25・夏祭りには危険がいっぱい?覗き編(XC2+XCA)


 今日は夏祭りだ。
 夏休みを迎えたこの数日、ドンドンと打ち鳴らされる太鼓の音が遠くから部屋へ響いてくるたびに、年に一度行われる夏祭りへの期待は例年のように沸き起こってくる。
 ただし、例年と異なる点が一点だけある。それは、あたしの身体が男にもどっていないと言う事だ。
 おかげで今年の夏休みは色々と大変な目にあっている。家から外に出れば日焼けの心配をしなければいけないし、予備校の夏期講座へ通えば、あたしが元々男だと言う真実を知らない男たちが次々と寄ってきては隣りの座席を降ろしてしつこくナンパしてくる。おかげでエッチな目に会う確立も跳ね上がってしまっていて、ろくに遊びにいけずにフラストレーションもたまる一方なのだ。
 だから、夏祭りにだけは行く。絶対に行く。このまま室内で勉強漬けの日々を送り続けて頭の中がウニ〜になっちゃうぐらいなら、例え受験に失敗する羽目になろうとも今夜だけは羽を伸ばして遊び捲くろ、そう決めたのだ!
「あら、随分と気合入ってるわね」
 あたしが密かに決意を固めていると、部屋の扉がノックも無しに開けられ、義母さんが入ってきた。
「え、や、いやいやいや、あたしはちゃんと勉強してますよ。別に抜け出してお祭りに行こうなんて考えてなんか、あは、あははははは」
 机についていた頬杖をとっさに溶いて鉛筆を握ると、せめてポーズだけでもと身体を机に向ける。………ううう、笑い声がなんか乾いてる。取り繕ってみても、全然誤魔化せてない事は自分自身でも痛いぐらいに分かっていた。
「勉強中だったの、それは残念ね。今夜お祭りに出かけるならと思って夏美が着てた浴衣を持ってきたんだけど、要らなかったかしら?」
「へ………?」
「たくやったら無駄にプロポーションがいいから絶対に似合うと思うわよ。ほらほら、着付けを手伝ってあげるから、ちょっと着てみましょう」
「ちょ、待った待ったァ! なによ、その丈は、ミニスカ浴衣じゃないの!?」
 どうも義母さんは受験の事など気にしていないらしいが、だからと言って義理の息子(?)に物凄く丈の短い、恐らく着れば太ももどころか下着まで見えてもおかしくないような浴衣を持ってくるか!?
「いいじゃないの、脚が見えるぐらい。義母さんが若い頃はもっと大胆な格好で回りの男を誘惑したんだから♪ それにたくやなら絶対に合う、夏美よりも似合う事を保証してあげるから♪」
 ………忘れてた。この人はあたしとは血が繋がってなくても、夏美とは血がつながってたんだっけ……
 義理の母と義理の姉の間で確かに受け継がれている血の濃さに、いまさらながら頭痛を覚えてしまう。
 ミニスカ浴衣など来て大勢の人が集まる夏祭りに行こうものなら「お好きにあたしを召し上がって…」と言ってしまうようなもの。下手をしたらお持ち帰りされて、朝まで別の“お祭り”に参加させられてしまいかねない。
 ここは断固拒否するしかない……せっかくの夏祭りを楽しむためにはと、心を鬼にして口を開くが、
「これを着ていかない限り夜中の外出は認めないわよ。もしこっそり出かけたりしたらお小遣いは一生もらえないものと覚悟してね」
「そ…そんなぁ………」



 結局、義母さんの押しと脅迫に屈し、夏美が着ていたと言うミニスカ浴衣を着て夏祭りに出かける事になったのだけれど……それが悲惨な夏祭りの思い出作りに一役買うことに、あたしが気付くのは後数時間を待つ必要があった……





「は、はぅあぅひゃぅぅぅ〜……も、もうダメェ〜………」
