫蕩に溶けた瞳を虚空を彷徨わせた。
 ――粗相をしたからオシオキされる。
 賢い忠犬は――いつの間にか涙が伝って――頬に熱いものを感じながらも、始まるであろう厳しい躾に、こともあろうか期待に下腹が疼かせた。
「こりゃ……オシオキだな」
 言葉とは裏腹に嬉しそうな男の声に――
「くぅ〜んっ……」
 申し訳なさそうに美貌を伏せる。

 ――そう、申し訳ない。期待して身体を火照らせている。何て浅ましい駄犬だろう?

 『牝』の匂いを放つ液体が広がる足元。震える四肢に力を入れ、何とか自分の身体を支えて、男と女の『匂い』が混じりあった空間の中で、期待と不安を込めた視線をご主人様一人一人に向け、尿に濡れ重たくなった下着を脱ぐと、四つん這いの姿勢になり、ご主人様のオシオキを待つ。


ぴしゃっ!!


 乾いた音が室内に響き、美由紀は痛みに髪の毛をぶんぶんと揺らすが、四つん這いの姿勢を崩さない。
 何発目のオシオキだろう? 赤みの入った白いお尻を揺らす。

ぴしゃっん! 

 乾いた音を立てて、張り詰め、鋭敏になった皮膚を打たれる痛みに一瞬、腰を落とすが、すぐに高々と持ち上げて次のオシオキを待つ。
「わかったかい? ミユキ。おトイレじゃない場所で粗相したらどうなるか……」
 言葉と同時にもう一発。
 痛みに背筋が跳ね上がるが、お漏らしをした自分が悪いのだ。
「わぅんっ!」
 真っ赤に腫れたお尻に衝撃を受けるたびに、尻尾が揺れて美由紀の腸内を掻き回し、快感となって愛液の止まらない膣内を蠢めかせる。
 ――オシオキされているのに、感じてしまう。
 浅ましさに涙が出そうになる――なのに、心とは裏腹に火照りを覚えた身体はお尻を突き出し、次のオシオキを期待し、肉付きのいい柔らかなお尻を尻尾と一緒に揺らし、口を開きかけた花弁まで男達の視線に晒す。
「んっ? ミユキ……またおトイレかい?」
「くうぅうん……」
 恥ずかしそうに首を振って否定する。
「じゃあ……これは?」
「わふっ!! ……ひゃぁいんっっ!!」
 膣口を突然刺激されて全身が粟立つ。形を確認するようになぞられ、ぞわぞわとした感覚が広がっていく。入口に指を優しく這わされて、快感の声が上がる。
「トイレじゃないのか……ふむ、ミユキ。自分で広げなさい」
「きゅうんっ?」
 四つん這いの状態でのご主人様から命令、腕を使えずどうしよう…?と困っていると、『伏せ』の合図。
「わん♪」
 胸を床に押し付けて身体を支える、豊かな双乳を床に押し付け、腕の変わりに胸で身体を支えて、自由になった両手でお尻の膨らみを左右に開く。
 ちゅっ……と音を立てて口を開いた陰唇に視線が集まる。
 尻尾を咥えたお尻と、ひしゃげた胸の先が床に擦れる甘い快感に、薄紅色のお肉を覗かせる膣内をひくひくと震わせる。
「…きゅう〜んっ……」
 外気に晒らされることのない膣肉に空気の流れを感じる。
 肌に汗が浮かぶよう、膣内から湧き出してくる愛液の感触に、さらにその様を大勢のご主人達に見られていると思うと、羞恥が汗となって全身から滲み出た。
「すごい……」
 聞こえて来たのは感嘆の声と、ごくりと喉が動く音。
「わふぅ……」
 硬くしこりきった乳首を床にぐりぐりと押し潰すと、床と身体に挟まれて圧迫され無残に形を変えている乳房が波打つ。
 オシオキであったことを忘れて自ら身体を揺らして快感を得ようとする美由紀。
 圧搾される胸も、お尻の中でごりごりと動く尻尾も、ご主人様に見ていただけるおまんこも気持ちいい――犬のように大きく伸ばした舌を震わせ、溶けた瞳をご主人様達に向け、うれしそうに喉を鳴らす。
「………わふっ?」
