第22話
(瞳さん・・・)
島本は再び目の前で痴態を晒すことになった瞳が示した予想以上の反応にとまどっていた。
幼い裸体に似合わない、まるでアダルトビデオの女優さながらの淫らな感じかた。それはああまりにも瞳のイメージとかけ離れている。
「うっ・・・ううっ・・・」
オジサンの指が彼女の脚と脚の間を徐々に開くようにしながらツーッとあがっていく。
「ん・・・」
すぐに瞳のヴァギナがはっきりと見えるようになったが、島本は欲望とともにぼんやりと違和感を感じていた。
(こんなものなんすかね?)
女の人の裸を生で目の当たりにするのはこれが初めてだった。しかもその女性があこがれの瞳なのだから、もっと感動があるはずなのに。
(うーん・・・?)
悩みながらも勃起した小さなペニスを見やりながら、島本はなにか魔法が解けていくような寂しさを感じていた。
「・・・ン・・・ン・・・イ・・・ァ・・・アアアッ!」
股間にたどり着いた触手が割れ目の外側のひだにそって、楕円を描くように何度も移動する。
その間に両脚はさらに大きく開かれ、瞳の淫裂はもちろん、その上にあるすぼめた口のような穴までもが丸見えになった。
「アアッ・・・イ・・・ヤァ・・・!」
瞳はしかし、もはやそのこと自体にかまっている余裕はないようだ。
「止め・・・ァ・・・」
皮膚の上からクリトリスを挟むように・・・アナルのしわを撫でるように・・・そして、彼女が快楽を必死に閉じこめている、あの生々しい肉の扉の奥へ今にも侵入するかのように・・・より直接的で、より恥辱に満ちた刺激が、淫らな奈落の底へと絶え間なく瞳を誘惑した。
やがて、指先がその扉をさらに左右へとこじ開けると、テラテラと不思議なぬめりと光沢を帯びた濃桃色の秘肉があらわれた。
(濡れてるっす・・・・)
オジサンはピクピクと動く瞳の腰を押さえるようにしながら、左右の人差し指だけで外側と内側の肉のひだを優しく撫でた。
「アア・・・アアア・・・」
丸いお尻が、そのじらすような刺激から逃れようとビクンビクンと左右に揺れたが、オジサンは正確に、まるで丁寧に口紅を塗るように彼女の下半身の唇をなぞりつづけた。
硬くなったクリトリスが顔をのぞかせ、お尻の穴がヒクヒクと時折動く。
島本はそのすべてをまっすぐ見下ろせる位置に腰をかけ、聖女が淫売へと堕ちていく姿を見守っていた。
(処女じゃないんすよね・・・まあ・・・ふつうっすけどね)
当たり前のことだったが、わかっていても多少の胸の痛みを感じずにはいられなかった。
(そうっすよね)
違和感の原因はこれだったのかと思った。
恥じらいというより怯えに近いあの反応は、ただ裸を見られることが恥ずかしかったからだけじゃないのだ。裸体をもてあそばれることで隠しきれなくなる淫らな自分の姿を見せること、それが耐え難いほどの恥辱だったのだ。
瞳は自分の感じやすさを知っている。性の悦びに乱れる姿も知っている。男に与えられる秘密の快楽を熟知している・・・。
(この人は何人もの男にこうやって体中触られて、舐められて・・・)
ビデオで見た女優のセックスに瞳の姿を重ねて、島本は激しく嫉妬し、再び強く勃起した。
いやらしく舌を出して、男のモノを舐めまわす瞳。獣のように四つんばいになり、後ろから激しく突かれてあえぐ瞳。さっきまでならとても想像できなかったそんな光景が、いまは現実感を伴って島本の性欲を刺激する。
「アア・・・ァン!」
枕につけたままの顔を左右に激しく振りながら、瞳が大きくあえいだ。
(こんな声を何人に聞かせてきたんですか?)
島本はその、男の欲望を刺激する声音を聞いてそう思わないではいられなかった。
そして、広げられた秘肉の真ん中で、控えめに口を開けた淫らな洞窟の入り口を見て思った。
(ここには何本、男を入れたんですか?)
「ハゥッ・・・イッ・・・ンン!」
答えるかわりに悲鳴のような声を上げて腰を大きくビクンとうごかした。
(アソコにこれを入れたら・・・きっときもちいいっすよね)
皮に包まれたちいさなペニスを見て、島本はそう考えた。
天使のようだった瞳の姿はすでになく、目の前にあるのは淫らな罪を犯して楽園を追われる、淫乱な娘の欲望にもだえる裸体だった。
(罪には罰を与えるべきっすよね・・・)
島本は、羽をもがれたむき出しの背中が大きく上下に揺れるのを見ながら思った。
(犯した罪に見合う、めちゃくちゃに淫らな罰を与えなければっす)
自分勝手な妄想に応えるように、瞳を責め続ける10本の触手は着実に彼女の理性の鎧を剥がしていこうとしていた。
*
悶える瞳の姿を横目で見ながら、絵美は自分が今どうすればいいのかを必死に考えていた。
(もうこれでやめる、さっきのはナシっていってしまえば・・・)
絵美のオジサンは無理強いすることはないだろう。そうすればこれ以上、辱められることはない。
(でも・・・瞳ちゃんは・・・)
すでに男の罠に捕らわれてしまったようにあえぎ声を上げる瞳の姿を見ると、それを放っておいて自分だけさっさと終わりにしたいなんて言えなかった。
(「本当においていかないでくださいね・・・」)
こんな事になる前に、瞳が言っていた言葉が耳に残っている。
(・・・おいてけないよ・・・どうしよう・・・)
選択肢は少なかった、瞳をおいていかないと言うことは、今彼女を辱めているアレに自分も耐えなければいけないということだ。
それも、この大勢の卑猥な視線に観察されながら。
「・・・」
絵美はガラスの向こうでならんで座る西田たちを見た。彼らはその視線にすぐ気が付くと、(はやくはやく)と声を出さずに口で形をつくってはやし立てた。
(由美子・・・)
一番端に座ってこちらを見ている由美子の、心配そうな視線がせめてもの救いだった。
彼女は、さきほど身を挺して絵美を守ってくれたときと同じように、親友をやさしく見つめていた。
(もう・・・仕方ない・・・のか・・・な・・・?)