 明日香と一緒に屋台を巡り、踊りにも参加して楽しい時間を過ごしたのも束の間のこと。
 あたしは不意に訪れた強烈な尿意にたまらず股間を抑え、へなへなと道の端っこでしゃがみ込んでしまった。
 原因は単純に、食べすぎと足の冷えすぎだ。と言っても、夏真っ盛りのこの時期に、太股丸出しだからといって特に寒いと思うわけはない。ただ、お祭りを楽しんでいる間、始終誰かの視線があたしの太股に絡み付いて離れず、それを意識しすぎるあまり、ちょっとだけお腹の調子が悪くなってしまったのだ。
「たくや、大丈夫?」
 そう言って明日香が背中を擦ってくれるけれど、胸が苦しいわけじゃない。
「あ、あんまり…大丈夫じゃ……な、ないかも……気を抜いたら…も…漏れちゃう…漏らしちゃうゥ〜………」
「奢ってくれるからってナンパ男が差し出したものをホイホイ食べるからそうなるのよ」
「え、え〜っと……最初にワタ飴食べてたらナンパされて、カキ氷にトウモロコシにリンゴ飴にベビーカステラにジュースにタコ焼き奢ってもらって、胸を触ってきたからビンタして逃げて冷やし飴にフランクフルトにチョコバナナにヤキソバに……そうそう、最後のヤキソバは屋台のおじさんが可愛い娘だからって山盛りにしてくれてラッキー♪とか言いながら食べてたし……あうッ、お腹が苦しすぎて、せ、正確に思い出せないぃ……!」
「………それだけ思い出せれば十分たくやのバカっぷりが証明されたわ。あんたは屋台全店制覇でもしようって言うの?」
「いやぁ、さすがにビールは飲んでないよ? あれを飲んだら利尿作用で地獄見そうだし……はううううう、漏れる、漏れるぅ〜!」
「あ、頭が痛いわ……しょうがない。もうすぐお祭りも終わるし、家に帰りましょ。ここのトイレ、確か一時間は待たされるから」
「そ…そんなにィ!? も…もたない待てない我慢できないって!」
「だから家に帰ろうって言ってるの。まさか茂みで用を足すわけにもいかないでしょ、今のたくやは女の子なんだし」
「………それだ」
 明日香の一言は天啓のように聞こえた。かなり野次馬に見られる恥ずかしさに耐え切れなくなっていたこともあって力を振り絞って立ち上がったあたしは、ジットリと汗の滲んだ太股を擦り合わせるように、神社へ向けて歩き出した。
「神社の裏手なら誰も来ないよね………このままここで漏らすぐらいなら、あたしは………!」
「待ちなさいっての! あ、あんた、今は男の子じゃないんだし……だから……た、立ってしたりなんて出来ないのよ? 分かってるの?」
 さすがにおしっこの話題を大きな声で話す子度ができず、明日香が耳元に口を寄せて囁いてくる。だけどあたしは決意を変えず、興味の視線を向けている祭り客たちに怪しまれないように笑顔を浮かべ、愛想を振りまきながら神社へと歩を進めていく。
「うううッ……し、知らないから。あそこは覗きが多くて有名なんだから、もし覗かれたって、私は助けてなんか上げないんだから! たくやのバカァ!」
 最後にそれだけ言うと、お祭りを最後まで一緒に楽しめなかった事に怒りを露わにした明日香は、あたしに背を向けると人ごみにまぎれて視界から消えてしまった。もう時間も時間だし、家に帰ったのだろう。
 ―――家まで持ちそうなら……あたしだって家まで帰ったけど………
 ともかく、明日香の機嫌を直すためには一刻も早く茂みで隠れておしっこをして追いかけないといけない。それで焦りのスイッチが入ったのか、下腹部におしっこを堪えようと力が入るのだけれど………この時には既にもう、何滴かが下着の内側に迸ってしまっていた……





 ―――こ、この辺ならいいかな?
