E)明日香ルート 1
たくやの傍で倒れた時、急な体の不調が薬によるものだと明日香は薄れ行く意識の中で悟っていた。
そもそも、松永先生が計画した今回の旅行の間、明日香には一時たりとも心休まる時間は存在しないのかもしれない。
この旅行の目的は、宮野森学園を卒業してしまう明日香達四人を最後に心行くまで弄ぶ事が目的なのだ。特に明日香は、在学中は松永先生に胡散臭いものを感じて距離を置いていたため、たくやと違って肉体関係に及んだ事は無い。……だからこそ、最初の“獲物”にされてしまったのだ。
出発の二日前、泊り込みで手伝って欲しいといわれた時点でおかしいと心のどこかでおかしいと思っていた。けれどたくやたちとの卒業旅行と言うイベントに心躍らせていた明日香はその事に気をとられ、また旅行を企画してくれた松永先生への拒否感も薄れてしまっていた。
準備を整えて松永先生の自宅を訪れた明日香に待っていたのは、倒錯的なまでの肉体関係……最初に出されたお茶に混入された痺れ薬で意識はあるのに指一本まともに動かせられなくさせられた上で、指の一本一本に至るまで徹底的に嬲りつくされたのだ。
その行為に快感を感じなかったといえば嘘になる。たくやしか知らない明日香の身体は蠱惑的な美貌を持つ保健医の指と舌とで数え切れないほどのアクメを向かえ、トロトロになった割れ目からは愛液が噴き出るほどに絶頂を繰り返した。歯を噛み締めても付きあがってくる快感に堪える事は出来ず、一時間もすれば防音の聞いた室内に木霊した悲鳴は甘く蕩けた喘ぎへと変化する。
たくやが女になってしまって性的に満たされない部分もあったのだろう。痙攣が収まらない膣壁を指先に擦り上げられると、顔をしかめながらも恥丘を突き出し、ねだるほどに落ちてしまう。
バイブも使われた。一本のディルドーでひとつに繋がりもした。大きく開脚させられた太股の中心に拓也のものより太い張り型を突き入れられてむせび泣いた。
出発までの二日間、松永先生は寝食も忘れて明日香の瑞々しい肉体へ徹底的に快感と絶頂の記憶を刻みつけた。もちろん口止めをした上で……もとい、ばらせないよう脅迫した上で、そして旅行を台無しにしたくなければ、旅行中は絶対服従する事を約束させられ、明日香はこの場所にまでやってきたのだ。
宮野森学園での三年間の思い出を締めくくる大切な旅行……それを台無しにしたくなければ自分が我慢しさえすればいい。そして、松永先生との関係をたくやに知られたくなければ……
―――だが、待ち受けていたのは明日香の思いもよらないような辱めだった。
飛行場に向かう最中ですら、下着の中に入れられたローターの振動が否応無しに明日香の粘膜を刺激し、人目を気にしながらイった回数は数え切れないほどだ。さすがに搭乗口でははずしてもらえたけれど、そのローターは明日香のバッグの中……表面を愛液でヌルつかせた玩具を見た係員がどんな反応をしたかを想像すると、今でも顔から火が出そうになる。
そして同様の行為が、今朝も行われた。たくや、美由紀、ケイト……クルーザーのキャビンには事情を知らない三人も同室しているのに、膣口の内側で小刻みに震える無線式の卵ローターが明日香を責め苛んだ。松永先生の気まぐれでスイッチのオンオフが繰り返され、一瞬でも気を抜けば震える背筋を駆け上るいきなりの快感に身を委ねて声を漏らしてしまいそうになる。
―――知られたくない。気付かせたくない。
三人の……特にたくやの前ではいつもどおりの自分でいたかった。妖艶に歪む明日香の表情を見て、何も気付かずに体調を心配してくれるような鈍感で、だけど一番大切な人にだけは……
「っ……ん………」
まどろんで意識がゆっくりと目覚め、直後から感じる全身の気だるさに眉をしかめながら目蓋を開く。
夢から抜け出したのかさえ曖昧なまま周囲を見回すと、そこは倒れた屋外のテラスではなく真っ暗な室内で、明日香はその部屋の中央に置かれたキングサイズのベッドの上に水着姿のままで身体を横たえられていた。部屋もベッドも信じられないほど広く、一瞬自分の体が縮んでしまったのではないかと錯覚に陥ってしまうほどだった。
