10変わりゆく明日香、変わりゆく関係(1・2・3)


 私とたくやの関係は変わってしまった……それも全て、あの薬が始まりだった。


 拓也が初めて女になった後、私たちは確かに結ばれ、恋人同士になれた。大事に守り続けていた私の「はじめて」も拓也に捧げ、それから一年は幸せな日々が続いていた。
 私は決して浮気なんて考えていなかった。たくや以外の男に言い寄られる事もしばしばあったけれど、全部断ってきたし、このまま拓也とずっと一緒にいられるんだって……今にして思えば、幼稚としか言いようの無い幻想も抱いていた。


 そんな関係が壊れてしまったのは二度目の女性化のときだ。
 私は本当に拓也の事を心配していた。けれど拓也は……男に抱かれていた。
 ショックだった。もう何も考えられなくなるぐらいに……麻美先輩を必死になって捜し、少しでも早く拓也に元の姿に戻って欲しかったのに……その時は「裏切られた」と言う思いしか抱けなかった。
 後であれは後輩の男子に無理やり犯されたのだと説明されても、私の拓也への思いは既に十分すぎるほど揺らいでいた。
 だって、私だってひどい事をされてきたから。痴漢に合い、その痴漢が教師として教室に現れ……脅迫されて。無理やり肉体関係を迫られた事なんて、拓也が知らないだけで一度や二度どころじゃないのに。それでもずっと…ずっと拓也だけを想い続けてきたのに、拓也は私の事を想ってくれていないんだって……
 しばらくすると、私が麻美先輩を見つけるまでもなく、拓也は男の姿へと戻った。そして、私と拓也との関係も自然と消滅した……いや、ただ幼馴染の関係になった。戻ったんじゃない。何の想いも抱かない「ただの」幼馴染に変わったのだ。
 男に戻ってからの拓也には、もう何の感情も抱いていなかった。あえて言うならば良いお友達だ。あっちはあっちで演劇部に行ったり、一年生の女の子と浮名を流したりしているんだから私との事なんて終わったと勝手に思い込んでいるに違いない。………少し、悔しかった。


 その後しばらくして、私は二人の男に抱かれた。
 一人は痴漢のビデオで私を脅迫していた佐野先生だ。
 放課後、視聴覚室のスクリーンにその時のビデオを再生されながら、制服姿のままで後ろから犯された。少しでも音量を上げられれば、校内に人は少ないといっても誰かに気づかれてしまう。そう思うと声を上げる事も出来ず、こんな男に屈服してしまった悔しさと体を汚された悲しさから体を小刻みに震わせながら、何度も膣内に射精を繰り返された。
 もし安全日じゃなかったら……確実に妊娠していたと思うほど、佐野先生は子宮へ精液を流し込んだ。学園位置の美少女と噂されていた私を抱ける喜びに収まる事を知らない肉棒を子宮の入り口に痛いぐらいに押し付けて、一滴残さず注ぎ込んでくる。執拗に、繰り返し、子宮から精液があふれ出し、あそこが泡立つ精液にまみれても、むしろ笑みを浮かべるほど先生は喜んで私の中で肉棒を往復させ続けた。
 目の前では私が痴漢されている光景が繰り返し再生され、後ろからはパンパンと私のお尻に佐野先生が腰をぶつけてくる。内太股は精液と愛液が混ざり合った生暖かい液体でびっしょりと濡れ、顔はこらえることが出来ない涙でグシャグシャになっていた。
 けれど…その時の私は、明らかに感じ、小さいながらもよがり声を上げていた。拓也が女になって、男に戻っても関係が終わって……もう何日も満たされていなかった私の体は拒むべき男に犯されながらも、股間から涎を滴らせ、子宮を突き上げられるたびに感じてはいけない快感を覚えて、背徳感に背筋を震わせてしまう。
 そして……下校時刻を知らせる鐘の音の中、私はついに達してしまった……
 耐えに耐えてきた二時間分の快感が一気に私の中を駆け巡る。抑えきれない痙攣は佐野先生と繋がったままの体を狂ったように震わせながら、長い髪を振り乱してその時だけは泣き悶えてしまった。そこが校内の一室であることも忘れ、突き上がる激流に身を任せて嬌声を迸らせた末に待っていたのは……佐野先生の口付けだった。
 ――おぞましい。
 唇を塞がれ、軟体動物のような舌に良いように口内をまさぐられながら、私の体は絶頂の痙攣を繰り返す。鼻でしか呼吸できず軽い酸欠になるほど濃厚な口付けは……身の毛がよだつほど気持ちが悪く、けれど拒む事が出来ない麻薬のようでさえあった。
 震えも収まり、ようやく私の中から佐野先生のモノが引き抜かれた。どろりと、膣内に溜まっていたものが震える膣口からあふれ出すのを切れ切れの意識の中で感じていると、不意にアゴを掴まれ、上を向かされる。
 待っていたのは白い体液にまみれたペ○スだった。固さを失い、けれど満足しきったように頭を垂れるそれを開かされた唇の中へと押し込まれ、命じられるままに後始末をさせられる。
 表面に纏わりつく残滓を舐め取り、尿道に残っているものまで吸い出させられて……私は一人、視聴覚室に取り残された……