 神社の裏の茂みは暗くて深く、普通なら人の来ない場所でもある……が、そう言う場所はお祭りの時にはカップルが逢瀬を楽しむための絶好のポイントになってしまうのも世の常である。
 そこかしこから聞こえてくる女性の悩ましいうめき声に後ろめたい気持ちを覚えながら奥へと踏み込んで行くと、ようやく誰もいなさそうな場所を見つける。傍らに木があり、その根元に座り込めば周囲の目から隠れて用を足せそうな場所だ。
 ―――他に人……い、いないよね?
 念の為にきょろきょろ周囲を見回してから、そそくさと茂みに身を隠し、ショーツを膝までズリ降ろして木の根元にしゃがみこむ。
「………ッ!」
 我慢が限界を越えていた事もあり、ぷるりと身を震わせると、秘所から勢いよく小水が迸り始める。
「んッ…んぅ〜〜〜………!」
 膝に額を押し付け、短い尿管を奔流が突き抜けて行く感覚に背筋を震わせる。
「んん……ィ……ッッッ!」
 長い我慢を経ての放尿は時間も長くかかり、いくら放ってもなかなか収まろうとしてくれない。それでも次第にお腹の圧迫感も薄れ、尿も完全に出きってしまうと、あたしはホゥ…とため息を突いて全身から力を抜いてしまう。
 ―――さて、おしっこも終わった事だし、急いで明日香を追いかけないと。
 今ごろ、あたしが追いかけていかなかった事をプリプリ怒っているのかもしれない。何よりも恐い幼馴染の怒りを一秒でも早く鎮めるため、雫の処理は家に帰ってからする事に決めて立ち上がろうとして……その時になってようやく、すぐ傍で身を寄せ合っている一組の男女がいることに気がついた。
 ―――んのわぁ!?
「あれ? なんか今、人の声がしなかったか?」
「大丈夫だよ。こんなに奥まで来る人なんて俺たち以外にはいないから」
 慌てて茂みに頭を引っ込めて息を殺したのが功を奏し、二人はあたしがいる事に気付いていない。あと少し、このままもう少し進んでくれれば、二人の邪魔をする事無くこの場を立ち去れる……と言うようなところで、長身の男性は隣を歩いていた浴衣姿のショートヘアの女性の肩を掴んで向かい合い、そのまま自分の方へと引き寄せてしまった。
「あ……冬弥、オレ……」
「カオル……」
 ―――ひ、ひえぇぇぇ…あたしがいるのに気付かずにキスまで……どうしよう、あたし、このままじゃ出歯亀ですか!?
 茂みの仲からあたしが見ていることに気付かぬまま、長身の男性はカオルと呼ばれた女性の唇を強引にキスで塞ぐ。最初は鼻を鳴らして男性の腕の中で抵抗をするけれど、一分が経ち、二分が経ち、三分が経つ頃には、まるで達しかけているかのように浴衣に包まれた身体を打ち震わせ、蕩けた鼻息を漏らしながら自分から進んで唇を貪り出していく。
 ―――ス、スゴい……他の人がキスするところなんて、ほとんど見たことなんてないから……
 カオルさんの体つきは肌に密着していない浴衣の上からでも見て取れる。胸や腰周りに丸みを帯びた身体は、思わずあたしも喉を鳴らしてしまうほどの艶かましさだ。そんな男好きのする肉体を右に左にとよじって悶えていると、唇を重ねている男性が我慢できなくなったのか、腰に回していた手を下へと撫で下ろし、ヒップの丸みを手の平で撫で回して形を十分堪能してから、太股とお尻の付け根へと指先をグッと押し込んだ。
「んゥ〜〜〜〜〜〜!!!」
 ―――あんな風に指を……なんか、気持ちよさそうだな……
 女性は腰をくねらせて指から逃れようとするけれど、男性は張りのあるヒップを鷲掴みにし、手の中に収まりきらない膨らみをこね回しながら指先を浴衣へと突き立てる。ヒップの谷間から股間へと続く敏感な場所え辿り着いているのは指先だけだろうけれど、ただそれだけの接触で女性は身体を強張らせ、口内に流し込まれる男性の唾液を喉を上下させて飲み下してしまう。
 ―――うわぁ……うわぁ………
 周囲の茂みに何組のカップルが潜み、愛を確かめているのか分からない。けっして静寂と言うわけではないけれど、それゆえに淫靡な空間と化している。……そのような場所で愛を確かめ合う言葉を紡ごうにも、女性の唇は情熱的な口付けでふさがれている。