 ご主人様達の表情がおかしい。笑みを浮かべてはいるが、いつもの可愛がってくれる時の顔ではない、あれは――オシオキの時の顔だ。
 自分がオシオキの最中であることを思い出し、慌てて身体を止めようとしたが快感に酔う獣の本能は止められない。
「わふぅ! あんっ! あっ! あふっ わぁう! わんっ! わぁ…んんっ!!」
 がくがくと腰を振りたて、尻尾のごつごつした感触を揺らして、腸内への振動に溺れる。
 ――気持ちいい……のに物足りない。身体は止めどなく愛液を溢れさせる秘唇への刺激を求めている、なのに――
「わっ……ふぅううううううううううううううううぅっ!!! んんんっ!!」
 ――イってしまう。
 己の浅ましさに涙しながらも、喉奥から絶頂の咆哮と轟かせて昇り詰めてしまった。
 力なく崩れ落ち、お尻は突き出したまま、フローリングの床に絶頂の吐息を吐く。
「ふぅうんっ……、きゃわ…んっ…」
「すごいな、見られてるだけでイっちまった」
 濡れそぼる膣内に指が差しこまれ、確かめるよう、くちゅくちゅと音を立てた。
「……くふぅ〜ん……」
 視線の定まらぬ瞳を伏せ、更なるオシオキを覚悟して短く鳴いた鼻先に、べったりと自分の白濁を纏った指が突き出される。
「きゃうん…はふっ…ちゅっ…ぺろ…ちゅっ、ちゅむ……んくんく……」
 絶頂に溶けたまま、ちゅぷちゅぷと舌先で粘液を掬い取る。
 濃縮された性の香りが鼻腔を通り抜けるのも構わず、汚してしまった指に舌を這わす。
「ちゅ……ぺろっ…ぴちゅ…んんっ……きゃふっ!?」
 別のご主人様の指が、ヒクつく膣口に触れる。
「くぅ〜……ん」
 オシオキを覚悟していた美由紀は、目の前の指を清めながら鼻を鳴らす。
 入口を浅く刺激するだけで中まで指は入ってこない――それでも、絶頂を向かえたばかりなのに、身体は充分に熱くなって――淡く、甘い痺れに我慢できず、恐る恐る腰を動かす。
「わふっ! …ん……」
 喉から上がってきた嬌声を何とか飲み込む。叱られるかと思ったがご主人様は何も言わない。
 喜悦の声を押し殺しながら、お尻を大胆に振って、絶頂の余韻に震える膣肉を擦りつける。溢れるほどの愛液に濡れた牝穴は簡単に口を開けて、ご主人の指を飲み込もうとすると、感触が消えていく。
「……わん」
 おねだりすると、秘裂をなぞるような指の動きが再開される。
 浅く弄ることはいいが、咥えこむのは駄目らしい。
 美由紀は物足りなさそうに喉を鳴らすが、やはり指を奥へと入れてもらえない。
 しょうがないので自ら上下に腰を動かし、膣口への刺激を感じながら、引っかかりの無い床板で胸を押し潰し、お尻の穴を締め付けて中のごりごりした感触を強く動かす。
「きゃわんっつ!!!」
 腸壁越しに――お尻の内側から――膣壁を擦られ、疼きの止まらない下腹が波打つ。
「くふぅんっ! わうっ!! わんっ! きゃんっつ! わふうぅつ!!!」
 裏側からとは言え、望んでいた刺激に出会い、一際高い嬌声を上げて尻を振りたくる。
 敏感な腸内を抉る硬い感触が動くと、粘膜から振動が伝って膣内にまで届く。
 絶頂により過敏になった膣腔は、益々愛液を溢れさせて、秘裂にそえられた指を愛液で濡らす。
「わひゅううっ!!!」
 ざらりとした感触に、下腹部の敏感な突起を撫で上げられ、顎が跳ね上がる。
 感じすぎるので刺激しないようにしていた突起は、すでに皮を捲くり上げ、顔を覗かせている。
 鮮やかな紅色のクリトリスを摘まむように刺激され、ざらざらに感じる指の腹の感触に、快楽の境界線を越えぬ痛みに、一気に高みへと押し上げられた。
「っ!!! わふぅううううううううううっ! わっ…! ぉおおおおおおお!!!!」
 痙攣した身体が何度も腰をびくんっと跳ね上げ、喉から溢れる獣の咆哮。