由美子の視線に励まされたように、迷っていた心を振り切ろうと、絵美は精一杯自分を説得しにかかる。
(三人一緒だよね・・・それにオジサンそんなひどいことしないと思うし・・・それに・・・)
絵美は天井に視線を戻した。
(それに、もともとそんなに感じない・・・し)
ベッドではいつも申し訳ない気分になるほど、絵美は愛撫をうけて欲情するということが出来なかった。
(嫌いではないけど、気持ちいいのかどうかはわからない・・・)
セックス不感症なのではないかと真剣に悩んでいたほどの自分が、いくら感じやすくなっているとはいえ、見知らぬ男の愛撫で瞳のように乱れることは考えにくかった。
「あん・・・」
瞳のふるえるような声が聞こえてきた。彼女は毛むくじゃらの胸に抱きかかえられるようにして、ふたたび仰向けにされるところだった。
「はぁぁ・・・」
その裸体にはもはや抵抗の意志のかけらも見えない。全裸でいることを忘れたかのように、すでに脚を軽く開いて島本の視線を正面から受けていた。
「フフン」
オジサンの方ももはや何の遠慮もなく、いきなり彼女のむき出しのお腹へ指先を這わせると、その太い指に似合わない繊細さで肋骨をやさしく愛撫した。
「ふぁぁあぁぁ」
瞳の口からだらしなく漏れる吐息が、快感を伝えてくる。
彼女は真っ赤な顔をして、目をつぶったままで男の指による陵辱を受け入れていた。
「ムフン」
オジサンは獲物がすでに彼の術中へはまったことに満足そうに笑うと、みたび彼女のふくよかな胸の丘を目指して指を這わせた。
フニョォォォ・・・・・・
乾ききった白い丘にナメクジの這った後のようなローションの線が残され、それは渦を巻くようにして、乳首を目指してのぼっていった。
「ハァッ・・・ンッ」
揉まれると言うより、やさしく撫でられるだけに見えたが、瞳の反応は先ほどよりも鋭かった。
「アアッ・・・イッ」
左右に振られる顔の、眉間にはかわいらしいしわが寄り、恥じらいを忘れた両脚は快楽に耐えられずにビクリビクリと動いた。
「フフフ」
オジサンはじらすように、乳輪の周りを何度も何度も指先でなぞってみせた。
「ハァァ・・・ァ」
瞳はそのたびに途切れそうなあえぎ声をあげた。
乳首はさらに充血し、まるで今にもそこから欲望の芽が吹き出して、瞳の白い裸体を包み込んでしまうのではないかと不安になるほど硬く尖っていた。
(・・・・・・)
誰もが息をのんで、その見るからに感じやすそうな突起を弾かれたときの瞳の反応を待っていた。
「フフ」
オジサンは、執拗に瞳の乳房を指先と手のひらで愛撫し続けた。
「ハァァァ・・・」
何度目かの登頂に失敗したときだろうか、乳輪のボツボツというふくらみを指の腹で楽しみながら下山を始めようとみせた人差し指が、ザラッと乳首の横を撫でていった。
「イヤアァッ!!!」
裸体が、まるで電流が流れたかのようにビクッと大きく跳ねた。
毛の生えた親指と人差し指が、瞳の乳首のふくらみを優しくつまむと、ボタンの横を撫でるように転がしてみせる。
「ア、ア、アアアアッイイッヤアァァァ!」
オジサンはここぞとばかりに攻勢に転じ、残りの指で胸のふくらみを揉みしだきながら、コリッコリッと乳首を弄ぶ。
「アッアアアッアアン!」
瞳は完全に術中に堕ちたように、悲鳴を上げながら首を左右に振り、四肢をばたつかせて悶えた。
(瞳ちゃん・・・)
あどけなかった瞳がいとも簡単に淫魔の手に堕ちたことは、もともと脆かった絵美の覚悟をぐらつかせるには十分すぎた。
(やっぱりダメかも、わたし・・・)
見せ物にされている瞳の姿に自分を重ねることは、恐ろしくて出来ない。
あそこまで乱れることはないはず・・・でもこれ以上きわどいところを弄ばれて、松山やほかの男たちの眼を楽しませることは耐えられない。
(「本当においていかないでくださいね・・・」)
瞳の声が再び思い出された。
(・・・だって、わたし・・・)
絵美はなおも悩みつづけた。だが、ここに至るまでと同じように、彼女の決意よりも早く、時間の流れが絵美を生け贄の台の上にのせようとしていた。
「オーケイ!」
オジサンが絵美の両脚から手を離して横へやってきた。
「・・・・・・」
絵美は黙っていた。
オジサンはニコニコと微笑みを浮かべると、白衣のボタンをはずしにかかった。
「・・・!」
手で隠した乳房の下で、絵美は心臓がドクリと大きく動くのを感じた。
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