 ん、と小さなうめきが夜闇に響く。柔らかい唇から短く、けれど確かに感じている声を漏らしてしまった女性は鼻で荒く呼吸しながらも睫毛を伏せ、緊張が解けない身体を何度も何度もかわいそうになるぐらいに震わせている。
 嬉しいのか、悲しいのか、喜んでいるのか、怒っているのか……茂みから見上げるあたしの目には複雑な感情がいくつも見て取れてしまい、二人の関係がただの恋人同士のようにも思えない……けれど長く続いたキスを終え、回りの目など気に模せずに見せ付けてくれた二人が唇を離す。
「カオル……いいよな?」
「バ、バカヤロー……改まって訊くなよ、そんなこと……」
 粗暴な言葉とは対照的に赤く染めた顔を背けた女性は、ややあってから男性に向き直り、目を閉じて唇を突き出す。
 それが答え……女性の行為の意味を悟った男性は嬉しそうな笑みを見せるものの、暴走しそうになるのを必死に押しとどめ、もう一度優しく唇を重ね、お互いの呼吸が続く限り舌と唇とを絡ませあった。
「俺……優しくなんて抱いてやれないから……」
「そんなの……期待なんかしてないよ。だってオレが……初めての相手だったわけだし……」
「だからカオルの全てが見たいんだ。いいだろ……?」
「………か、勝手にしろよ。だけど後で怒るなよ。オレの体が普通じゃないの、お前だって知ってるんだから……」
 その言葉の途中で、三度目のキス。
「ば、馬鹿野郎……! い、いきなりなんて、キス一つにも覚悟が必要なのに……!」
「馬鹿はカオルの方だろ。オレの気持ちはお前だって知ってるだろ? ここまできて止まれるわけないじゃないか」
「ッ………し、知るか、そんなの」
 ―――なんかもう、見てる方が赤面しちゃうほどのラブラブっぷりよね―――って、ま、マズい、こっちに寄ってきたァ!
 ツンツンしているようで何度もされるがままにネットリと唇と舌とを絡めあった女性は、肩へ腕を回されると、そのままあたしの隠れているほうへ近づいてくる。このままじゃ見つかってヤバいことになると、茂みの中を這ってでもこの場を早く離れようとしたのだけれど……二人のキスに魅入ってしまっていて、膝から上げるのを忘れていたショーツが動きを妨げた。とっさに茂みの深い場所へ飛び込めたけれど、それでもあたしと二人の距離は確実に縮まってしまっている。
「もう…バカ……」
 つい先ほど、根元にあたしがおしっこをした木に近づくと、男の手は女の子の浴衣へと伸び、肩に置いた手を胸元に差し入れながら空いた方の手を股間へと忍び込ませる。
「はうゥ……ッあ、冬弥…あ、んゥ、いッ……ああ、ああ、い、いじるな、あ…あああああ………!」
 浴衣の内側で彼女の乳房をこね回した男性はうなじに鼻先をうずめ、立ち上る汗の香りを胸いっぱいに吸い込みながら弾力のあるふくらみをさらに責め立てる。見てはいけないと思うものの視線を逸らせずに浴衣の下で指が蠢く様を見上げていると、夏の夜の暑さとはまったく違った火照りが体の内側から急速に込み上げてきてしまう。
「愛してるよ、カオル……浴衣のせいかな。今日は一段と綺麗に見えるよ……」
「こ、こら……それじゃ…いつもの俺はそんなに可愛くなって……んあぁん!」
 ほんの少し怒った表情を見せた女性の体が、股間の奥へと手を差し入れられた途端に大きく跳ねる。
 ………割れ目を…なぞられてる。しかもクリトリスを……
 本能的に女性が受けている愛撫がどのようなものか見て取れてしまうのは、それだけあたしが犯されてきたせいだろうか……下着の上からではなく直接淫核に触れられて言葉を喉に詰まらせるほど感じている。女性の表情と茂みにうっすらと差し込む月の灯かりを反射する内股の輝きを目にしてしまうと、体を小さくするために胸の前で抱きかかえた両足の付け根にジィンと熱い疼きが沸き起こり、いつしかあたしの秘所にも目の前の女の子に負けないほどの熱い痺れが広がりきってしまっていた。
