第23話


その粘着的な顔をした男性は、私の胸を、相変わらず揉み続けます。 私は何とか注意をそらそうと、カメラに意識を向けました。 「あっ! か、カメラに、ゴミがついてますよ?」 「え?」 男性はすぐにカメラを見ます。 もちろん、ゴミなんてついていません。 男性はそれを確認し、一瞬だけこっちをぎろっと見つめると、私に向かってニ ヤリと笑いかけました。 「確かに、ゴミついてるし、レンズがくもってますよねぇ」 「…は、は?」 「あ、ちょうどいいところにタオルありました♪」 「えっ?」 「そのタオルで、拭いてくださいよ〜?」 そして男性は、私の腰にのせてあるハンドタオルを指さしました。 私が身につけている、唯一の布である、ハンドタオルを、です。 胸には、赤ちゃんを抱いています。 私の腰だけを、タオルが唯一隠していました。 「そ、それは…」 私はためらいました。 「できないんですかぁ〜? まぁ、うちの子がいるから、隠れますよ〜!」 男性は適当なことをいっています。 もちろんタオルを取れば、全裸です。それを覆い隠しているのが、この気持ち 悪い赤ん坊だけというのは、私にとって何よりの嫌悪でした。 しかし、男性は顔をしかめかけます。 私は女性の視線を感じ、あわてて言いました。 「こ、こんな。私があててたタオルなんかでいいんですかぁ〜?」 「いいですよ、もちろんです!」 皮肉は通じません。 私は覚悟を決め、そのハンドタオルを手に取ろうとしました。 そのときです。 男性は、わざわざ私のあそこに、カメラを向けました。 「!?」 私がこのカメラを拭くためには、カメラの目の前で、自分のあそこを晒さなけ ればいけません。 「はやく!」 もう、迷っている時間はありません。 「は、はーい…♪」 私は頭の悪い答え方をしながら、タオルをはずしました。 そして右手で赤ん坊を抱いたまま、左手でタオルをつかみ、カメラのレンズを 拭こうと手を伸ばしました。 「おおっ! いい絵、取れてますよ〜!」 男性はタオルをよけるように、カメラを左右に動かしました。 「ふ、ふけませんよ〜?」 私はわざと低姿勢に言います。 「ああっ!」 男性は私のハンドタオルをもう一方の手でつかむと、後ろに向かって放り投げ てしまいました。 「あっ!」 「動いているうちに、ゴミもクモリも取れましたよ!」 そんな。 私は文字通り、赤ん坊を抱いただけの、全裸にされたのです。 「いいですよねぇ〜!母性愛って感じで!」 男性は、なめまわすように、そして文字通り舌で唇をなめながら、私の体を撮 り始めました。 この瞬間、この子供を地面に投げつけたとしても、おそらく男性は夢中で気が つかないのではないでしょうか。そんな風にも感じました。 私はただ、その屈辱に耐えながら、せめて体を隠すように、子供をぎゅっと抱 き寄せました。 子供は、さらに私の乳首を強く吸います。 「くう…っ!」 強い痛み。 私の胸から、お乳が出るわけないのは、この子も感じているはずなのに…。 この親にして、この子あり。そんな言葉を痛感していました。 そのときです。 彼は私に向かって言いました。 「あーーーー。この子ねぇ、アレルギーなんですよ」 「は?」 「チクチクするものに触ると、かぶれるんです。だから、チクチクさせないで くれます?」 「ど、どういうことですか?」 すると男性は言います。 「ほら、ここですよ。チクチクしてるでしょ?」 彼は、子供に隠れた、私の股間の部分を指しました。 「………!!」 私は顔が真っ赤になります。 「だから、離してくださいよ、チクチクする、あなたの陰毛を」 男性は喜々とした顔で言います。 もう、選択の余地はありません。 私は、背筋を伸ばし、赤ん坊を上に持ち上げます。 私の股間を隠すものは何もなくなり、すーーーっという風が冷たく感じました。 「そうそう! ありがとう!」 男性はそういうと、立ち上がり、私の股間の真正面に回って、地面にしゃがみ ました。 「このアングルだと、うちの子ってかわいいんですよねぇ〜!」 嘘です。 男性はそう言いながら、私のあそこしか撮っていません。 私は足を閉じたまま、ただそれに耐えていました。 「ちょっと、もっと近くから撮りたいんで、このジャマな足、どけてくれます? 」 私はその言葉に、閉じた足を両方とも右に回してよけようとしました。 「だから! それじゃジャマなんですよ! もっと割り入って撮らせてくれな いと、いい絵が撮れないんですって! 分かんないかなぁ!」 「…そ、それって…」 誤解のしようはありません。 男性は、私に「足を開け」といっているのです。 「早くしてくださいよー!」 男性は、どんどん表情が固く、余裕が無くなっているようでした。 「…ひっ…」 ここで怒らせたら、この男性はもとより、あとで女性に何をされるか分かりま せん。 私は覚悟を決め、目をつぶると、足をおずおずと開いていきました。 「そう! そうですよ! あ、誤解しないでくださいね! 