 ――…わぉ……んっ………くぅん……

 力無く頭を垂れて、瞳孔を裏返らせた美由紀の唇から出る、か細い呼吸音。
 あれから何度もイかされた。
 伏せの体勢のまま、ご主人様に尻尾を激しく出し入れされ、愛液の飛び散る膣口を弄られたまま、ひくひくと震える淫豆をまるで、男性のオナニーの様に扱かれ、何度も、何度も、最後には声も出ない状態で絶頂を繰り返した。
 身体は絶頂の余韻に、時折びくんっと引きつけを起こした様に跳ねる。
「……わふぅ……」
 ずるり――あれほど深く咥えこんでいた尻尾が押し出され、開ききったお尻の孔は大きく口を開き、窄める力も残っていない。
 ただ、一度も弄られなかった膣奥が、全ての力を振り絞るようきゅうきゅうと収縮している。
 そう――お尻で、胸で、乳首で、クリトリスで、時には排尿の感触でさえ――何度も絶頂を向かえたにも関わらず、一度も膣内への刺激は無い。
 絶頂のたびに膣襞は何も入っていないのに――条件反射で――締め付け絶頂感と喪失感を募らせる。

 指一本も動かせないのに――
 何度もイったのに――

 膣奥にある、浅ましい袋が求めてしまう。
 胎内に満ちる命の熱さを。

 美由紀を含め、その場の全員が衣服を纏っていない。
 誰もが昂った剛直を美由紀に見せつけながらも――誰一人、美由紀に入れようとしない。
 ――誰でもいい、誰か――
 濡れた唇から舌を覗かせ、求める。

「わぉ……んっ……」

 獣――いや、美由紀は獣ですらない、獣であれば産み、育てる為に欲求める。
 しかし、美由紀は――満たされたい――快楽を貪る為だけに欲する。

 ――ただ、気持ちいいだけではダメ、獣の『ように』貪り、貪られたい――自分は『獣』では無く――


 『牝犬』なのだから――
「美由紀さん、かわいい♪」
 突然、吐息のみの静寂を破り、明るい声が聞こえた――


―*―


「目が覚めた? 美由紀さん?」
 声が聞こえる――安心できる、落ちつける声が――
 ぼんやりとした視界に1人の少女の姿。
「くぅん……」
 力無く返事を返す。
 ――寝ていたのだろうか?
 美由紀は、白いシーツの上に横たわっていた。
 同じベッドの上に寝そべり、先ほどの女性に髪を撫でられる。
「うふふ♪ 随分イかされちゃったね。気持ち良かったでしょ?」
「わんっ♪」
「大変だったんだよ? 身体も汚れてたのに気絶してるから……あ、お風呂に入れてあげたのはあたし♪ 美由紀さんの寝顔、可愛かった〜♪」
「くぅん?」
 抱き締められた。
 ぎゅっと身体を包まれ、柔らかく暖かい身体から、暖かな体温と落ち着けるリズムを刻む鼓動が伝わってくる。
「わっ! あはは♪ くすぐったいって」
 少女が、自分を可愛がってくれるのが分かる。
 ――なので嬉しくて――目の前の柔らかな身体に舌を走らせる。
「あははははっ♪ もう、美由紀さん! やめてって……」
「わふん♪」
 少女に静止され、顔を上げる。
「びっくりした? あたしがここにいて?」
 綺麗な瞳が美由紀を覗きこんでくる。
「わおん? ………わん♪」
 柔らかな膨らみを舌でなぞり、その先端のこりこりとした感触を舌で転がす。
「わっ!? 駄目って!! 美由紀さん……あはは……ひゃんっ!!!」
「ひゃおん!?」
 大きめの声に怒られたと思ったが、気持ちよさそうに身体を揺すっている。
 美由紀は楽しそうに、硬くなった乳首を舌で弾く。
「くぅ〜んっ……わん♪」
 舐めにくい……丸い膨らみはその柔らかさのせいで舌から逃げる。
 そう思った時、しなやかな少女の――いい匂いのする御主人様の――指がが美由紀の乳房へと触れる。
「もう……美由紀さんだってこんなに硬くして……」
 硬くなった胸の先端をころころと指でくすぐられ、今度は美由紀が身体を震わせた。
「ひゃわっ! んんっ!! わふん!!……わっんっつ!!!」
 御主人様の指は優しく、どこが気持ちいいか知っているように、美由紀の口から嬌声を溢れさせる。普段は邪魔にも感じる乳房を揉まれ、こね回される甘い刺激に全身が熱くなる。
 硬くなった突起を弄られながら、美由紀も真似をして御主人様の柔らかな乳房に指を沈めた。
「んんっ……」
 指で固定した豊乳の先端を舐める。今度は逃げていかない。
 薄いピンクの突起に舌を絡ませ、自分の胸がされているように、指で膨らみ全体を刺激する。
 口内に赤く充血した乳首を含み、甘噛みしながら舌で上下左右に弾くと、
「あふっ!! んんんっ!!」
 ぎゅうっと頭を押さえられて、汗の滲む肌へと押しつけられ密着度が増す。
(いい匂い……)
 鼻腔を擽る香り――
 甘い肌――
 なぜか……懐かしい――
「わ………ん?」
 心の中でざわざわと、何かがざわめく。