 二人目の男に抱かれたのは、そのすぐ後だった。
 彼は私の家庭教師の大学生だった。佐藤先輩を捜すときにも協力してくれた人でもある。
 その日は家庭教師が来る日だった。にもかかわらず、私の帰宅は九時近かった。当然母からはなにかあったのかと心配されたけれど、なんでもないと誤魔化すしかない。教師に犯されていたなんて、そんな心配させるような事を口に出来るはずも無いし、感づかれてもいけない。
 そんな私を部屋で待ってくれていたのが家庭教師の大学生だった。心配でおろおろしている母を慰めていてくれたらしく、今から勉強を始めようと明るく言ってくれた。
 今日はもういい……そう何度言っても聞きやしない。仕方なく先にシャワーを浴びさせてもらい、体の汚れを落としてから勉強する事になった。
 終わったのは十一時過ぎ。母は途中でお茶を持ってきてくれた後に眠ったらしい。異様に感じるほどの静けさをその時になってやっと気付くと……不意に先生の手が私の肩へと回された。
 ダメだ。恐いけど……今は誰かにすがりつきたい。
 拓也と別れ、佐野先生に犯され、気丈と言われていた私の心も折れかかっていた。誰かに傍にいて欲しくて……彼の体に抱きついてしまう。
 その夜は……それまでにないほどの快感を味合わされた。
 家庭教師をしているくせに、彼のテクニックは拓也よりも巧みで繊細だった。汗ばむ裸体を私の――拓也と始めて結ばれたベッドの上で重ねあい、迸りそうになる喘ぎを抑えるために口に丸めた下着を咥えさせられ、彼が二度射精するまでの間に逞しいペ○スで数え切れないほど絶頂へと押し上げられてしまう。
 子宮へ精液がそそがれると、私の体は明らかに悦んでいた。拓也のでもない、佐野のでもない、彼の腕の中で体を震わせ、私の中が彼の熱いもので満たされていく。
 最後の脈動と共に精液をそそがれ終わり、二人してベッドに横たわったときにはバスも電車も終わっている時間だった。私の部屋にはたくや以外の男の汗と精の臭いが充満し、その香りを吸い込むたびに、私の中で何かが変わっていく。
 私は口の中から唾液をタップリと吸った下着を抜き取るとそのまま横へと手を伸ばし、隣りで仰向けに横たわる彼に体に体を摺り寄せた。汗がローションのように小さな水音をたてて私と彼の肌を密着させると、彼の腕も私の体を抱きしめてくれる。
 愛おしかった……まだ絶頂の余韻が残る肌に、彼のぬくもりが心地よく、髪の毛を撫でてもらうと寂しかった何もかもが私の中で掠れていった……


 それから少しの間、私は二人の男に交互に抱かれていた。
 学園の中では痴漢のビデオやその後に撮った写真などを餌にして佐野にいいように弄ばれ、家庭教師の日以外には大学生の彼とホテルや彼の部屋で時間も忘れてお互いの体を貪りあった。
 いつしか、私もエッチな事ばかりを覚えていくようになっていた。佐野先生との関係は、彼の臨時教師としての期間が終われば同時に終わる。だから大学生の彼だけは私の元から離れて欲しくないと、望まれる事を何でも受け入れ、私が望む事を何でもしてもらっていた。
 汚されて、癒されて、また汚されて……いつしか恋人同然の付き合いをするようになっていた大学生の彼と、終わりのときが刻一刻と迫りつつあった佐野先生と、二人の男に女の喜びを教え込まれていたその頃が、私の人生で最も充実していた時期だったのかもしれない。
 その間に一度だけ、成り行きで拓也にも抱かれた。―――もう何の感慨も感じない。気持ちよくはあったけれど、二人の男に「愛されて」いた私には何もかもが物足りない。その事を知らない拓也には私を十分に愛する事は出来なくて、もう一度一線を越えてしまっても結局は私たちは幼馴染のままだった。
 私が宮野森学園を卒業する残り数ヶ月……佐野先生が学園を去り、私は入試の勉強のために彼と時間を共にし続けた。その頃になると母も私たちの関係に気付いていたし、半年前よりも魅力に満ち始めた私を不安そうな目で見つめていたけれど、何も言わなかった。


 ――無事、大学にも合格した。拓也とはたまたま同じ大学になったけれど、合格発表の夜は私だけの時間だ。
 その夜、当然のように私はずっと家庭教師として、恋人として私の傍にいてくれた彼と愛し合った。
 鏡張りのホテルの部屋で、自分が淫らに乱れる様を否応無しに見つめさせられながら腰を振って彼のペ○スを迎え入れる。
 それで……彼との関係も終わりだ。来年になれば、彼はまた別の娘の家庭教師をするだろうし、私は私の夢である獣医の勉強を大学で励まないといけない。お互い、これ以上相手に時間を合わせるのは難しくなり、私たちの恋人ごっこもここで終了。私も別の相手を大学で見つけなければいけない。
 そうして数年が過ぎ……今は別の男が股間に顔をうずめていた。場所は研究棟の裏。目の前には存在を忘れ去られたかのように手入れもされていない空き地が広がり、開放感を味わいながら、私は股間を濡れ潤ませていた。
 相手は合コンで知り合った、ごく普通のイケメンの男だった。同じ大学と言うこともあって話が弾み、成り行きに任せて肌を重ねてから一年ほど関係が続いている。
 初めての時は童貞だった彼も、今ではあたしを十分喜ばせてくれる。他にも何人かの男性と経験を持ち、私は私のキャンパスライフを満喫していた。

―――チャラララララ、チャララララ〜〜〜♪

 もう少しで達しそうになり、後ろの壁に頭を預けて体を反り返らせた―――そんな時に、雰囲気を台無しにする携帯の音がなる。
 かけてきたのは拓也だった。幼馴染と言うだけで、毎日顔をあわせる相手が今頃何用だろうと電話に出てみると―――



 三回目。―――今度は私と拓也の関係を、どういう風に変えてくれるのだろうか……


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