「冬弥……オレ、頭の中がおかしい……恥ずかしいはずなのに……冬弥が…オレ……」
「言わなくてもいい……オレだって、我慢できないんだ……」
「冬…弥………」
 男の手が女性の浴衣の帯を緩め、滑らかな肩のラインから布をすべり落とす。まるでゆで卵のようにまろび出た白い肌に背後から唇を滑らせながら、男性の目からは見えない位置で露わになった乳房を大きく揉み上げ、先端で硬くなって突きあがっている乳首に人差し指を当て、コロコロと転がし弄ぶ。
「んあ、アッ、バカ野…郎ぉ……この…ス、スケベ……どこ…いじってんだ…ァ……!」
「ゴメン……こっちの方をいじって欲しかったのか?」
「ちがッ、そっちは――――――――――――――!!!」
 女性の内股で男性の手が確かに蠢いた。しこっている乳首にそうしているように、彼女のショーツの中でクリトリスまでも指先でこねくり回している。触れられるだけで全身に電気が流れるように感じてしまうほど敏感な肉の突起を、円を描くように優しく傷つけぬように擦りたて、摘まんで揉み潰しているのだ。
「あッ……あぁあぁぁぁ……ぁ………はッ……あァ………ぁ…………♪」
 ―――いいなァ……あんな愛され方……あたしだって……こんな身体じゃなかったら………
 神社の裏の薄暗い場所で吐き出される熱っぽい吐息……耳を澄ませば、暗闇のあちらこちらから聞こえてくる悩ましい声に囲まれている内に、触れてもいないあたしの秘所までもがヒクヒクと震え、温かい液体をトロッ…と滴らせ始めていた。ついに我慢できなくなり、左手で口を塞いで右手を脚の間へ滑り込ませると、
 ―――んんんぅ〜〜〜………!
 あと少しで絶叫してしまいそうなほどの快感美が股間から脳天にまで突き抜ける。身体を密着させた二人を見上げる視界が揺れ、粘膜に触れられてギュウッ…と絞り上げられた秘所から涎のように粘着質な体液があふれ出してくる。どう見ても、どう触れても、さっき木の根元に放った小水とは別の液体を指先でクチュクチュと弄びながら形よく膨らんだ恥丘を左右に割り開くと、あたしは二人に気付かれないように喉を鳴らし、小刻みに揺れる視線を上へと向けた。
「やめろ……もう…やめ…てぇ………頭の中が…おかしくなる……あ…ああぁ……冬弥、ダメ、もう…オレ……あああああッ!」
「分かってる……今…挿れる……」
 ―――あっ……す、スゴい…おおきい…あんなに脈打って、張り詰めて……
 あたしの指先が秘唇の中心に触れるのと同時に、男性が股間からペ○スを取り出す。斜め下から見上げるその雄姿に改めて喉を鳴らしてしまったあたしの目の前で、女性は木の幹に手を付き、あたしが目を奪われた肉棒を迎え入れるために右手をお尻へと伸ばして浴衣を捲り上げる。
「こんなに濡らして……汗じゃないよな」
「あ……後で殺すッ!」
「冗談だよ。冗談でも言わなきゃ……まともじゃいられないからさ」
「ッあ……!」
 お尻をむき出しにし、内股に伝うほど愛液を溢れさせた秘所をあらわにした彼女に、男がゆっくりと覆いかぶさり、ペ○スの先端を割れ目へと押し当てる。位置を合わせ、あとほんの少しの力を加えるだけ……その前に大きく深呼吸をすると、男は脈打つ肉棒を彼女の中へと押し込んでいった。
「ッ〜〜〜〜〜〜!!!」
 女性が息を飲み、喉を詰まらせる。逞しい肉の塊に秘所を押し広げられ、ゆっくりと、けれど力強く抜き差しを始められると、ショートヘアを振り乱し、苦悶にも似た表情で必死に形の良いヒップをよがり狂わせる。
「冬弥の……チ○チンが……あ、暴れてる……ックゥゥゥ……! なんで…なんでオレ…こんなに気持ちいいんだよ……んん、んッ、あ、あはぁ、んぁあああああッ!!!」
 浴衣からこぼれ出た乳房がストロークにあわせて波打つように揺れ弾む。目の前で繰り広げられるアダルトビデオよりも生々しい光景にあたしの指もあわせて動き、二人の性器が擦れあう粘ついた音を聞きながらパックリと割り開いた花弁の真ん中を指先で揉み擦ってしまう。
 ―――あああぁ……こんなのを見せられたら、むお…我慢できないよォ………!