私、女の人のこん なとこに、興味なんかないですから! 単に子供にしか興味ないですから!」 男性は言い訳のように大声で叫んでいますが、もちろんカメラは私の股間から 離れることはありませんでした。 私は、屈服させられるかのように、男のカメラの前で、足を大きく広げること になったのです。 「ぴ、ピンクだ…」 男性は、思わずつぶやいたように聞こえました。 「…やっ…!」 私はあわてて足を閉じようとしますが、すでに男性は股間に割り入っていて、 それはできません。 「い、いやっ! 誤解しないでくださいね! うちの子のことですよ!」 男性はあわてて言います。もちろん子供は色黒で、そんな色はまったくしてい ませんでした。 男性は、足の間で、どんどん体を密着させてきました。 今、彼は立て膝で、座っている私の真正面に割り込んでいます。 彼の股間が、私のあそこに当たっています。 彼の顔は、私の晒された胸の真正面にありました。 私はあまりの嫌悪感で体を震わせます。 しかし手には赤ん坊を抱いて、動くことは出来ませんでした。 男性は私の股間から胸、そして顔まで撮ると、密着した姿勢のまま、また私の 胸を撮り始めました。 「オッパイ、出ましたか〜? ピンク色の乳首から、しろーいミルク、出てま すかぁ〜!?」 男性は、赤ちゃんが吸っていない方の胸の、乳首をじーーっと撮っています。 言葉遣いが、さらに露骨になっているように感じました。 「で、出ません…」 私はすぐに言います。 すると男性は、目をギラギラさせながら、言ったのです。 「おかしいなぁ〜! 吸えば…そうだ、吸えば、出るんじゃないですか?」 「いえ、ですから吸われても…」 「いや、だから私が吸ってみてもいいですか〜?」 男性はそう言いながら、私の方を見て、ニヤニヤ笑います。 そんなこと、絶対にイヤだ。 私はそう思いましたが、もちろんそれは言えません。 私は、唇をかみしめながら言いました。 「は、はい。いいですよぉ〜…」 「吸っていいんですか?」 「す、吸ってくだ…さい…」 男性はその言葉と同時に、私の左胸にかぶりついてきました。 「あうっ!」 私はあまりの痛みと屈辱で、気が遠くなりかけました。 カメラは、音を立てて下に落ちます。 そのときです。 女性二人が、目の前に現れました。 「…あっ!」 私には、それが天使のように見えました。 ふたりが来たということは、これで終わりだ…。 私はそう思いながら、男性の顔を見つめます。 男性は私の乳首を口に含んだまま、女性の顔を見ました。 「や、くぉれふぁ…」 男性はあわてて弁解するかのように、話そうとしました。 すると、です。 女性はカメラを手に持って、私たちに向けたのです。 「カメラ係、必要なんじゃないんですか?」 そんな。 男性はそれを驚いた目で聞いていましたが、すぐに状況を把握したかのように、 ニヤっと笑って言いました。 「あ、はいっ! お願いできますか?」 「もちろんですよぉ♪」 女性はニヤニヤと笑いながら、私の体を撮り始めました。 「お母さんが、はじめての授乳ですね♪」 「お父さんも一緒に、はじめてのオッパイのシーンなんて、感動ですよ?」 「あはは…」 男性はニヤニヤと笑いながら、また私の乳首を強く吸いました。 「あぐっ!」 私は痛みに耐えます。 「ほーら、お母さんも、ピースして?」 私はその言葉に、涙を流しながら、ただ薄ら笑いを浮かべながら、ピースをし ました。 女性はさらに言葉を続けます。 「ほら、こっちでもピースしないと!」 そして男性を少しだけ横にどかせて、私のあそこをカメラの前に晒させると、 は言いました。 「開いていてもらえます?」 「え…」 男性はすぐに言葉の意味を理解したのか、私のあそこを左右に広げました。 今、私はベンチに座ったまま、右胸を赤ちゃんに吸われ、左胸を父親に吸われ、 そして足とあそこを広げさせられたまま、カメラに撮られました。 「いいじゃない♪ 家族の肖像ね!」 「いい思い出になるわよ〜!?」 私はあまりのことに、涙が止まりませんでした。 「じゃ、出産シーンも、撮っておきましょうか?」 「…え?」 女性は赤ん坊をひったくると、私のあそこの前に置きました。 「そのまま、広げておいてくださいね?」 女性は男性に向かって言います。 私の股間は、痛いほどに広げられました。 「はい、感動の出産シーン!」 女性は、私のあそこと、赤ん坊を一緒にビデオカメラに写しました。 「まぁ、こんな綺麗なところから出てくるわけはないけどねぇ」 「言える言える」 「処女のまま出産って、なんか神々しいわよね」 「あはははっ!」 それから、屈辱的なシーンが、何本も何本も撮られていきました。 この時間は、いつ終わるんだろう。 私はそう思うと、今の自分の運命をただ呪いました。 <つづく>


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