「ここは……」
「あら…お目覚め?……くっ、んっ、はぁ…かわいい、寝顔で……あっ…ああ、あああぁ!!!」
突然聞こえた――もしかしたら明日香は意図的に聞こえないフリをしていたのかもしれない――声に両腕で身体をかばいながら跳ね起きる。暗闇の中で目を凝らすと、ベッドから少し離れた位置で揺れるように動く人影を捉えることができた。
――松永先生だ。
「いつ、起きるかって…ずっと待ってたのに…先に始めちゃったわ……あ…はぁ…いいわ、もっと…胸も…おっぱいも揉みしだいて…はぁあああ、あああぁぁぁ〜〜〜♪」
(な……この声…一体何をして……)
窓から差し込むわずかな星明り。それだけしか灯かりと呼べるものが存在しない薄暗い室内でさえ映えるような白い裸体が上下に揺さぶられていた。次第に目が暗闇に慣れてくると、松永先生にもう一人誰かがいて、女性でさえ目を奪われてしまいそうな魅惑的な裸体を抱きしめ、その股間に逞しい男根を突き入れているのを―――
「キャアァァァアアアアアア――――――ッ!!!」
叫び声が唇から迸り、明日香は耳をふさいで目を閉じた。――だが、目にしてしまった光景は明日香の脳裏にくっきりと焼きついてしまっている。目を閉じて視界を塞いでしまうと、目蓋の裏には拓也のソレよりも太いペ○スと松永先生のヴァギナとが結びついているところが明確な映像となって浮かび上がってきてしまい、一度はキツく閉じ合わせたまぶたをすぐさま開いてしまう。
「片桐さんには、刺激が…つ、強すぎたかしら……? も…もう少し待って……今…彼のペ○スがビクビクしてるから……もうすぐ…もうすぐ……はあん!!」
快楽に蕩けた声で優しく語り掛けていた松永先生の声が急に激しい喘ぎ声に変わる。射精が近づいた背後の男が自分に腰掛けているソファーのスプリングを利用し、太く逞しい逸物を荒々しく突き入れ、愛液か精液かわからない白濁液を溢れさせる女陰を荒々しく突き、えぐり、掻き回した。
男はそれだけには飽き足らず、両膝の裏に手を回し、明日香に向けて大きく開脚させた屈辱的とも言える放尿の格好で松永先生を抱え上げる。そして自分が腰を突きあげるタイミングにあわせて美女の体を抱え降ろし、ヴァギナを突き破らんばかりの勢いで貫いた。
「ひうっ、あッ、深…いィ! おマ○コが、壊れそう、ふあ、ああ、んッ…ん、あ、んぁああああああっ!!!」
美人教師の裸体が上下に往復するたびに迸る強制は、耳を塞いでいても明日香の頭の中に響き渡る。まるで怯えなく子供のようにベッドで身体を震わせる明日香の一方、松永先生は巨根を根元までズッポリくわえ込み、うなじに唇を滑らせる男の頭に手を伸ばし、その髪に指を絡ませる。
「ひあっ…あっ、あっあっ、ああっ、壊して、壊しなさい! 私のおマ○コ、あなたのおチ○チンで滅茶苦茶に壊しなさい! このまま、あっついドロドロのザーメンで、私のおマ○コ、おマ○コを、ふあっ、あッ、あヒィ、あああ、ひぁあああああああああっ!!!」
松永先生の苦しげでありながら、長く響く快感に打ち震える声を迸らせる。その直後、背後の男は松永先生のヒップに腰を叩きつけ、亀頭を子宮口に抉るように押し付けながら胎内の一番奥深い場所へ精液を噴き上げる。
ブチュッと結合部の隙間から精液があふれ出し、獣の咆哮の様な男の声がそれに重なり合う。一分以上続く長い射精に身を震わせながら子宮に精液を注ぎいれ、そして松永先生の足を下ろすと、精根尽き果てたかのようにガックリと全身から脱力した。
「はふぅ……んっ……病み付きになっちゃいそうよ……私のおマ○コ、ザーメンでタプタプしてて、とっても熱い……ふふふ……」
普段は保健室で学生相手に性行為に興じている松永先生だが、学生のものとは比べ物になら無い巨根で迎えたオルガズムに満足のため息を漏らすと、腰を浮かせ、張りを失ったペ○スを自分の秘所からズルリと引き抜いた。