 初めて見る御主人様――初めて?

 瞳を潤ませ、唇から熱い吐息を漏らすその表情。

 ――見たこと……ある?

「『たくや』ちゃん? 始めるなら声をかけてくれないと」
 男達の声が聞こえた――


―*―


「ひゃあああんっ!!」
「きゃふぅんんぅ!!」
 身体の奥に深く潜り込んできた感触に、美由紀の口から歓喜の声が上がる。
 ベッドに上半身を預け、後ろから逞しいご主人様のものが入ってくる。
 ごりごりと膣内を削られ――それでもどろどろと愛液を溢れさせる――美由紀は白い裸身を震わせる。
 奥へと潜り込んできたソレが、ゆっくりと引き抜かれ、きゅうきゅうと締め付ける入り口まで戻ったその瞬間、一気に奥底へと突き進む。
 どすん! と芯まで響く衝撃。
 そして再び、ずるずると、ゆっくり無くなっていく圧迫感。
「わふっ!! うううううううううぅうううううう!!!」
 喪失感に焦り、自ら腰を後退させ追いかけようとするが、ピンクに色づくお尻を押さえられてしまう。
「んッ! あん! もっと!! 奥までぇ!!!」
 向かいあうように正面にはたくや――さっき御主人様がそう呼ばれていた――が美由紀と同じように、後ろから別のご主人様に気持ち良くしてもらっている。
 快感に蕩け、潤んだ瞳で、美由紀を見詰めるたくやは綺麗だ。
 後ろのご主人様が動きに合わせ、自分と同じ、甘い声を上げて、いやいやと――どう見ても嫌がってはいないのに――身体をよじる。
 一人と一匹の裸身がベッドの上で揺れ、互いに引けを取らない豊かな乳房は、身体の動きに合わせて弾む。
「わひゃあああんっ! わふっ! わふんんっ!!」
 膣内を往復する肉棒のスピードが上がり、びりびりと、処理できない快感を脳に送り込んでくる。
「ひゅんっ! んふふ……美由紀さん可愛い♪ …ひゃわっ!!」
「はひっ! はひっ! はひっ! はひっ! はあああっんん!」
 高々と上げた腰に、ご主人様は身体を密着させると、肉棒を動かして膣壁を掻きまわす。
「あっ……ひゅううううううんっ!!! わぉっ!!!! んんんんんっ!!!!」
「やっぱ、いいな。ミユキちゃんの膣内♪ 入れてるだけで絞りるように絡みついてくる」
「あああっ! もう♪ 美由紀さんのえっ……ちぃいいいいいいいいいい!!!!」
「そう言うたくやちゃんこそ、ぎゅうううううって、まるで手で握られてるように俺のに食いついてるよ?」
 目の前の裸身が踊る。
「だってぇ!! ミユキさんがえっちで! おちんちんがこんなに硬くてぇえええ!!!」
 嬉しそうに、淫蕩な笑みを浮かべるたくやに見られながら、美由紀はびくんっと身体を痙攣させる。
 ――気持ちいのが来た……。
 軽い絶頂に小刻みに膣内を収縮させ、中の肉棒を締め付けた。
「わひゃあああああああんんんっ! おんっ!! おんっんんん!!!」
 再開する抽送。
 絶頂を得て、過敏になった膣肉を容赦なく擦られ、食い縛った膣道は肉棒の形に変えられていく。
「はふっ! わんんんっ!!! んんんっ! あひゃあううううううんんっ!!!」
 漏れ続ける快感に溶けた声。
「すげぇ……もうっ!!! 出すぞ!!!」
 胎内の感触が大きく膨らむ、秘唇を押し広げた肉棒の根元から昇ってくる脈打つ感触。
 先端が美由紀のお腹を押し上げ、膣の奥――子宮口に密着する。
「わふぅぅ!!!!」
 慣れ親しんだ――お気に入りの瞬間に身体が震える。