 徐々に激しさを増し、下腹部を叩きつけるような二人の好意を未定いる内に、あたしは口を抑えていた手の中指を口に含み、ネットリと嘗め回していた。それをフェラするように吸い上げる唇から引き抜くと、声を上げないように唇を噛み締め、いざ煮押し付けている浴衣の胸元へと滑り込ませる。そして、
 ―――んゥ!!!
 Fカップの弾けんばかりの膨張した膨らみ。プリプリと心地よい弾力に手をうずめて唾液で濡らした中指で膨らみの先端を捉えると、他の四本の指で膨らみを握り締めながらビンビンに尖っている乳首を乳房の内側へ埋没させるように押し込んだ。
「―――――ッ! ッ、ッ……! 〜〜〜………ッ!!!」
 唇へ歯を食い込ませて必死に声を噛み殺し、それでもあたしの指は乳首と膣口を愛し合うカップルのすぐ傍で隠れたまま責め立てる。夏祭りの神社裏と言う気分の盛り上がるシチュエーションで深く激しく腰を使われ、周囲に他のカップルがいるのにも構わず上げられる声を間近に聞きながら、それとは対照的に身体を小さくして声を押し殺したまま、ついに指先を膣口に押し込んでしまう。
 ―――ズルいよ。あたしは……隠れてこんなことしなきゃいけないのに、二人ばっかり、ああ、疼く……く、クリトリスが疼くゥ………!
 中指の第一関節をヒクヒク蠢くヴァギナへと差し入れながら、胸元から引き抜いたもう一方の手を太股の外から回し、中指をヴァギナへ、そして親指をクリトリスへと押し付ける。
「ッ――――――――――――――――――――――ゥ!!!」
 もう顔も上げていられない。密着させた膝に額を押し付けると、二本の中指で膣を掻き回しながら、親指でクリトリスの包皮を剥き上げる。そして完全に勃起した淫核を親指の腹でジュリジュリジュリッと削るように摩擦すると子宮が痙攣を起こし、ミニスカ浴衣に包まれた体が意識や理性とは無関係にわななき始める。
 ―――く、来る。他の人のエッチを覗き見る変態みたいなことしながら……あたし、あふっ、んんんゥ〜〜〜!!!
「ふ、太い、深いぃ……冬弥、奥を、え…抉るな……い、いや、やめないで、もっと、も……んあああああっ! 激し、んあッ、アん、ん、はぁ、あ、そこは、そこは…んはぁああああああああああっ!!!」
「―――――――――――――――――――――――――――――ッッッ!!!」
 あたしの耳に彼女の絶叫が叩きつけられる……それとほぼ同時に、ドロドロに蕩け落ちるほどに熱気を孕んだあたしの秘所にズゥンと重たい喜悦の疼きが沸き起こり、二本の指に押し広げられた膣口からドクッと濃厚な愛液が噴出してしまう。
「はぁあああ、ああぁあああああっ! 冬弥、あぁ……熱いのが……お前のがオレの…中に……は…ぁぁぁ………」
 まるで熱に浮かされたうわごとのような言葉を紡ぎながら、ショートヘアの女性が木の幹に手を突いたまま荒い呼吸を繰り返している。彼女の股間からは膣内射精されて逆流してきた精液が溢れており、荒く乱れた呼吸を整えようとするほどに脈打つ下腹部からは二人の体液が混ざり合ってこぼれ出してくる。
「イかされた……なんか…一方的に………オレ………ァ………ヒウ、ひアアアアアアッ!?」
 ―――え…えええええっ!? も…もう二発目始めるの!?
