第13話
瞳への辱めは熾烈を極めた。
身を守る術を全て奪い去った後、胸元から乳房の間を抜けておなかへと、オヤジの指先は容赦なく瞳の裸体の上を這いずり回る。
クニ・・・クニ・・・クニ・・・
時折、指先が若い肌の弾力を確かめるように曲げられ、その都度瞳はくすぐったそうに僅かに身体をよじろうとする。
「ん・・・」
オヤジはその反応に満足すると次のポイントに向けて手を動かし、瞳の下腹に次第に近づけていった。
ジョリ・・・
両手の親指がためらいもなく瞳の陰毛をかき分ける。
(・・・!)
瞳の表情が不安に曇るのが見えた。
オヤジの親指は黒い茂みをなでつけながら、二つの小さな円を描いてさらに下降する。
「んんっ!」
瞳の身体がビクッとひときわ大きく揺れ、乳房をプルリと震わせた。
恥丘をすでに降り始めた親指は、股間の谷間へと向かおうとする直前で動きを止めると、まるで昆虫の触角がするように、その周囲をごそごそと探った。
瞳は不安そうにチラチラと自らの下半身に視線を送る。
「あ・・・」
その視線にまともにぶつかって、島本は思わず小さな声を上げた。
「・・・」
プイと瞳は恥ずかしそうに顔を背ける。
(瞳さぁん・・・)
島本は悲しげな視線を瞳の顔に向けたが、すぐに再び瞳の股間部に目を奪われた。
グイッ・・・グイッ・・・グイッ・・・
まるでパイの生地でもこねるように、オヤジが瞳の下腹を両手で揉む。
陰毛に置かれた親指を軸にするようにして開かれた両の手のひらが、まるで蜘蛛のように、瞳のおヘソから骨盤の周辺を包み込む。
(・・・)
横を向いて唇をきつく結んだまま、瞳が視線だけをこちらへ向けた。
(・・・)
島本はそれに気づかないふりをして、もてあそばれるヘアと、オヤジが力を入れるたびにプルプルッと小刻みに揺れる乳房を目に焼き付けていた。
「・・・ム?」
オヤジの手が動きを止める、そして・・・
「ヒッ!(・・・ンンンッ!)・・・・・・ハァァ・・・」
一瞬、裸体が大きくそりあがり、声を上げるのを必死でこらえた可愛い唇から大きな吐息が漏れた。
股間近くに置いていた親指に大きく力が入れられたのだった。
グリッ・・・グリッ・・・
刺激は数回続いた。
(ンンッ・・・ンッ!)
瞳はそのたびに唇をきつく結んで耐えた。
「・・・フフッ」
オヤジの呼吸が笑い声に聞こえ、指先が股間の深いところへ向かおうとする気配に瞳が怯えた顔を上げた。
(イャッ!!!)
だが、オヤジの指はそのまま股間を離れ、骨盤に沿って身体の側面へ向かう。
「フンッ」
身体にぴったりとつけられていた瞳の両手を邪魔そうにどかすと、脇腹をくすぐりながら上へ向かい、肋骨にそって幾度かツボを押すように指先を動かす。
そして、そのままむき出しの裸体の上へ。そこには他とは違う軟らかい弾力をたたえた白い丘が二つあった。
プニュッ
オヤジは少しだけその丘の柔らかさを確かめると、いったんおへそのあたりにたまっていたローションを手のひらに補充して体制を整えた。
(ゴクリ・・・)
島本も瞳も息をのんだ。
オヤジは瞳の大きな乳房を下から持ち上げるように両手で包み込むと、その周囲を回らせながら全体を揉みしだいた。
プニッ・・・プルン・・・プニッ・・・プルン・・・プニッ・・・
見ているだけで感触が伝わってくるようだった。
(これ?マッサージなのか???)