「あん…少しやりすぎたのかしら。精液が垂れてきちゃって……広がりっぱなしだからかしら……」
「ヒッ……!」
言いながら松永先生がベッドへ近づいてくると、明日香は身をすくめて小さくなる。次は自分の番なんだ……確信めいた予感に純潔が汚される恐怖が込み上げるが、ここから逃げ出す決意も出来ず、松永先生がベッドに上がってきてもただ怯える事しか出来ずにいた。
「そんなに恐がらなくてもいいのよ。あなたはただ……身も心も委ねていればいいんだから」
「ん、んんゥ〜〜〜〜〜〜!!!」
明日香の口内に濃厚な精液の匂いが流れ込む。
近づかれる事を嫌がって振り回される明日香の腕を押さえつけ、唇を舐め回した松永先生は圧し掛かってベッドの上で身体を重ねながら口付けを交わす。
離れていたときには部屋の暗さも手伝って気付かなかったが、松永先生の全身は滴り落ちるほどの大量の精液にまみれていた。ローションを頭からかぶったかのように、緩やかにウエーブする長い髪から豊満な胸の谷間、見事な曲線を描く背中からヒップへのラインに至るまで、体中のあらゆる場所に男性のペ○スから吐き出された欲望の塊が纏わりついていた。
もし室内が少しでも明るければ、明日香も目にした瞬間に逃げ出していただろう。けれど組み伏せられてしまった今の状況では逃れる事など出来るはずもなく、今回の旅行に合わせて新調したワンピースの水着に松永先生のうらやむばかりのボディーを押し付けられると、スライムもかくやと言うおぞましい感触と音とが明日香の身体を打ち震わせる。
「んゥ……んむぅぅぅ……!」
唇を割って入った舌先が歯茎をなぞり上げるたびに、明日香の整った眉がしかめられ、口付けから逃れようと身をくねらせる。だが、唇と唇の間から響いている音が、松永先生の太股に圧迫された股間からも聞こえてきた瞬間、全身を支配していたおぞましさによる萎縮も忘れて明日香は目を見開き、その拍子に口内への舌の進入を許してしまう事になる。
「んむゥ! んんッ、んッ、んんんゥ〜〜〜!!!」
柔らかい舌が上あごをくすぐり、暴れる明日香の舌を絡め取る。一体どれだけの男根を舐めしゃぶり、精液をすすり上げてきたのか、松永先生の口内から流れ込むオスの臭いは明日香の備考の奥に突き刺さるような刺激を残し、喉へと流れ込んで胸の奥へと充満し始める。重たく絡みついて体の中に沈殿する濃厚すぎる臭気に口をつぐもうとしても許されず、ピチャピチャと唾液のはぜる音が響く唇の隙間から大量の唾液が精液臭と共にあふれ出てしまう。
「ふふっ……そんなに相原くん以外の男の人の臭いはイヤ? ここをこんなに濡らしてるくせに……」
松永先生が唇を離したかと思うと、明日香の左腕を押さえつけていた右手の指が水着に包まれた股間を撫で上げ、するりと内側へと滑り込む。
「っあ!」
指先で秘裂を擦り始めると、すぐにクチュクチュとぬめった音が鳴り響き、明日香は自由になった腕を振り回すことも忘れて鋭く短い声を迸らせる。
「やめ、て……そこは…そこだけは……あ…イヤぁ……!」
瞳に涙を溢れさせて懇願するが、小さく微笑む松永先生が指を膣口へ挿入すると、背中を反り返らせ、湿り気を帯びた声を震える喉から絞り出してしまう。
(どうして……こんなに濡れて……違う、私はこんな事を望んでなんて………)
体は正直……と言うわけでは無い。眠っている間に松永先生に弄ばれていた事がこれほど濡れてしまっている原因なのだが、意識がなかった明日香には当然その記憶も無い。柔らかい膣内を指が貫き、掻き回すと、まだ指一本だと言うのに強烈に締め付け、腰を激しく震わせながら愛液を溢れさせてしまう。
「片桐さんのここはかなり狭いわね。もう少し濡らした方がいいかしら?」
拓也のペ○スならば迎え入れるのに十分すぎるほど濡れているのに、松永先生は親指を明日香のクリトリスに押し当て、膨れ上がった肉芽を擦りあげた。
「ひゃうぅ!!!」