 しかも今度は女性の両手を後ろに引き寄せ、女性の体を木に押し付ける格好での交配だ。太いペ○スが突き上げられるたびに乳房の先端がざらついた樹皮に擦り付けられ、ほとんど垂直に持ち上げられた身体を震わせながら喉を震わせている。
「ち、乳首、擦れ…擦れるゥ! バカ冬弥ァ! オ、オレ、おっぱいが…ンアアアアッ! ダメェ、ひあ、んはぁああああああっ!!!」
 ―――うわ、スゴい…てか、スゴすぎる………でもこれって逃げ出すチャンスよね?
 すぐ傍であたしが自慰していても気付いた様子も見せずに野外SEXに熱中している二人だ。もうお互いの事しか見えていないのだろう。
 それに夏祭りも終わったらしく、時間も時間だし周囲の闇も濃くなっている。今なら二人に気付かれることなく、ついでに言うと邪魔する事無く、この場を後に出来るだろう。
「やぁあああァ! うぁうううっ、あゥ、あああッ、いッ、あっあぅあんゥ! 冬弥…冬…弥ァァァ!!!」
 ―――え〜と……お二人さん、お幸せに〜♪
 これ以上付き合えばいろいろな意味で泥沼だ……あたしはしゃがみこんだままゴソゴソと後退さると、他のカップルの邪魔をしないように神社の裏をそそくさと立ち去った―――



「何やってたのよ! どこに行ったかって心配して探し回っちゃったじゃない!」
「あ……明日香。何でここに?」
 夏祭りはやはり終わりを迎えていた。屋台は撤収の準備を始めており、照明の数も減らされている。なんとなく夏祭りの余韻を寂しさとして感じさせる桟道へと戻ったあたしを迎えたのは、息を切らせている明日香だった。
「べ、別に心配したわけじゃないからね! 私の後を追ってこなかったからそれで……って、違う、今のなし、忘れてお願い」
「はぁ……」
「それよりも今はたくやの方が問題なの! おしっこだけなのに随分時間かけるし、神社の裏手は、その……あ、ああいう状態だったから、それで何かあったんじゃないかって……それだけ。それだけなんだから。本島に何も心配なんてしてなかったんだから!」
 ―――これはまた、見事なツンデレッぷりね。怒って帰った手前、素直になりきれないのかな?
 だけど今は、なぜか明日香の怒ってくれる声を聞けるのが嬉しい。照れ隠しに背けてる顔も、腰に当てている手も、何もかもが愛おしく感じられてしまう。
「明日香……」
 あたしは明日香の腕に自分の腕を絡める。まだ他人のSEXを間近に見た興奮とオナニーの快感とが残っている体を強く押し付ける。
「………遅くなったし、帰ろっか」
 驚いてあたしの顔を凝視する明日香。けれどあたしの笑みを前にしてそれ以上は何も言わず、なぜか顔を赤らめて頷く。
「ふふふ……こうやってると、まるで子供の頃に戻ったみたいだね」
「普通は彼女の方がもたれかかると思うんだけどね……」
「いいじゃない、今は両方彼女って事で」
 夏祭りは終わったけれど、夏祭りの新しい思い出はまだ胸に新鮮なまま残っている。
 あたしにもこんなにも大好きな恋人がいる……神社の裏で出会ったカップルの“どちら”の姿に自分を重ね合わせたは思い出と一緒に心の奥にしまいこむと、終わりを迎えたお祭りに後ろ髪を引かれるような思いで背を向けた―――


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