島本を始め、見ている者はみなそう思わざるを得なかった。
「・・・ハァッ・・・ハンッ・・・フゥゥ・・・ン・・・」
さらに真っ赤になった瞳の、荒い吐息をもらす口元が、乳房を揉まれるたびにピクッピクッと動く手足が、まぎれもなくその問いに答えていた。
それはもはや愛撫だった。
丘の頂点にあった赤い膨らみはみるみる硬さを増していった。
オヤジは乳房の感触に飽きたのか、乳房をつかむようにしながらゆっくりとその丘を登らせはじめた。
少し登っては揉み、少し登っては揉み、やんわりと何かを絞り出すようにして、次第に乳首に近づいていく。
(ャ・・・ァ・・・)
瞳は震える視線を自らの乳房を登る毛むくじゃらの醜い生き物に向けた。
再び、島本と眼があった。
島本は分厚いメガネをかけたまま、食い入るように彼女を見ている。
「フフン」
マッサージのオヤジは明らかに島本たちの視線を意識していた。男たちの目の前で辱めることに、意義を感じているようであった。
事実、それは効果的であったかもしれない。異国の男たちだけではなく、同じ日本人の島本や他の男たちの前で裸体を晒し、あまつさえそれをもてあそばれる姿を観察されるのは耐え難い屈辱だった。
「旅の恥はかき捨て」・・・なのに、その恥はあの見苦しい男どもに拾われて持ち帰られてしまうのだ。
(イヤ・・・何でこんな・・・)
激しい羞恥と、絶望が瞳を包み込んだ。
*
オヤジの指が瞳の乳房の上でプクリと膨らんだ乳輪にさしかかろうとしていた。
(行けっ!)
勃起したペニスが腹に当たるのを感じるほど前のめりになりながら、島本は瞳の反応を少しも見逃すまいと目を見開いた。
「はぁん・・・」
オヤジの指が乳輪をなぞるように動き、瞳の口からついに声が漏れた。
(うっ・・・)
その切なくい声が島本をどうしようもなく興奮させた。
二周目は僅かに内側だった。乳輪の上にプツプツと浮かんだ膨らみを指の腹で楽しむようにオヤジの指が動く。
「んっ・・・んっ・・・んんっっ!」
瞳は声を殺して耐えた。
「はんっ・・・んっ」
両手が固く握られ、両脚の先が小さく伸ばされる。体中に力を入れて必死にこらえる姿が余計に興奮を誘う。
ぴたりと閉じていた両脚の隙間がゆるみ、島本からは股間の割れ目が時折チラチラと見えるようになった。
(ぬう・・・)
島本は夢中でその姿態を観察していた。
「フム・・・」
やがてオヤジは手を止めると、ふたたびそれを下腹の方へ向けた。
「ふぅ・・・」
追いつめられていた瞳はようやく安堵の息を漏らした。なかば覚悟したが、意外なことに乳首には結局触れられずにすんだようだ。
「フッ」
安心した瞳をあざ笑うように、オヤジの指先は躊躇無く恥毛の中をくぐり抜けると、一気に瞳のもっとも大切な場所をおとしいれた。
「あっ!・・・イヤッ!」
思わず小さな悲鳴がでた。
淫らな割れ目の横をなぞるように指が移動し、刺激に裸の身体が大きくビクリと動いた。
・・・その瞬間、三たび島本と視線が交錯した。
(アッ・・・いや・・・)
島本の視線は今男の指でもてあそばれたばかりの瞳の恥ずかしい部分へ向いた。
(・・・!)
そしてその視線の先で、男の手が瞳の両腿をゆっくりと開いていく。
「・・・ィ・・・ヤァ・・・」
なすすべもない瞳は、島本の目の前に自分の身体でもっとも淫らな部分をさらけ出すしかなかった。
股間を少し広げると、オヤジは両手を動かして、瞳の脚先までローションを塗った。
(う・・・)
不気味な感触に耐えながら瞳は勇気を出して島本の視線を確かめた。
メガネの向こうの小さな眼が、オヤジの肩越しに瞳の秘部を注視している。
(全部見られた・・・)その現実を今ひとつ飲み込めない瞳にとどめを刺すように、オヤジの手が両足首を掴むと、ベッドの幅一杯に一気にそれを広げた。
(あっ!)
(・・・!)
閉じられていた敏感な部分が空気に触れるのが感じられ、島本の眼が驚いたように見開かれるのが分かった。
「ィャ・・・・・・」
ベッドに大の字に磔にされ、その隅々までを照明で照らされた瞳の裸体は、男たちの欲望へ差し出された貢ぎ物のようだった。
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