 ――四つの絶頂を告げる咆哮。

「はぁ……はふっ………ああっ………」
 どくん、どくんっと、鼓動を刻み、胎内で震える感触に合わせて美由紀もまた、絶頂を迎えた。
 膣内の奥の奥、子宮口に流れ込む暖かな液体を、口を開けて呑み込み、吸収する。
「おっ…おふっ……わっふぅうううう……」
 熱い感触に膣内を満たされ、シーツに顔を埋めて満足そうな美由紀。
「あっはぁあ………。んふっ♪ …はぁ……気持ち良かったね…美由紀さん……」
 同じく絶頂を向かえたたくやが微笑んでいる。
「わふ♪」
「んふふ♪ 安心して? まだまだ、たくさん気持ち良くなれるから♪」


―*―


「わおおお……おおお……おお…」
 どろりと、前のご主人様の精液を残したままの膣内を、ぐちゃぐちゃと卑猥な音をたてて別の肉棒が掻き回す。
 獣に相応しく、後ろから組伏されて、反り返った男性器と、再び入れてもらったお尻の尻尾に、敏感な粘膜を両側から擦られると頭の中でぱちぱちと火花のような気持ち良さが弾ける。
 肉棒が膣内を逆走する度に――どれだけ出されたのだろう?――愛液を纏った白濁液が結合部の隙間から掻き出され、床に白い染みを作っていく。
 ほぐれた膣内は乱暴な抽送に、精液と愛液を潤滑液に、受け入れ、快感を与える。
「すごいのぉ、蕩け切ったいい肉壷じゃ」
 ご主人様の満足そうな声に「わおん♪」と応える。
「こっちも……先生の膣内……気持ちいい……」
 たくやは、若いご主人様の上に自ら腰を降ろして迎え入れ、両手にそれぞれ肉棒を掲げ持ち、指を遊ばせている。
「あふんっ!! んんっ! いいっ!! ああんっ!! 気持ち……いいぃっ!!!」
「わふぅううっぅ! わふっ! わっ! はっ! はぁおおおっ!!」
 嬌声が重なり、荒い息使いが部屋中を満たす。
「おおおんっ!! おぅ! おっ!! わぁおぉおおおおおっ!!」
 充分に高まった性感は、あっという間に絶頂へと到達する。
 白い裸身を仰け反らせて、ひくひくと震える美由紀とたくや。
 虚空を見詰め、身体を戦慄かせて――やがて、美由紀はシーツの上に、たくやは少年へと身体を預ける。
「あふっううぅぅう……はうぅ……わぉ……ん……」
 どくどくと、膣内へと注ぎこまれる感触。
 自分の意思とは無関係にきゅうきゅうと締まる膣肉が、最後の一滴まで膣内に搾り出さそうと脈動を続ける男性器を締め付ける。
「わぉおおん……わふっ……はぁ…」
 ずるりと、イったばかりの膣壁を擦りながら剛直が抜けていく。
 ぽっかりと開いた膣穴を晒しながら、美由紀は満足気に微笑み、感謝を込めて尻尾を揺らすと、揺れ動く股の間から、精液の残滓が溢れ出し太ももを伝う。
 波々と袋を満たす精液は子宮口から溢れ、逆流を始めた。
「ダメダメ。まだ入れておかない……とっ!!」
「わふぃいいいいいいんんっ!!」
 だらしなくお尻を突き上げた格好のまま、精液を排泄しようとしていた秘所に次の肉棒を入れられると、脱力し、弛緩しきった身体に電気が走り、びくんっ! と背中を仰け反らせ、快感を堪える。
「イきすぎて、ちょっと鈍くなってるだろうから、しっかり可愛がってあげないとね」
 まだ若い、美由紀より少し年上であろうご主人は、覆いかぶさりながら甘い吐息を交じえて耳元でつぶやく。
 耳朶を朱に染め、震える耳に舌が這わされると甘く――背筋から胸まで弱めの電気が流れるような――もどかしい感覚が走る。
「ひゃわっ!! わぉっ!! んんんっ! わひゃあんんっ!! わふぅ!」
 漏らさないようにと、肉棒で栓をされた膣内はゆっくりと、快感に慣れないよう一突き毎に微妙に角度を変えて抜き差しされる。
 膣道に残る精液は、愛液と共にカリ首によって掻き出されたが、子宮に溜め込まれた分は身体の揺れに合わせ、たぽたぽとお腹の奥で動く。
「ああんっ!! あっ!! んんっ! そんな! 後ろまで…! いっ! いぃいいいいい!!!」
 たくやの絶叫。
 秘所に挿入する若いご主人様は、一度精を放ったにも関わらず、離したくないと、身体を預けるたくやを抱き締め、萎えぬ肉棒を必死に上下させる。