柔肉を掻き分けられ、同時に淫核を刺激されては快感を堪えようがなかった。明日香はベッドの傍に全裸の外人男性が座っているのを意識しながらも声を押し殺すことができず、シーツをギュッと握り締めながら何度も背筋を震わせ身悶えた。
「や、あ…ダメ、そん…な、ぁ……ら…め、や…てェ!」
涙と涎と精液で汚れた顔が苦悶に歪む。見知らぬ男性にあられもない姿を見られている事を意識するほどに胸は締め付けられ、膣の奥から愛液が湧き出してくる。その煮えたぎった淫液を擦り込むように挿入された指が蠢き、皮を剥かれて赤々とした姿をさらけ出したクリトリスを快感をコントロールするボタンのように刺激され続け、明日香はいい様に弄ばれながら全身をビクビクと震わせ始める。
「ああ、ああ、あ…ひ、いッ、あ…うァ、あ、や…やぁあああああああああああっ!!!」
オルガズムが明日香の体を突き上げる。後頭部を反り返らせ、細く整ったラインを描くアゴ先を突き出しながら、膨れ上がったクリトリスごと股間を浮かせ、そして……その中心部から勢いよくおしっこのように愛液を迸らせた。
「あ――――――――――――!!!」
射精……つい二・三日前までは知らなかった女の射精だ。絶頂を迎えた秘唇からまっすぐに迸り、オネショの様な染みを白いシーツの上に大きく作り上げてしまう。
明日香の意識はほとんど吹き飛んでいた。けれど辛うじて保っていた意識は絶頂を迎えてガクガクと震える姿を見られてしまっている羞恥心を否応なくかみ締めさせられてしまい、それがヴァギナを一層締め付け、迸る射精液をより遠いところまで噴き上げてしまう結果に繋がってしまう。
「ふふ……少しいじめすぎたかしら?」
「ひあ…あ…あ……ああぁ………」
射精が終わっても体の震えが収まらず、ガクガクと痙攣している明日香を見下ろし、松永先生は頃合と判断してパチンと指を打ち鳴らした。
「ひ……あ………」
合図を受けた男性がベッドへと近づいてくる。……だがそれは一人ではない。部屋の隅の星明りさえ届かない場所で休んでいたのだろう、引き締まった体つきをした外人の男性がソファーから立ち上がった一人とは別にもう二人、ベッドの傍にまで歩み寄ってくる。
そして三人が三人とも、その股間にはペ○スが大きくそそり立っており、汗に濡れた裸体と合間って彫刻芸術もかくやと言わんばかりの逞しさと美しさを誇示していた。
「今日はあなたが知らなかった快感を教えて上げる……ふふふ、そうは言っても知らない事だらけだったみたいだけどね……」
「も…や……許して…ください……お願い…他の事なら何でもします…だから……それだけは……」
もう旅行がどうなってもいい。明日にでも日本に返されたって構わない。だから拓也以外の男性に抱かれる事だけは避けたかった。……だが、松永先生が口にした言葉は、明日香を更なるどん底へ叩き落すためのものだった。
「別にいいわよ。あなたたち、今日はもういいわ。ゆっくり休みなさい」
「え………?」
松永先生が手を振ると、顔を見合わせた三人の男たちは、明日香達へ腰を折って一礼し、一言も発さずに部屋から出ていってしまう。明日香も本当に許してもらえるとは思っていなかったのかあっけに取られていたが、松永先生も彼らを引き止めず、面白くなさそうに大きなベッドから床へ足を下ろしてしまう。
「あ………」
助かった。
許してもらえた。
松永先生と体を重ね合わされた際に全身に精液がまとわりついたけれど、たくやへの操だけは守る事が出来た。……そう思うと、明日香の胸に安堵感とほんの少しだけ喜びが込み上げる。
だが、
「さて、この事を相原君たちに説明しないとね」
その言葉に、明日香は体を震わせた。
「仕方が無いわよね。急にバカンスを切り上げる事になったけど、片桐さんがイヤだと言ったんですもの。ちゃんと説明すれば分かってくれるわよね、相原くんは」
ベッドから離れ、明日香が目を覚ましていたときに男性とまぐわっていたソファーに全身に纏わりつく精液汚れも気にせず腰掛ける。