 抜かずの再開に、他のご主人様は「若いねぇ」苦笑しながら、もう一つの穴へ肉棒を入れる。
「あっ!! あああっ! あがっ!! がぁあああああああああああああ!!」
 美由紀に負けない獣の咆哮。
 欲望のままの男達の動きに、がくんがくんと、壊れた人形のように身体が揺れている。
 半眼になった瞳は虚空を彷徨い、快感が漏れる口から、だらしなく舌を――まるで『牝犬』のように――覗かせている。
 溶けきったたくやの貌が、ほんの数センチ前で上下する。
「わふぅううう!!!……はぁ……ああぁ…」
 美由紀は快感に喘ぎながらも自らの舌をたくやの舌へ絡め、後ろから押される動きに合わせて、唇へと啄ばむようなキスを繰り返す。
 目の前の淫靡な光景、舌に感じる甘い感触。優しく掻き回される膣内から来る快感に、腸壁はごりごりした尻尾を締め付け、その圧力で腸内に入った異物を押し出していた。
「あれ? ミユキちゃんも後ろに欲しいのかな?」
「わおんっ!!! わうっ!!」
 たくやと唇を重ねながらおねだり。
「う〜ん……」
「わっひぃいいいいいいんんっ!! おぅおぅ! おおぉお………」
 突然――引き抜かれた。
 ごりんっ!と、連続した感触を腸壁に伝えながら、窄まった穴を無理やり押し開いて引っ張り出されていく。
「おうっ! おっ! おおっ! おっ! おおぉおおおおおおんんっ!!」
 一番奥に届いていた小さめの玉が抜け、太く硬いごつごつとした圧迫感は腸内からなくなり、開放の喜びに美由紀は絶頂へ昇る。
「おうっ!! はっ! はぁっ!! はっ! はっ!!」
 美由紀の腸内に入っていた長さは20センチ程、大小様々な形の玉が、男の手の中でぶらぶらと揺れている。
 はぁはぁ、と荒い息をつきながら、開き、弛緩したまま閉じられない肛門は男達にぬらぬらと蠢く腸内のピンク色の肉壁を晒す。
「わふぅ……」
 排泄感での絶頂は体力を使う。
 全身に新たな汗の玉が浮かばせ、ぐったりと――膣内を掻き回す感触すら忘れ――身体を脱力させる――しかし、
「やっぱ、犬には尻尾があったほうが可愛いな?」
「ふぅ…わふ……わん? わぁっ!」
 ぽっかり口を開けた菊門から逆流してくる感覚。
 小中の玉はすんなりと、大きめのサイズですら入口にわずかな抵抗を感じた後、するんっと、窄まらない穴が飲み込んでいく。
「おおおおぉおおおおんっっ〜!!」
 普段は出すだけの器官から、逆流して登ってくる違和感に全身が粟立つ。
 背中の奥の神経がざわめき嫌悪感に吐き気まで込み上げてくる――にも関わらず、それら全てを塗りつぶす甘い感覚が広がる。
 拒否反応と、悦楽への飢餓感が同時に押し寄せ、押し止めようと蠕動する腸の働きに逆らい奥へと進む違和感に、身体を痙攣させながら、快感を貪ろうと自ら腰を動かす。
「わふっ! わうっ! おふぅう!!! わぉおお! おっ! おおっ!!」
 膣内をがりがりと引っかかれ、腸奥へと進む快感と混ざり合い、出しているのか、入ってくるのか分からない。
 お尻に全ての玉を咥え込むと、次はまた出され、入れられる。
 秘所を穿たれながら、お尻を同時に攻められ、熱くゆらゆらと炎のような快楽に理性を焦がし、燃やし尽くす。
「んんぅ! んんっ〜」
 ピンク色のフィルターのかかる頭の中で、快楽を受け入れ、求め、目の前の濡れた唇を貪る。
 舌を絡ませ、口内を蹂躙し、される。
 溢れる唾液をたくやに送り込み、たくやの唾液を飲み、欲す。
 ミルクを舐める子犬のように、ぴちゃぴちゃと音をたて熱い吐息を交わし、ただひたすら唇と舌を絡める。
「わふんっ!! んんっ! ああぁ!! んっ! んんっ! ああああ!!」
「イくっ!! イっちゃうの!? 美由紀さん!? イこう? 一緒にっ!! ぃいいい!!」
「ああっ! わふぅ!! わん!! わはっ!! んっ! んふぅううううんん!!!」
 体内のどこかで閃光が走り、爆発が起こる。
 身体を大きく波打たせ、目の前で優しく微笑む少女に微笑み返しながら、美由紀は今日何度目かも分からない絶頂を向かえた――


―*―


「ふぃたいっ!! ひたい!! みひゅきさふっつつ!!! ひたいって!!!」
 ぎゅうううううううううっと、鼻の頭を摘まれてたくやが泣きそうな声を上げる。
「これくらい我慢しなさい! ホントにもう……」
 最後にぴんっと、弾いて鼻を開放してあげる。
 美由紀の目の前には、本日の陵辱に参加した男達は後ろ手に縛られ正座させられていた。
「あれぇ? おかしいなぁ……美由紀さん。メロメロになって……あたしの言いなりになる予定だったのに……いたひ……」
 赤くなった鼻の頭を押さえながらたくやが呟く。
 ――何がめろめろよ……ぎろりと、睨む。
 まぁ、ヤバかったのは確かだ。
 羞恥心も麻痺させられて、前後不覚になるまでイかされ続けた……それを何日も繰り返させられたのだ。すっかり身体は開発され、少しの事でも発情してしまう。

 お尻を抉られながらの絶頂後、結局、全員を交えての大乱交。
 美由紀はたくやを含め、全員をイかせた後、余韻にまどろむ男達を縛り上げた。
 ――後は、『脅迫者』を見つけるだけ……と思いきや、『脅迫者』など存在しなかった……厳密に言えば相原たくやが『脅迫者』なのだが……