「招待してあげた私としても残念だわ。旅費の代わりに……と言う約束だったのにね。けど、改めて請求する事はしないから安心して。ただ、あなたの事をみんなに説明しなければいけないかと思うと――」
「やめてェ!!!」
明日香からは松永先生の表情は確認できない。ただ、一体どんな表情を浮かべているのか……きっと罠にはまった明日香を面白そうに見つめていることだけは想像がついた。
「お願いします……たくやには…たくやにはこの事を言わないで……」
「馬鹿を言わないで。いきなり帰国すると言って納得させられると思う? 片桐さんが私に弄ばれる代わりにこの旅行に来れたんだって説明しなければ、いくら人のいい彼女たちでもわかってはくれないわ」
じゃあ、どうする?―――いっそ死んで考えるのを放棄したい衝動に駆られるが、そんな事をしても無駄なような気がしてならない。
たくやには知られたくない。
たくやへの操を守りたい。
その二つの思いに挟まれて葛藤する。ベッドに顔を向けて俯き、自分の放った愛液で湿ったシーツを握り締めるけれど、考えるほどどちらも捨てることが出来ずに答えは遠のいていき、口を開いても何一つ言葉が搾り出せない。
「う〜ん、もう荷物を出しちゃったかしら? とりあえず内線で連絡してみましょうか」
「ま、待ってください!」
ソファーの傍はおろか、広い室内のどこにも電話などと言うものは存在していない。必要ならば手を叩くだけで従業員が駆けつけてくるだろう。……だがそんな事を知らない明日香は慌てて、苦悩の表情を浮かべたまま顔を跳ね上げる。
「どうして待たなければいけないの? 明日の朝には帰るんだから連絡は早いに越した事は無いでしょう?」
「………分かり…ました……」
「何が分かったのかしら?」
明日香が搾り出した言葉の意味は理解していた。だが松永先生は明日香の心を完全に折る為に、あえて聞き返す。………そしてたくやに知られる事を拒んだ以上、自分が捨てなければならない気持ちが決まってしまった事を明日香も自覚する事となる。
「………抱かれます。私でよければ犯されたって構わないから……だからたくやにこの事は知らせないでください……お願いします……おね…が…い……」
「そこまで知られるのはイヤなの。―――けどもう遅いわ」
「そんな!」
「片桐さんは既に彼らを拒んでしまったもの。ここにいないのにどうやって抱かれるというのかしら? こんな深夜にまた呼び戻すなんて無茶が通じるとは思っていないのでしょう?」
「だって……私は…そんなの………」
もちろん呼ぼうと思えば呼び出せる。別の男性に相手させることも可能だ。……だが明日香を追い詰める為に、あえて逆の答えを口にする。
その目論見どおり、明日香は言葉を失い、沈黙してしまう。今、明日香の頭の中ではどのような混乱が起こっているか……苦悩の末に選んだ方がダメだったからと言われても、すぐに諦めがつくはずが無い。苦悩したからこそ、罠に誘導された事にも気付かず、追い詰められればただただ困惑するしかないのだ。
だからこそ――
「どうしてもって言うのなら、自分から出向きなさい」
軽く背中を押すだけで、強制されたのではなく“自分から望んだ”結末へと導けるのだ。
「先…生……」
「彼らの部屋に行きたいのなら場所を教えてあげる。後は自分次第……さあ、どうする?」
もう後戻りは出来ない。
前に進んでも、たくやへの操は守れない。むしろ、自分で決めたと思わせた時点で、蜘蛛の巣に囚われたかのように抜け出せなっている。光明のように見せかけた罠にはまった明日香にはもがくことしか出来ず、後は自分で男たちの部屋に行く決意をするのを待つだけ。
―――これで逃げられなくなる。
水着だけを身に付けた体はさぞや頼りないだろう。腕を押さえつけても体の震えは収まらず、何度も唾を飲み込んで必死に恐怖を押し殺している。……そして、あの水着を脱ぎ捨てたときにどんな表情を見せるのかと、想像するだけで松永先生の表情には楽しそうな笑みが浮かんでいた。
分岐E−2へ