「だって、えっちしてる時の美由紀さん、可愛いんだもん♪」と一言。

 レズばかりでは物足りず、かと言って美由紀に「一緒に男の人に抱かれません?」とは言えないたくやが取った手段が――美由紀は大きなため息を一つ――このシナリオだ。
「相原くんねぇ……そんなくだらない事の為にこんな大掛かりな事したの?」
 ジト目で睨まれ、「そうです……」と力なく返事を返すたくや。
 聞けば聞くほど馬鹿らしい、惚けるたくやに共犯者を尋ねてみると、化学部の後輩に、有名な金髪の留学生。教師である保険医まで関わっている。
 組織的な動きは元々、化学部が中心となってこのようなパーティーをしていたらしく、その参加者達に強力をお願いしたらしい――その中には寺田以外にも、学園の校長もいるとか……。
「でも、よく耐えられましたね……、みんな上手な人ばかりなのに……」
 あたしは骨抜きにされたのに……と、感心したよう呟くたくや。
 確かに全員上手だった、が――
「……女を甘く見たらダメよ? 相原くん」
 女は皆、女優――と、美由紀が微笑む。
 段々と開発されていく身体と、快楽に溺れる心に、美由紀が取った行動は――
 
 『役になりきる事』
 
 自己催眠にも似た集中力で、美由紀は『美由紀』になる。快楽に素直で、何度イかされても物足りないと感じる淫乱な『牝犬』に。

 そして、『役』は芝居と共に終り――美由紀に戻る。

(もっとも……身体はそうはいかないんだけどね……)
 開発された身体は美由紀と『美由紀』の共有のモノ。

「……美由紀さん怒ってる?」
 当たり前だ、怒らない理由がない……のだが、呆れてはいるが、自分でも不思議な程――怒らないといけないのに――怒りを感じない。
「ごめんさない……って謝っても許せないだろうけど……どうしても美由紀さんが……」
「……私が……何よ?」
 怒った表情を『造り』、たくやを睨む。
「えと……あの……その…綺麗で…可愛くて……その……もっと、えっちしたくて……」
「やりようなら他にあるでしょ!」
 思わずツッコみ――納得する。
 綺麗で、可愛い? それはあなたでしょ? 相原くん。
 ……ああ、嫌いになれないのだ、相原たくやを――だから怒れない、逆に欲求めてくれた事が嬉れしいと感じてしまっている――
 結局、惚れた弱みと言う奴で――最初から行き着く先はここ。

 渡辺美由紀は、相原たくやと言う人間が、たまらなく可愛く、愛おしい――

「ふぅ……」と、美由紀はまた、ため息をつく――厄介な子に惚れちゃったなぁ……と。


 乗りかかった船――快感を受け入れた身体は戻らないし、たくやがそのつもりなら戻す気もない。望んだのはたくやなのだ。片桐さんには悪い気がするが、肌を重ねる事に遠慮する気はもう――ない。
 ――正直、あの貪られる快楽は手放せそうにもない――
 愛しい人が求めてくれるなら、なおのこと――

 それが罪であることは自覚している――片桐さん、こめんなさいね?――しかし、『犬』は、『羊飼い』に言われれば、罪のない『羊』達でも追いたてる。

 理由は一つ、御主人様が望むのだから――

 ――わおん♪

 心の中で美由紀は、嬉しそうに、鳴く。

 ――もっとも、流石に今回の件には、きっちりオトシマエはつけてもらおう。

「相原くん? とりあえずは今度の文化祭にでも、演劇部の助っ人として出てもらうわよ?
 飼い犬にご褒美を上げるのも飼い主の務めなんだから――ね?」
 言葉を一区切りし、
「まさか…………イヤとは言えないわよねぇ〜♪」
「美由紀さん! 怖い! 何か怖い!! 笑顔なのに、背筋がゾクゾクするんですけど――」
「ふふ♪ どんな役が相原くんには似合うかしら? 勇者様とか演ってみる?
 もちろん、女の子になった勇者様だけど――人妻の勇者様ってのもあるけど?」
「何それ!? どんな話ですか!? って、二択!? 決定!?」

「ええ?」と、困ったような表情のたくやに、美由紀は嬉しそうに微笑む――
 
 ――結構、悩んだのよ、私。相原くん、少しくらい困らせても……許して――ね♪